見出し画像

Kill Philの翻訳本の読み直し

Kill Phil(邦題:アグレッシブポーカー - 強敵を倒せ)という本が日本語訳で発売されたのは2017年ですが、英語の本が発売されたのは2009年とのことです。いわば完全に古い戦略本なわけなのですが、今見てみると面白いところが結構あります。

相手が自分よりポーカースキルが勝ると判断した場合の対策は、ロングボールだとよく言われます。それはフロップ以降の決断をできる限り少なくすることで、そこで発生するスキルエッジを消すことができるためです。(ただし追求可能な最大EVは減少します。)
ただ、どのようにロングボールを行えばよいかについて、参考になる本というのはそんなに多くないと感じています。

この本はまさに超ロングボールを志向し、初心者でもなるべくトーナメントで勝てる戦略を記載した本になっています。もちろん当時と現代では、戦略に大きな違いがあるのは事実ですが、実際にこの本通りプレイした場合、トーナメントによくありがちな「ハンドデット/20-40BBの敗北でブラインドに殺される」現象が防げるのは大きいなと個人的に感じました。

本の中では、まず以下のようなレンジでハンドグルーピングを行っています(Blair Rodman, Lee Nelson and Steven Heston, 2009 松山 宗彦訳, 2017 p.1597)

そして上記ハンドグルーピングをもとに、スタックの状況とポジションに応じて基本的にオールインのみを行います。例えばスタックがM値の4-10倍の場合は以下のようなレンジでオールインします。(Blair Rodman, Lee Nelson and Steven Heston, 2009 松山 宗彦訳, 2017 p.1772)

全てのパターンを記載するのは控えます(本を買ってください)。
おすすめの使い方としてはハイパーターボなんかはこの戦略でいいんじゃないかなと思います。あとタイトなプレーヤーで、たまには羽を伸ばしたい人とかもいいかも。ロングストラクチャーでスタックがとても大きいうちは別な戦略をとるのがいいかなとも思います。

この本でも書かれていますが、こればっかりやってると「こんなのポーカーじゃねえよ」という人がいるかも知れません。実際こればっかりではスキルは伸びないという話もあるかもしれませんが、もしトーナメントで自分より強いプレーヤーばかりいるテーブルに入ってしまったときに、引き出しの一つとして持っておくのはありかなと考えています。(アマチュアには限界がありますし・・・)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?