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八十八面観音巡礼[法輪寺]、聖徳太子ゆかりの4寺周遊
2023年11月12日
法隆寺のある斑鳩町、周辺には聖徳太子ゆかりのお寺が4つあり、
【聖徳太子ゆかりの4寺周遊拝観券】というのが発売されている。
JR法隆寺駅、10時前着、曇天。
駅からは案内看板が多数あり、わかりやすい。
「法隆寺iセンター」という観光案内所で、周遊拝観券2400円購入。
松並木沿いに売店にて、やはり「柿の葉寿司」を買う。
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法隆寺・世界最古の木造建造物
突き当たりに、南大門。
人影はバラバラ、昔ながらの観光地のイメージ、外国人観光客は少ない。
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広い境内は自由に出入りできる。
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向かって左に、西円堂
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「峯の薬師」と呼ばれ、多くの人々の信仰を受けているという。
八角形のお堂。
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西院伽藍
ここからは拝観券が必要。
金堂、講堂、五重塔、たくさんの仏像ここだけでも把握しきれない。
その姿は違和感なく、古くからその場所に居続けているからだろう。
ガイドさんが説明し、沢山の人が集まって聞いている。
昔ながらの風景。
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大宝蔵院
こちらには数多く寺宝が収められ、その中には、かわいい夢違観音
独立した場所には、スマートな百済観音など、知っている像も少々。
振り返ると、鹿のいない奈良。
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この石畳の長い道は、ゆるい法隆寺のイメージ。
突き当たりには、
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東院伽藍、夢殿
聖徳太子等身の秘仏、救世観音。
毎年春秋に厨子の扉が開けられので、
今回、拝観に来たが薄暗い中、やはりボンヤリとしか見えない。
それは、それで良いのだろう。
法隆寺には、のんびりした風景に、すごい密度の仏像がある。
中宮寺・ほほえむ菩薩半跏像
法隆寺、夢殿を出ると、すぐに中宮寺の入り口はある。
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お堂へは、靴を脱いで上がり畳の上で座って参拝。
ほほえむ菩薩と聖徳太子の像。
尼さんが一人、5分ほどの案内テープが繰り返し流れている。
常に10人程度の人が入れ替わり、ゆるやかに時間が流れる。
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少し雨が降り出していて、尼さんがいつの間にか靴を片付けてくれていた。
本降りではないのでカッパを着て、ここから北の方向へ歩き出す。
春先の天気の良い日に来ると良いと思う景色。
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法起寺・世界最古の三重塔
しばらく歩くと遠くに三重塔、近くにコスモス。
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近づく、
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境内へ。
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講堂の本尊であった木造十一面観音菩薩立像は、スギの一材から造られ、
10世紀後半の作と考えられており、
現在は収蔵庫に安置されているとのこと。
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格子越しガラス張りの収蔵庫、撮影禁止とは無かったので
写真を撮ったが大丈夫だろうか?
収蔵庫からは長い庇が伸びていて、その部分は影になっているので
中のライトに照らされる十一面観音はよく見える。
ただ、下部は外の方が明るいから
写真にとると、手前の景色が写りこんでいるのだろう。
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右奥には、近くから覗き込まないと見えない諸仏あり。
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近づくと、より圧倒される3.5mの金色の巨像。
すごい!
このような巨像はかつて、お堂に祀られるだけでなく、車に乗せて町を練り歩いた「遊行像」の一種ではないかと書いていた本もあった。
SNSもテレビも雑誌もない時代、町中で3.5mの金色の巨像と
初めて出会うと、いったい何を思うのだろうか?
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十一面観自在菩薩心密言念誦儀軌経によれば、10種類の現世での利益(十種勝利)と4種類の来世での果報(四種功徳)をもたらすと言われる。
十種勝利
離諸疾病(病気にかからない)
一切如來攝受(一切の如来に受け入れられる)
任運獲得金銀財寶諸穀麥等(金銀財宝や食物などに不自由しない)
一切怨敵不能沮壞(一切の怨敵から害を受けない)
國王王子在於王宮先言慰問(国王や王子が王宮で慰労してくれる)
不被毒藥蠱毒。寒熱等病皆不著身(毒薬や虫の毒に当たらず、悪寒や発熱等の病状がひどく出ない。)
一切刀杖所不能害(一切の凶器によって害を受けない)
水不能溺(溺死しない)
火不能燒(焼死しない)
不非命中夭(不慮の事故で死なない)
四種功德
臨命終時得見如來(臨終の際に如来とまみえる)
不生於惡趣(悪趣、すなわち地獄・餓鬼・畜生に生まれ変わらない)
不非命終(早死にしない)
從此世界得生極樂國土(今生のあとに極楽浄土に生まれ変わる)
いつの時代でも、どこの場所でも人の願いは変わらない。
花の季節なら、なお良いだろう。
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屋根のある休憩所があるので、柿の葉寿司。
少しの間、独り占め。
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次のグループが来たので、外へ。
しばらく西へ歩く。
法輪寺・秀麗な十一面観音
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靴を脱ぎ、再建されたお堂の中に入ると、ずらりと並ぶ仏さま達。
その真ん中で一段大きい、4m近い色彩が残った木彫巨像、
たくましいが柔和、いつまでも見ていられる。
大きな目玉のしっかりした十一面観音は「厄はらい観音」として
信仰されていたのことだ。
前には畳敷のスペースがあり、座ってぼんやり眺めていると
数人いた参拝者は、いつの間にか、みんな出て行ってしまっていた。
帰り際、授与品、お守り見ていると
「八十八面観音巡礼」のパンフレットと御朱印帳を見つける。
少し悩んで、授かる。
「八十八面観音巡礼」とは、奈良の8寺院(西大寺・法華寺・海龍王寺・大安寺・法輪寺・聖林寺・長谷寺・室生寺)にいらっしゃる十一面観音を訪ねる旅。つまり「11面×8体=88面」となることから“八十八面”観音と呼ばれています。
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パンフレット、ご朱印帳、御朱印(各寺の授与所に備えてある散華型の朱印用紙)
このあとは、法隆寺の奥の院とも言われる松尾寺へ行こうと思ったが、
もう頭いっぱい疲れた。それに今日は雨が心配だ。
法隆寺駅に戻る途中、夢殿前は修学旅行生でいっぱい。
駅到着は2時ごろ。ありがとうございました。
法隆寺と中宮寺の仏像イラストは、
こちらにアップしていますので、ぜひご覧ください。