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《第10回SCCしずおかコピー大賞 独りごと反省会。》 vol.31

課題4 女性が新しいことにチャレンジしたくなるコピー
 ・シンデレラも、人魚姫も、自分で運命を変えた。

「女性が」という、女性が主人公の課題。この時点でおじさんがどこまで、女性たちの心に寄り添えるのか、女心を紐解けるのかという、高い、高いハードルが聳え立っている。(汗)
それでも、コピーライターは、その頂きに向かってクライミングし、登頂を目指さなければならない。その方法は「自分ごと化」にありますが、長くなるので、また何かの機会にご紹介します。

ついに課題4。恒例の課題解説から紐解きます。

女性たちが自ら楽しむための行動をはじめたら、この街はもっと魅力的になります。ネットの情報だけに満足しないで、街に出かけて、ヒトに、モノに触れてほしい。そこで、女性が新しいことにチャレンジしたくなるコピーを募集します。

ここでも新しいことは、バーチャル空間やバーチャル体験ではなく、リアル空間におけるリアル体験を指しているようです。そこは『街』。買い物、食事、習い事、デート、etc。街の中で、街からの刺激をもらうことで、新しいモノゴトに取組んでもらうアイデアを求めている。

現代社会では、このリアルとバーチャルの線引きがもどかしい。実際には、SNSなどのバーチャル情報に触発され行動に移していく人は、老若男女に関係なく多数存在している。この線引きが古いようにも感じる(課題そのものをブラッシュアップしたい)が、協賛社の意向であるからいたしかたない。このボーダーは意識しておきましょう。

また、チャレンジと言っているが、挑戦というほどのコトでもないだろう。初めてを始めてみる、くらいの気持ちで十分なはずだ。

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このコピー、「シンデレラ・コンプレックス」というコトバを思い出させた。昭和の時代、郷ひろみさんが歌った楽曲があり、このコトバを知った。

要は「玉の輿」に乗りたガールのことを言っているのだが、シンデレラや人魚姫は自分で運命を変えた人なのか? という疑問が浮かぶ。

シンデレラも人魚姫も、魔法使いのおばあさんの魔法により玉の輿の機会を得る。その上でシンデレラはその輿に乗り、人魚姫は乗り損ねたばかりか泡になって消滅させられてしまう憂き目に遭う。

どちらも、自身の努力なしにのび太のドラえもんよろしく、魔法使いのおばあさんの魔法パワーにより、輿に手をかけるのだ。これを自分で運命を変えたと言えるのだろうか。しかも、その運命の結果には、天国と地獄ほどの差があるのだ。

「おじさん、それを女が自分で運命を変えたということよ!」と、女性たちに言われてしまえば、おじさんに反論の余地はありませんが、道義的には何ともおかしな話である。裏口入学バンザイ! である。それは、広告的にも如何なものかと思ってしまう。

吉凶の違いをこの二入に背負わせての例えであるなら、片方は死である。そこまでの運命を賭してまで、チャレンジを促すほどのことを、この課題の解説は求めていない。

ならば、シンデレラと人魚姫を主人公にしたコピーを考えるのなら、もっと前向きでハッピーな締め方のコピーでなければならないと思う。でなければ、結果が重すぎてコトバにすらならない…。

そして、キャラクターによって『運命』という同じコトバが示す重さの違いまで、作者は咀嚼できていないことを注視したい。

物語の主人公をもってきたことはOKとして、その練り方に難がある。やはり、一つのアイデアをどれだけ多くの方向から検証できているのか?! ということは絶対に外せないプロセスなんだと思います。このコピーは、賞には届かなかった。では、届くには? 作者には、ぜひその答えを導く検証と修正案への再挑戦をしてもらえればと思います。


※作品(コピー)の版権・著作権等の使用に関する権利は、静岡コピーライターズクラブに帰属します。
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