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AI「好いとこ取り」で名文を書こう・入門編
いま生成AIが熱い! ChatGPTが凄い! まあ大変な騒ぎなんですが、日常生活でもっとこうカジュアルに何の気なしに使える段階に至って、やっと「AIが普及した」と言えると思うのです。
ビジネス・学習・システム開発の変化を大上段に論じるような記事ばかりが目立ちすぎている昨今。当ノートでは、普通のオジサンオバサンがライトに付き合えるAIというものをもっと紹介していこうと思うわけです。
というわけで、「町内会の広報係を押し付けられた。面倒な作文をAIでちゃっちゃと片付ける」という状況を今回は考えていきたいと思います。
AIで作文するとは?
今更聞けないという方のために、最近よく目にする生成AIとかChatGPTとか「プロンプト」とか一体何者なのかという説明を簡単にしておきます。そこは既に知っているという方は、ここは読み飛ばして次のチャプターに行ってください。
そもそも生成AIとは?
生成AIとは、大量のデータから学習し、新しいコンテンツを創造する人工知能技術です。新しいコンテンツには、画像、音楽そしてテキストなどが含まれます。
従来のAIが分析とか予測とかを主目的としていたのに対して、「創造」が主目的と位置付けられているのが重要です。このAIを、SNSなどで一般人にもなじみ深くなった「チャット」のスタイルで使えるようにしたのが、最近の生成AIサービスの特徴と言えます。実際に、特に高度な技術を持たないユーザーが比較的簡単に瞠目すべき成果物を得られるとあって注目を集めています。
たくさんの事業者が様々なAIサービスを公開している
生成AIを核にすえたサービスはここ数年の間に多数誕生しました。なかでもChatGPTはブームの先駆けとなった有名サービスで、業界を主導していると言っていいでしょう。ChatGPTの特徴の一つは、テキスト作成のほか、イラスト作成、プログラム開発支援、画像解釈など色々なことにそつなく使えることです。AIに何ができるのか概観したいなら、ChatGPTの試用は欠かせないステップでしょう。
作文に限って言えば、ChatGPTの他に、Gemini、Claudeなどが有名なAIサービスで、それぞれ微妙に性格の異なる作文をしてくれます。また、作文というより下調べに有用(作文もできる)なのがPerprexityです。この4サービスは特に要チェックです。
これらのサービスは一通り無料で利用できます。そして、月会費・年会費を払うと、より高度な利用が可能となるのが一般的なスタイルです。
生成AIに仕事をしてもらうには、人に話しかけるかのような普通の言語で「指示」を与える
これまでパソコンやスマホでソフトを使うにはどんな作業をしていたか振り返ってみましょう。
「メニュー画面」の中で何かを選択する。あるいは「入力欄」の中にあらかじめ設定された名前のついた小さな箱の中に、名前だのIDだのといった断片的な文字列を書き込む。こういったことを繰り返すものでしたね。
しかし生成AIの場合は少し様子が違います。最初に述べた通り、生成AIとチャット(普通言語で対話)しながら作業を進めていくのです。我々が普通に隣人や同僚に話しかけるときに使うような日本語・英語などで「やってほしいこと」を説明してあげると、AIがそれを読み取って(聞き取って)適切な仕事を進めてくれます。この「普通の言葉で紡ぐ説明・命令」のことを「プロンプト」といいます。
つまりAIによる作文とは…
要するにライターというよりはエディター・ディレクターの立ち位置でAIに指示を飛ばし、AIに成果物としてのテキストを出させる営みが、AIによる作文の本質ということになります。
何はともあれAIに作文させてみよう
プロンプトの基本は作文の基本
前項で述べたように、AIにはプロンプトを与えなければなりません。
プロンプトには「やってもらいたいこと」を当然に書かなければなりません。しかし、それだけでは不十分です。仕事の背景や目的を書いておくことも重要です。また、文章内にどうしても含めなければならないデータを提示しておきたいところ。それらを、できるだけ具体的に、誤解の余地の無いように書き記すことです。アナタにとって当然でもアナタ以外にとっては全く未知な事柄は沢山あるはずです。その辺をきちんと説明しきることが大切です。意外と難しいことですが、何とか乗り越えなければなりません。
文章の体裁については、それほど悩む必要はありません。しかし、一般的な作文の技術・ノウハウはそのままプロンプト作成に活かされると言っていいでしょう。たとえば、
だらだらと余計な修飾語を入れない。
文を長くし過ぎない。
内容のまとまりを考え、適切に段落分けする。
「これ」とか「それ」とかいった指示語を使い過ぎない。
などなど。
見出しや箇条書きを活用して論旨を明確にする
前述のように、プロンプトには「やってもらいたいこと」以外にもいろいろな要素を含めることになります。一つのプロンプトとして纏めるにあたって、「ここからはデータですよ」・「ここからは命令ですよ」と、それぞれの要素をハッキリと峻別させる算段が望まれます。
そこでお勧めなのが、markdownの構文を利用することです。markdownの見かけは次のような感じです。
## 大見出し
### 小見出し
通常の文章
* 箇条書きの項目1
* 箇条書きの項目2
* 箇条書きの項目3
1. 順序付き箇条書きの項目1
2. 順序付き箇条書きの項目2
3. 順序付き箇条書きの項目3
行頭に半角の'#'を書くことで、そこが本文ではなく見出しであると示すわけです。また、行頭に半角の'*'を書くことで、そこが箇条書きの項目であることを明確化します。さらに、行頭を1., 2. 3.などで始めることで「順番のあるリスト」を示すことも有効です。
実例:夏祭りの広告を書いてもらう
まずは、プロンプトの例文を書いてみましょう。
# 指令
あなたは町内会の広報委員です。市報に掲載される「夏祭り」の広告文を書いてください。
# 夏祭りの内容
* イベント名称 -- 朝日町納涼夏祭り
* 期日 -- 2025年8月15日
* 場所 -- 第一公園広場
* 予定イベント -- メインイベントは自由参加の盆踊り。メインイベントに先立ち、地元ロックバンドの演奏。第一中学校吹奏楽部によるミニコンサート。不用品バザーを予定。
# 出力
* 200文字程度の日本語
* 文法的な正確さよりも、親しみやすさ、読みやすさを優先した文体
これはあくまでも一例で、このフォーマットが絶対というわけではありません。しかし、「指令」としてざっくりとした方向性を指示し、「出力」として文章の長さとか文体とか細かい指定を規定しておくのは、大いにお勧めできるスタイルです。
ChatGPTにサイトに行って、このプロンプトを入力してみましょう。

すると、たとえば次のような反応が得られます。何やら尤もらしい文章がでてきましたね。

プロンプトの入力欄に「もう一度書いてください」と入力すると、また別の文章を書いてくれます。追加の注文があれば、それもプロンプトとして追加できます。何度か試してみると雰囲気がつかめてくるでしょう。
ともあれ、たたき台となる文章は出来ました。これを出発点として自分でアレンジしてみましょう。ゼロから創り上げるよりはずいぶん楽な作業になったのではないでしょうか。
おわりに
ここまでで、流れは把握できたと思います。
しかし、これは始めの一歩。いろいろなノウハウを身に付けることで、さらに作文の効率を上げ、短い時間で質の高い文章を作れるようになります。その辺の話題を続編として随時公開していく予定ですので、ご期待ください。
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