ビジネスにおける体重計の役割

体重計には毎日乗りましょう

ダイエットをする際には、体重計に乗って今の体重を確認します。

「昨日はちょっと食べ過ぎたので、1kg増えちゃった。今日はちょっと走ってこよう!」
「最近はダイエットの成果が出てきて、2kgぐらい減ってきた。このペースで頑張ろう!」

など、体重計に乗ってこれまで実践してきた結果を、定期的に確認し、その結果に基づいて行動を修正します。
ダイエットを成功させるためには、必ず毎日体重計に乗って、日々の状態を確認する必要があります。

試算表で現状を把握する

ビジネスにおいて体重計の役割を果たすものが試算表です。体重計のように毎日とはいきませんが、月次で事業の損益の状況、資産負債の増減を締めたものを試算表(TrialBalance T/B ティービーと言ったりもします)と言います。

決算月から時間が経ってからの、銀行への借入の申し込みの際には必ず求められます。決算書ほどの重要性は高くないですが、試算表は自社の経営状況がリアルタイムでどのような状態になっているかを把握するツールですので、銀行に提出するためという理由よりも、自社の管理のために重要な資料です。

中小企業ではあまり月次で試算表を作成している会社は少ないですが、是非自社の経営状況を月次で把握することをお薦めします。

銀行では試算表の作成状況を重視する

また、銀行もその会社の試算表の作成状況を確認します。銀行が試算表の提出をお願いする場合、試算表の数字よりも先に、すぐに提出して頂けるかどうかを見ています。すぐ提出して頂ける会社は「しっかりと自社の経営状況を把握しているんだな。だから社長の言うことは信用できる。」と感じますし、反対に、提出をお願いしてもなかなか提出して頂けないない会社に対しては「自社の今の経営状況を把握出来ていない、いい加減な会社だ。社長の言うことも当てにならないな。」と感じるものです。

決算期から多少時間が経っている融資審査の際には必ず試算表の提出を求められます。融資審査における一番のポイントは融資したお金が確実に返済してもらえるかどうかというところです。返済はあくまでも将来ですので、将来を予測する必要があるのです。その際に試算表で前年同時期との比較を行います。特に売上などに季節変動のある業種は、単年度の試算表だけを見てもあまり意味がありません。前年同期の試算表と比較をすることにより、今季の決算ではどうなるのか?将来どうなるのか?の予測を立てるのです。

試算表提出の際の注意点

ですから、試算表を提出する際にも、単に直近月の試算表を提出するだけでなく、前年同期比でどうなのかを説明し、悪くなっている場合には、現在や今後どのような対策を行っていくのかも併せて説明するようにしましょう。

また、試算表は前期が赤字決算の場合にもとても重要になります。前期が特殊要因による一過性の赤字の場合は、それが本当に一過性なのかを説明する資料は試算表です。一過性による赤字であっても赤字は赤字です。一過性の赤字の場合はすぐに銀行の対応が変わることはありませんが、黒字の状態に比べ融資審査の目は厳しくなります。前期の赤字は本当に一過性で、今期はこのように改善していますと説明する資料としても試算表は重要な資料なのです。

PDCAサイクルをまわすために

ダイエットでもビジネスでも、しっかりとした現状把握が不可欠です。そのためには、毎日体重計に乗る、毎月試算表を確認するといった、PDCAの”C(=CHECK:評価)”が大切なのですが、疎かになりがちです。Cがなければ、A(=ACT:改善)ができませんし、さらにP(=PLAN:計画)、D(=DO:行動)の精度は低下します。
数字で現状を正確に把握し、夢や目標に向けて精度の高いPDCAサイクルをまわしましょう。


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