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あなたの「個性」を活かすためにAIを使おう~「個性の要らない」文章を書くとき
ここではライティングに限った話をします。
「AIが作った文章には個性がないから使い物にならない。よってChatGPTなど仕事に導入する必要なし」としたり顔で言い切る人たちがいます。
本記事の目的は、そういう人たちの思慮の浅さを指摘し、AIはちゃんと個性的な仕事をサポートできると主張することです。
AIと人間の役割を適切に分担することで、人間の創造的な仕事が促進される可能性があります。AIを単なる「無用」と切り捨てるのは非合理的です。
存在することだけに意義がある文章
世の中には、まあ誰も本気では読まないだろうと確信できる文章というのがけっこうあります。
最たるものはイベントの主催者挨拶ですね。プログラムの第1ページ目に載っているあれ。
あれを穴を開くほど熟読して内容を吟味しようという暇人は多くないはずです。だれもその文章そのものに新規性だの独自性だの期待していない。多くの人は読み飛ばして終わりでしょう。
といって、載せないのでは格好がつかない。
また、誰も読まないだろうといって、いい加減なことを書くわけにはいかない。大嘘や問題発言を混ぜ込んでしまうのはまずいわけです。それを誰かに「間違って」読まれ、大炎上なんてことにならないとも限りませんからねえ。
したがって、詰まらないアウトプットではありましょうが、それなりに気を遣い時間を使って対応する必要があるわけです。
意識高い論者の方々は、AIがらみの議論の中で殊更に個性個性と連呼されます。しかし、私の見たところ、成果物に「個性」が要求されている仕事は彼らが主張するほど多くはありません。控えめに言っても、無視できない比率で「個性より早さ」が優先される案件が山積しているのが現実でしょう。
つまらないことはAIにやらせる
そこで、生成AIです。今の生成AI、特にChatGPTやClaudeは良くできています。
本記事で言及しているレベルの話であれば、ややこしいプロンプトエンジニアリングとやらの勉強など特に要りません。○○式プロンプトの類の公式を必死こいて覚える必要も全くありません。
必要な情報(イベントの正式名称、いろいろ世話になっている人や機関の名称、イベントの目標、テーマみたいなもの)を箇条書きにして与え、「それっぽい主催者あいさつ文を400字で書いてください」と指示すれば、ちゃんとそれっぽいものを書いてくれます。
コツは、新人として配属された部下に初めての仕事を指示する気持ちで書くことですね。
ちょっとClaudeに仕事をさせてみましょう。
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他とのバランスを考えて、まあ少し文章を削ったり補足したりは必要かもしれませんが、まあ9割9分使えそうな感じですね。
空いた時間を「つまらなくない仕事」に回せばいい
上の事例だと、PCに向かってから文案を得るまでに3分かそこらしかかからないです。
詰まらない仕事だと思うでしょうか。
ここだけみればそうでしょうね。しかし、物事は俯瞰でも見なければなりません。
これまで30分かかっていた雑用を3分で片付けられたなら、あなたが真に拘っているはずの「創造的で面白い仕事」に投入できる時間が27分増えるということです。
そうであれば、AIそれ自体に個性がないことは何の問題にもなりません。AIを使って時間を作り出すことにより、創造性あふれる唯一無二の自分にしかできない素晴らしく楽しく有意義な仕事を推進することは十分に可能なのです。間接的に、AIがあなたの「創造的」仕事に寄与できることになるでしょう。
これができないとすれば、AI以前にアナタの仕事ぶりには問題があるのではないか
もしかして、職場の同僚や上司に「言ってることが良く分からない」などとしょっちゅう指摘されたりしていませんか? 部下に指示を出してやらせたものを受け取ってみると、いつも「思ってたのと違う」というようなものしか返ってこなかったりしませんか?
ここで上司や同僚や部下の無能をあげつらうのは志の低い人間のすることです。自分の指示出しや報告に問題があったんじゃないのか。そういうのを反省しなければなりません。
「てにをは」が出鱈目。「それ」とか「あれ」とかが何を指しているのか本人以外には特定しようもない。そんな発言ばかりしていませんか。だとしたらやばいです。AIの前に人間とうまくやれていますかね? 二通りにも三通りにも解釈可能な指示に対して、相手が高確率で「外した」レスを返してくるのは当たり前の帰結ですね。相手がAIだろうが人だろうが同じことなのです。
まとめ
AIは創造的な仕事を支援する強力なツールです。単なる雑務の効率化にとどまらず、適切な運用次第では、人間の創造性を引き出すパートナーになり得ます。AIを拒絶するのではなく、その可能性を活用する視点が求められます。
創造的な仕事への時間配分とは?
人間のスキルとAIの適切な連携とは?
こう考えれば、AIは決して「個性あふれる成果」・「創造的仕事」と相反するものではないと分かるはずです。問題はAIの是非ではなく、役割分担をどうするかです。
AIと「個性」との関係について、いろいろ考えていることがあります。本記事はその問題提起の端緒と位置付けています。こんごいくつかこのテーマの記事を書いてみたいと思っています。