初期設定の愛 47. スーパームーン 狼男と狼女
高校時代のことだ。
時々、なんだかエネルギーが溢れて、どうにもならなくなる夜があった。
夜8時とか9時くらいだろうか。
そんなときは、いてもたってもいられずに、家を飛び出した。
だれもいない田舎道を全速力で猛ダッシュした。
これは1度や2度ではない。
当時の家の近所に古い廃線の土手が残っていた。
周りの住宅地よりもかなり高くなっている。
長く続く土手だ。その距離は数百メートルくらいだろうか。
ちょうど、2階建ての家の屋根くらいの高さだ。傾斜角は45-50度くらいだったろう。
その低層の枯草の生えた土手を一気にかけ上る。息が切れる。
そこから見る空は広い。ほぼ360度のパノラマだ。
犬の散歩コースでもある。
大概、満月の夜だった。月の光が町全体を、いや地球を照していた。
確か何か叫んだこともあった。
「ヲ゛~」当時民家はまだ少なかった。苦情はない。
マッチファンのT子さん、当時の友人だが。
やさしく筆者を振ってくれたあの子だ。
傷が浅くすんだ。今でも感謝している。ありがとう。
満月の夜の異変のことを電話ではなしたことがある。
なんと、T子さんも同じだという。
満月の夜はなんだか元気が出る。
外へ出てみると、やはり満月の夜であることが多いという。
どうも同じ現象らしい。これで意気投合した。これも両想いだと勘違いする一因だったろう。
“狼おとこ” と “狼おんな” だね。
そんな会話をしたような記憶がうっすら残る。
当時、気になり少し月の満ち欠けについて調べた。
新月の日の犯罪発生率が高い。そんな情報があった。
夜が暗いからだろうか。闇に紛れて逃げやすい? 泥棒には好都合だ。
当時の筆者としては、それくらいの発想どまりだった。
月の光には何か強いエネルギ―がある。
これは否定できない。人間心理にも影響が大きいのだろう。
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昨年の10月、スーパームーンの日だった。
この日がスーパームーンであることは後から知った。
午前中は同じ県内の客先での商談だった。
これを終えて車を運転して帰宅する。
信号機のない道路が続く自動車専用道路をSUBARUが走る。
比較的空いていて、スムースにどんどん進む。
さっきから、なにかが始まる気配。例のあの予感がする。
・・・・今日だ・・・、・・・・今日だ・・・・、今日言うんだ。
いくら打ち消しても聞こえる、こころの奥底から湧き出てきて、脳内をかけめぐる。
あ~、これは止められない。
抵抗するエゴがみるみるうちに消滅していく。
きょうだ。
わかっている・・・・。 そうですね。 きょうですね。 はい。
(虫の息のエゴ君が、最終同意をした。)
妻はパートをおえると、午後の比較的早い時間に帰宅する。だいたい14時前後だ。
居間のダイニングテーブルのいつもの自分の席に座る。
13:30分頃だろうか、それからしばしそのまま座っていた。
頭の中は “無” だった。何も思考はなかった。ただ座っていた。
スーパームーンや新月については下記サイトへ譲る。
注:マッチファンのT子さんは 21.ブービー賞とマッチ に登場してます。