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関係の質をあげればよいのか
チームビルディングしたいという話がくると身構えてしまう。
MITのダニエルキム教授による成功循環モデルと呼ばれるものがある。関係性の質、思考の質、行動の質、結果の質がサイクルになっているものだ。
サイクルなのでぐるぐるまわる。どこから始めたって良いはずだ。
だが、僕たちはつい「結果を変えよう」、それがだめなら「行動を変えよう」、それでもだめなら「思考を変えよう」となる。しかし、「あれ、関係性が見落とされてない?」ということで、大ヒットという感じだろうか。
Jポップなら、Kiroroくらいには知られているフレームワークだと思う。
特に、日本人の好みにハマったと僕は感じる。日本は聖徳太子が実際にいたかは別として、十二箇条の憲法の第一条に「和を以て貴しとなす」といれたのだ。
この関係性がとは「和」そのものであり、僕たちの国の始まりは「ワ」なのだからそれもやむなしとは思う。
ただ、関係性があがれば本当に思考の質が変わるのか。みんな、少し前まで仲良し集団じゃだめだっていってたじゃない。成果主義で新聞読んでいたおじいちゃんいなくなっちゃったじゃない。
つまり、関係性が思考につながるには、前提があるのだ。
ボードゲームを少しやったり、一緒に動画見て、関係性が良くなると思う?楽しいは楽しいだろう。ただ、元々知り合いで関係性が良ければ接点を増やして仲が深まることもあるかもしれないけど、仲の良くない人と場を共にしたら悪くなることだってある。共同作業はだいたい既存の関係の増幅装置なのだ。
で、関係を良くするにはどうすればよいか。
キーワードは「結果」(笑)売上はすべてを隠すという格言があるけど、まさにそれだ。
全く仕事がままならないけれども、人当たりがよくて関係構築だけがうまいタイプの人がいたとして、思考や行動の質があがり、結果がでるか。
あの人は「プライベートでは仲良くしたいけど仕事では付き合いたくないな」で終わりになっていないか。
僕は、仕事力、つまり結果を出す能力がこのサイクルの前提にあると思う。この前提なしに関係を語ることは危険だ。
このサイクルはあくまでサイクルであり、リニアなものではない。状況を確認して関係、思考、行動、結果のどこ手当をするかのモニタリングツールである。
仕事力のない関係、思考、行動、結果全てが不毛であり、仲良し集団、分析麻痺、猪突猛進、まぐれとなる。
サイクルに起点があったり、関係性が魔法の杖だと無批判に考えるのは意識されていない日本人の信仰だと思うのだ。