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オンライン講座でシンガーの短篇「再会」を読みました

 6月19日の夜7時半から、NHK文化センターのオンライン講座「英語で読みたい!アメリカ文学」でアイザック・バシェヴィス・シンガーの短篇「再会」(Reencounter, 1982)を読みました。
 主人公の家に朝、電話がかかってきます。以前十何年も付き合った女性が亡くなったとのことでした。葬式に出向きますが、だいぶ早く着いてしまいます。彼女の遺体を見ていると、極端に彼女に似た女性が近づいてきます。妹かと思えば、なんと本人だと主張します。そして「あなたももう死んでいるのよ」と言われてしまいます。すると、自分が肉体を持っているという幻影が消える。そして二人は様々なことについて語り合い、やがて空へと登っていきます。リアリズムとファンタジーが結びついたとても面白い作品になっています。
 シンガーのこの作品を読む上で、受講生さんたちはなかなか苦労していたようです。小説にしては民話のようだし、内容は素朴というより苦いしで、一体これをどう理解すればいいのでしょうか。細かいところを詰めれば疑問は限りないのですが、そこら辺はまあ、ユルく落語のように楽しんでいけばいいのじゃないでしょうか、というようなことを考えながらみなさんの話を聞いていました。
 それにしても、この作品のように、死後はすべての感情や憎しみなどから解放されて、淡々とした気持ちで人生で出会った過去の人々と再会できるというのならば、こういう死も悪くない、と何人も言っていたのが印象的でした。なんというか、シンガーはこうしたちょっとした作品でも人間の感情の真のところをきちんと掴んでいる気がします。次回は7月17日で、ジョイ・ウィリアムズの"Taking Care"という作品を読みます。これも楽しみです。


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