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《第14話》カプセルトイ 娘毒(こどく) 桀戮子 -アラクネ-
ついに2022年7月にカプセルトイ/ブラインドボックスでの発売を発表した 【 娘毒(こどく) - アラクネ - 】
作者の「チビタンク」さん(@tibitan9)にお話しを伺いました。
奈良県で生まれ育ったチビタンク(@tibitan9)さん。
子供の頃から絵を書くのが好きな少年で、小学生の時はよく絵画コンクールで入賞していました。
中学生になると他の事に興味が出てしまい、絵を書くことから少し遠ざかっていました。
高校では絵の才能を確信していたご両親の強い勧めもあって、美術部に入部しました。
美術部顧問の先生との出会いがその後の「チビタンク」さんの人生を大きく変えました。
先生が粘土彫刻をされており、「面白そうなので自分もやってみようかな」と思ったのが立体造形との最初の出会いでした。その時はテラコッタという焼き物の粘土で造形していました。
高校生活で立体造形の基礎を学んだ後、陸上自衛隊に入隊しました。
2年間、自衛隊で仕事をしてお金を貯めながら、本当に「自分は芸術が好きで仕事にしたいのかを見極めたい」想いもありました。
陸上自衛隊を退職後、「やっぱり芸術に携わりたい」との志しから大阪芸術大学に入学しました。
そこで入ったサークルで「紡ギ箱」などを造形している作家「Yoshi.」さん(@Yoshi6054)と出会います。「Yoshi.」さんとは大学時代から現在に至るまで今も親交があります。
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大学卒業後は東京で、フィギュアではなく映画で使われるような大きめの造形物をつくる会社に就職しました。その造形会社を辞めるきっかけになったのが敵キャラ班からヒーロー班への異動を命じられたことでした。クリーチャーが大好きでヒーローに全く興味がなかった「チビタンク」さんは、一気に仕事へのモチベーションが下がってしまいました(笑)
造形会社を退社してから東京でフリーランスを始め、その間もずっと考えていたことがありました。ずっと手原型で造形をおこなっていたのですが、ワンフェスに一緒に出展している仲間がZブラシ(デジタル造形用モデリングソフト)を使ってデジタル造形をするようになり、どんどんクオリティが上がっていくのを目の当たりにしました。
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次のステップにいくべきだと確信し、仕事の合間にZブラシの勉強をしていましたが独学での限界を感じ、基礎からしっかり学ばないとの思いから、「Yoshi.さん」の紹介で大阪の大手ゲーム会社に入社し、そこで3DCGについて学びました。
現在は、ゲーム会社を退職し、【 ECCコンピューター専門学校 】
のゲーム・クリエイティブカレッジで先生をしながら、造形作家としても活動しています。
学校では担任も持っていますが、空いた時間を使っては新しい表現方法の独自研究をしています。
常に自分の技量の向上と新しい技術の探究がテーマです
今作っている作品は美少女×クリーチャーが多いのですが、
特に影響を受けている作家さんは「竹谷隆之」さんです。
本来はガチガチのクリーチャー系が大好きで「竹谷隆之」さんのクリーチャー系の作品を見ていると説得力があります。想像で作られた生物があたかもその世界で本当に生きているかのような生命力を感じます。造形するときに大切にしている部分ですが、それは「竹谷隆之」さんの造形物に対する概念の影響を大いに受けています。
学生時代は自分の作りたいものだけを作っていました。
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社会人になり、造型を生業として気づいた事は、「自己満足の作品だけでは狭い世界の中でしか輝けない」ということです。
自分の好きなモノに社会が欲しているモノを融合させることで、皆んなが欲しいと思ってもらえるオリジナルが生まれることを知ることが出来ました。
特に僕が「チビタンク」さんの作品で魅力を感じる点は、ゴリゴリの美少女系ではなく、いつもにクールでかっこよく・力強い女性像が描かれているところです。
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今回の「アラクネ」は美少女×生物×メカをかけ合わせた作品になっています。元々は生物系が得意な「チビタンク」さんですが、今回新たにメカ系の造形に挑戦したいと思い立った作品で、いつも新技術の研究と向上を作品で発展させていく「チビタンク」さんらしい作品の裏コンセプトになっています。
