脳の謎が解明:秘密はフラクタル構造にあり
知能の根幹である「脳」ですが、その発達プロセスはいまだ解明されてません。最新の技術でその過程がある程度明らかになりました。
ようは、
脳を構成するニューロン(神経細胞)は、単体と協調活動をバランスよく備えている、
というはなしです。
ニューロンはシナプスを通じてお互いがネットワーク構造でつながっています。これを通じた協調的な活動が脳の発達に寄与するのか?そうではなく、まずはニューロン単体がまずは発達したのか?このあたりが主な論点です。
その謎を、1万の個所を同時にリアルタイム観測することである程度解明することに成功しました。
これは「カルシウムイメージング」法と呼ばれます。細胞内のカルシウム濃度に応じて光る蛍光センサー(光遺伝子技術)を使用して、神経活動をリアルタイムで観察できる方法です。
早速その動画を貼っておきます。
20秒ごろに一斉に活性化するのが見所です。
今回の研究結果か分かったことは、
脳の活動は「フラクタル階層」に従って展開する、
ということです。
フラクタル階層とは、自然界や人工の構造物などに見られる、自己相似的なパターンや構造のことです。例えば木の枝分かれ、川の流路、雪の結晶、海岸線などの自然の中で見られることが多いです。
これらの構造は、全体と部分が同じような形状や性質を持つという特徴があります。フラクタルは、スケールを変えても同じパターンが繰り返されるという性質があり、そのため「自己相似」と呼ばれます。
今回の例に即していえば、細胞は協力してより大規模で協調的なネットワークを構築し、各スケールが上下のスケールを反映した組織を形成します。
定量的には、各細胞の努力の半分以下(40%以上)を個々のタスクに、残りを協調的な活動に費やしているようです。
実際に、コンピュータシミュレーションでこの負荷分散比率が脳の情報処理を最適化することも明らかにしました。
さらには、このフラクタル構造は、10億年前の無脊椎動物から4.5億年前の脊椎動物まで調整を続けていったことも今回の研究で分かってきたようです。
冒頭記事でも触れてますが、あたかも企業のような人間によって集まった組織の構造と似ており、研究者もいます。1つだけ見つけたサイトを貼っておきます。
今回の研究でより脳のマクロ構造とその発達過程が解明されたので、知能の本質に近づいたといえるかもしれません。
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