「52ヘルツのクジラたち」を読んで
20代後半の、貴瑚が九州の祖母が昔1人でくらしていた海が見える古い住宅に越してきて物語が始まる。携帯も解約し、全ての縁を切って、思い出のアンさんを想起して行く描写から、ただならぬ過去を感じ、お腹の傷から何やら恋愛関係の拗れから縁を切ったのだろうと想像して読み進めていく。また、自分のことを「ムシ」と形容する、痩せこけて、服も汚く、肌にはあざがいくつもみられ、声を出すことができない中学一年生の男の子と出会い物語が進んでいく。貴瑚の傷は恋愛関係が故の傷ではあるが、外傷以上に心の傷が