ベテラン杜氏への聞き書き調査結果について
保存会では、文化庁 令和5年度文化庁伝承事業補助事業のご支援をいただき、5人のベテラン杜氏から、酒造りを志したきっかけ、修業時代、技について、後世に残すべく、聞き書き調査を行いました。
酒造りに取り組む姿勢や様々な技術的なヒント(こつ)について、是非参考にしてください。
取材・文:鹿熊勤氏
1 中三郎(なか・さぶろう), 能登杜氏組合
昭和12年、石川県鳳珠郡能登町生まれ。石川県立飯田高校卒業後、酒造りに出る。山中正吉商店(静岡県)で蔵人・頭を9期務め昭和41年に杜氏に(5期)。昭和46年より車多酒造(石川県白山市=旧松任市)で杜氏を38期。全国新酒鑑評会金賞をはじめ受賞歴多数。平成21年より車多酒造顧問杜氏。平成23年黄綬褒章受章。
2 中倉恒政(なかくら・つねまさ),能登杜氏組合
昭和17年、石川県珠洲郡宝立町(現珠洲市)生まれ。高校卒業後の昭和36年より酒造りに出る。菊水酒造(石川県)をはじめ滋賀県、富山県の多数の酒蔵で修業。国税庁醸造試験所(東京都)でも1期研修。昭和46年、29歳で杜氏。その後、中野酒造(石川県)で11期、福井弥平商店(滋賀県)で29期杜氏を務める。金賞受賞歴多数。平成26年日本酒造杜氏組合連合会会長。平成27年黄綬褒章受章。
3 小島喜代輝(おじま・きよてる),丹波杜氏組合
昭和15年兵庫県篠山町(現篠山市)生まれ。兵庫県立篠山農業高等学校卒業後の昭和33年、(株)本嘉納商店(現菊正宗酒造株式会社、兵庫県)に室の子として入社。麹師、酛廻、醸造主任、杜氏補佐、杜氏代行を経て平成3年より杜氏。平成14年兵庫県産業功労賞、15年兵庫県技能顕功賞。平成16年丹波杜氏組合組合長と兵庫県杜氏組合連合会副会長を兼務。現在は丹波杜氏組合常任相談役、菊正宗酒造株式会社名誉杜氏。平成20年黄綬褒章受章。
* PDF一部修正しました(令和6年4月22日)
4 池田健司(いけだ・けんじ), 広島杜氏組合
昭和17年、広島県豊田郡安芸津町(現・東広島市安芸津町)生まれ。昭和33年より酒造りに出る。藤井酒造(広島県、蔵人)、久留島酒造(広島県、杜氏)、賀茂鶴酒造(広島県、蔵人)、荻原酒造(鳥取県、杜氏)、土佐鶴酒造(高知県、杜氏)で働く。土佐鶴酒造では取締役酒造部長杜氏を経て総杜氏長兼醸造部長。平成21年に現役引退後は同社顧問。全国金賞入賞歴多数。平成18年現代の名工として表彰。平成22年黄綬褒章受章。
5 国重弘明(くにしげ・ひろあき), 広島杜氏組合
昭和11年、広島県豊田郡安芸津町(現東広島市安芸津町)生まれ。昭和29年より酒造りに出る。掘本酒造(広島県、事務・蔵人)、賀茂鶴酒造(広島県、蔵人)などを経て綾菊酒造(香川県、杜氏)へ。香川県の一般米オオセトを使った吟醸酒で連続13回を含む全国金賞受賞を20回にわたり経験。綾菊名誉杜氏。平成19年黄綬褒章受章。