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初期設定の愛 28.Marie

37か38歳ころだったと思う。
朝方 、ゆるやかに覚醒した。半覚醒くらいの状態だったと思う。
いつもの寝室のベットの上だ。
夢ではないといえる。
不快感はない、何かにゆるやかにおこされた感じだ。

やや俯きかげん、薄茶色の肌、髪型は黒いストレートで、自然に伸びた感じ、化粧もしていない、ナチュラルな雰囲気だ。
あー、中東系の女性か?

Marieさんのイメージ

すぐ目の前にいる。顔だけだが。

おそらく、かなり古い時代、古代の中東あたりに生きてた人かな。そんなイメージが浮かぶ。
シャーマンのような雰囲気もある。

横たわる自分の目の前10㎝ほど上空。すぐ目の前だ。

金縛りはない。意識は鮮明だが、身体はまだ完全に活性していない状態であるが、非常にリラックスした状態だ。
驚きもない。
あー、だれか来てくれた。そんな感じ。

彼女の人柄なのか、何だかやわらかな雰囲気で、安心感がある。おだやかな愛を感じる。押し付けがましくない愛だ。
芯の強さ、精妙な波動。ごまかしはきかない。すべてお見通し。これはもうサレンダーだ。まな板の鯉。疑念の余地がない。

(Marie)「わたしはあたなの守護霊です。今が大事な時です。」

それだけ伝えて、そのまま消えるつもりと感じた。

すかさず、
「あっ、名前、なまえを教えてください。」と、強めにたずねる。(これは思い切って勝負した。)

(M)「それは、言ってはいけないことになっています・・・。」
冷静に返される。

「どーしても、どーしても、教えてください(心で拝む)。」 必死にすがる思いだ。

毎晩の感謝の祈りの時に、固有名詞を使いたかったのだ。その方が思いが良く伝わる。

・・・  ま ・ り ・ え   ・・・・

顔が、ゆーっくりだが、す~ぅっと遠ざかりながら、まるで、独り言をつぶやくように伝えてくれた。

あー、なまえ いっちゃったねー。 大丈夫だろうか。 まあいいのだろう。

名前を言えないというルールがあるようだ。でも教えてもらえた。信用されているのだろう。
このことは二人だけの秘密なのだろうか。

守護霊といえど、感情がある。好き嫌いもあるのだと思う。

Marieさんとは、特別なご縁を感じる。
好きだ。クールでかっこいいと思った。

感謝の対象なのだが、いつか、Marieさんの役に立ちたいとも思う。

そんなチャンスがいつかあるのだろうか。

そういえば、いつのまに交代していたのだろうか。いつからだろうか、まったく気がつかなかった。
あるいはシフト制なのか。交代制なのか、併用式なのか。
正確にはわからないが、まあいいか。

Marie(まりえ)と聞こえたが、Maria(まりあ)かもしれない。
どちらかだ。

フェードアウトしながらのテレパシーを日本語変換しているので、語尾がやや曖昧だった。聞き取りずらかったのだ。

今現在感じるのは、やはり、絶妙なタイミングだ。これ以上ないタイミングだった。

父とともに経営する会社が事実上倒産状態となったのち、自転車操業ではあるが、営業を続け、すでに4-5年経過していた。いつまでやれるのか、最後の最後まであがいてやろう。そう覚悟していた。

「今が大事な時・・・」
この言葉が何度も何度も頭の中をぐるぐる回る。

今が底だ。今が一番つらい。
”今、どう生きるか。” それが問われている。
そう解釈した。
あとは、上がるだけ。そう確信できた。
いやそう決めた。そうだ、そうしよう。そう決めよう。

この時は人生のピーク、バラ色の時、夢でいっぱい。弓を引っ張り切ったポジションだ。これ以上はもう引っ張れない。MAXポジションだ。
月並みの表現だが、真っ暗闇のトンネルのはるか先に光が見えた。

今、振り返れば、実際にそうなっている。
Marieさんが来てくれた時、この日が人生の最深部だったと思う。

この日のMarieさんとの会話を時々思い出す、というより勝手に浮かぶのだ。

落ち込もうとしても、落ち込めないのだ。
極度のポジティブ人間となっている。
あれほど、ネガティブだったかつての自分はもういない。

よっぽど不出来な魂、手がかかる、最終手段だろう。直接介入、異例中の異例に違いない。ここまでしないと、わからない、そんな判断だったのだろう。
ありがとございます。感謝しております。<m(__)m>



当然、新たな融資は受けられない。毎月の現金収入を月末の支払いに充てる。
この繰り返しだ。従業員も何名が残ってもらっている。

給与や工場家賃の支払いが滞れば、即アウトだ。
自ら白旗は上げられない。父もがんばっている。

この間、父は心筋梗塞で倒れたが、奇跡の復活を遂げ、ペースメーカーをつけながら、何事もなかったように働いている。
ある意味、以前よりも元気だし、付き物が取れたようだ。

父との約束がある。逃げられない。逃げる気もない。

このあいだに、不動産の任意売却、工場や実家の競売、平行して新規事業の開発、新製品の開発、減りすぎた社員の補充採用もおこなった。

もう、会社を消滅させる気などさらさらない。

やってやる、そんな思いだ。

ただし、自転車操業である状況はかわらない。

月末の残高が7円です。あー、でも支払いは全部終わりました。
さて、来月どうするかですね。
ちょっと計算してみたんですけど、170万円くらいなら、貸せますよ。 
まだ20代、若く、妻子持ちの経理担当が、さらりと、こんなセリフを言う。

自らの貯金を使ってくれ、そう言うのだ。

この若者は、5年程、ヨーロッパ中心に海外を放浪していた過去がある。
とある国で、予定外なことが起きたようだ。現地の女性と恋に落ちた。

それを機に、彼女を連れて帰国した。これからは自分のためではなく、彼女のために人生を生きる、そう決めたそうだ。彼女を幸せにしたいのだという。

会社の状況は正直にすべて話した。
この会社を大きく発展させる。その夢も話した。

そのうえで彼は、「コージさんの右腕になりたいです。」 そう言ってくれた。

固定費はできるだけ削りたい。ただ、前任の経理担当には緊急避難的に辞めてもらわざるを得なかった。会社の復活には、若い戦力、どうても必要な経理担当だった。そう判断した。

自分には夢があるのだ、父の会社を大きくする。絶対に消滅させられないのだ。M君の書いた予言の書にもそう書いてある。今更変更できない、それが予言の書だ。(注1)


「あー、ありがとう。でもね、大丈夫だと思うよ。」「何とかなるよ。」
そう言って、すまし顔で工場を出た。
これから営業だ。

このころには、もう何とかなると知っていた。何とかならない可能性がないのだ。

結局なんとかなるのだ。
何度でも言うが、100%そう信じ切ること、これがコツだ。
1%でも疑わないこと。そして行動すること。

一念岩をも通す。これは真実だ。


つづく

(注)【15.予言の書と卒業】 をご参照ください。

こちらも合わせてご一読ください。m(__)m

29.魂の分離 1 へつづく


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KOJI
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