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この商品群のシリーズ名《 娘毒(こどく)・・・。》「チビタンク」さんの造語ですが、シリーズの世界観を色濃く表現しています。《異世界のとある街の中で、罪を犯し、機械化された女性たちが毒を持たされ街に放たれます。その「娘毒(こどく)」たちの戦いをカプセルトイでシリーズ化して表現していきます》
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また商品名になっている「アラクネ」はギリシア神話に登場する織物を得意とする女性で、女神アテナの怒りを買ってしまい、絶望して自死しようとするが哀れんだアテナが彼女を糸を紡ぐ蜘蛛に変えたことから、擬人化した蜘蛛の代名詞としてよく使われています。また今回の作品「アラクネ」は毒を持っている蜘蛛として表現され、元はセアカゴケグモがモチーフになっています。
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カプセルトイへ落とし込みは、サイズ感、色、DP(カプセルトイ筐体に差し込む表紙)も今回は完全にソータに任せて頂きました。ソータがどうやって自分の作品を料理してくれるかを楽しんでくれる「チビタンク」さん。担当のワタナベ(ソータ)さんを100%信頼して頂いてありがたい限りです。
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\2022年11月発売予定カプセルトイ告知 🕷️第④弾🕷️/
— 株式会社SO-TA【公式】 (@SOTA170317) July 22, 2022
桀戮子 -アラクネ-
クリーチャーアーティストのチビタンクさん(@tibitan9 )とコラボが決定🕷️
娘毒(こどく)シリーズ第1弾☠️蜘蛛モチーフの『桀戮子(アラクネ)』が登場🕷️
「本体」と「武装×2・拡張台座」を組み合わせればさらに世界観🆙 #SOーTA pic.twitter.com/Ylj5Z4W5yE
これからこの分野に挑戦する方もいると思うので、チビタンクさんに「3DCG」と「デジタル造型」の違いについて聞きました。
「画面上で見えているモノと実際に出てくるモノで立体感覚は結構違ってくると思います。元々手原型で作っていた人にとって、それをデジタルに持っていったときはさほど難しさは感じないと思いますが、デジタル造形で立体を作っている人が、実際にプリントアウトしたときに、その実像に違和感を覚える人が多いのではないかと思います。
出力してみて初めて修正点に気付くことが多いです。」
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「チビタンク」さんにとって作品を造形し続けることは何かをお伺いしました。
『今まで表現できなかったことへのチャレンジであり、いつも技術や技量の進化を追いかけています。新作が以前つくったものより、常によりよい作品になればと思っています。』
『具体的なチャレンジとして今後は生物の質感から、自然や建造物の質感の勉強もしていきたいと思っています。それらを取り入れたクリーチャーを作ってみても面白いかと思います。』
最後に3DCGの先生でもある「チビタンク」さんに、これからCGを勉強する人達へのメッセージを頂きました。
『 ゲームや映像は勿論のことCGを勉強することで、今はそれをフィギュア造形や、様々なプロダクト製品原型の製作に活かしたり、昔に比べて将来につながるスキルの幅が広がりました。
今は【デジタルとアナログ】・【3DCGと立体造形】が偏らず、バランスよく技術を持ち合わせている人が必要とされていると思います。
色んなところに将来の種が落ちているので、怖がらず興味を持ってその種をまずは拾ってもらえたらと思います。』
お話しをお伺いして改めて僕が思ったのはチビタンクさんの強みは
・手原型製作
・デジタル造形
・3DCG
この3つの手法を使い分けて表現ができることだと思います。
なかなか3つのスキルを身につけるのは大変だったと思いますが、生い立ちから経歴を伺って、常に環境を変える前に回りの変化への「気づき」があるのが知れました。
僕も「チビタンク」さんが作るシャープな女性の造形が大好きなので次回作品も早くガチャにしてくれないかなと期待してしまいます(笑)
2022年 8月 5日
SO-TA( ソータ) 安藤 こうじ(@kojiando01)