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初期設定の愛 51.かぐや姫の里帰り
スーパームーンの日から1週間ほどたっただろうか。
離婚の件は、あれ以降どちらからも触れない。
何事もなかったように1週間が過ぎた。
ただ、妻が変わった。私に笑顔で話しかけてくる。少しぎこちないが、気を使ってくれている。
少し照れ臭いくらいだ。
そして、なぜだろう。妻への思いが溢れる。書斎で涙をながした。
いろんな思いがこみ上げる。
これはなんの感情だろうか。うまい言葉が見つからない。
嫌いにはなれない。感謝の思いでいっぱいだ。
そもそも恋愛結婚だった。確かに恋に落ちたのだ。
その時の自分の思いは否定できない。間違いなく恋をしていた。
一体これは何の行(ぎょう)なのだろうか?
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これが本当に魂の修行につながるのだろうか。
まあ、そうなんだろうと思う。
いつかわかる時がくるのだろう。
ひとまずは “無” になろう。
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妻とは28歳で出会い、30歳で結婚した。
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女神は、当時すでに自身の夢をかなえていた。
あの交差点で教えてもらった女神の夢だ。それを叶えていた。
その道ではすでにかなりの有名人になっていたのだ。
年収も推定数千万円くらいだろうか、きっとそうだろう。
控え目に評価しても一流だ。その差は歴然としていた。
社会的なステータス、これが高いという意味だ。
精神性や霊性、性格や人間性がうんぬんではない。
雲の上の女性(ひと)だ。輝いている。まぶしすぎてもはや見てられない。
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すでに手が届かない距離だ。そう感じていた。
人生の絶頂だろう。すくなくとも筆者の目線からはそう見えていた。
女神の活躍を見聞きするたびに、自己の劣等感が刺激される。
もう耐えられない。とても耐えられない。
これより下はもうない。ドン底だ。
因果関係は不明だが、この頃、ファッションに興味がなくなった。
寝ぐせもあまり気にならない。ワイシャツの裾がスラックスのウェスト部分から少し、だらしなく出てる。これが気にならない。
恋愛の駆け引きにも興味はない。これはもともと興味ない。
仕事にも興味はない。当時は会社員だった。このころゴルフをはじめたが、接待ゴルフのためであり、仕事の一部だ。ゴルフはつまらなかった。
池ポチャ上等、それがどうした。
上司に気に入られる? 出世? どーでもいい。
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ただ、 “働かざる者食うべからず。” この言葉は知っている。
ただ働く、定時に帰る。給与をもらい、何か腹にいれ、お風呂に入り、そして寝る。
そして朝を迎える。
その差は歴然としている、今から追いつけるようには思えない。
何をしようと、何を思おうと、もはや女神の人生に何も影響しない。
筆者の幸せ、不幸。そんなものは何も女神の人生には影響しない。
もはや違う星のストーリーなのだ。
自分は自分の人生を生きる。そう決めた。よしそうしよう。
幸せになりたい。そう思った。
”僕の女神はもう星へ帰った。もう地球には戻らない。それがあの娘の幸せだ。” そんなイメージトレーニングをしたことがある。28歳の頃だ。夜寝る前に、ベットの上で目をつむり、ぶつぶつ呟くのだ。
しばらくうまくいった。
忘れることはできないのだが、”女神との思い出は、すべて夢幻だったのかな。”と思えてきた。これはお勧めだ。
”かぐや姫の月への里帰り”をイメージするのがコツだ。
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プロローグに書いたこの思いは、このころの心情だ。
いつまで夢みてるんだ。ここが我が人生の一丁目一番地。
おまえは、現実の中にいる。現実を生きる。その足で歩いていくんだ。
がんばれ! がんばれ! コージ!
フレー フレー コージ!
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何をやっても中途半端、何も成し遂げていない。
何かをしなければ・・・・。
結婚には興味はない。
ただ、それを望んでくれている女性(ひと)が目の前にいる。
愚痴は多いが、仕事のできる聡明な女性だ。
魅力を感じていた。好きになった。
あまり気をつかわなくていい相手。正直、一緒にいて気楽なのだ。
冷めた心を、温める。そのための儀式だったのだろうか。
子供が生まれた。これでいい、これでいい。順調だ、幸せだ。これでいい。
何が幸せなのか、それはわからない。答えなどないのだろうか。
ないのなら、探しても見つからない。さがすのはやめよう。
そして家業の倒産、目の前の現実へ日々立ち向かう。
ただこれだけになった。
そんな日々で、以前のように女神を想うことはなくなっていった。
”どこかでがんばってるんだろう。”それでいい。
もう忘れようともしていない。
ただ、心の中の壺の中にいる。蓋もしてある。それでいい。
それでいいのだ。
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役所へ離婚届けを取りに行った。平日の午前中だ。
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窓口で一通り説明を聞いた。
丁寧な説明で、すごく感じのいい女性(ひと)だった。
なんだか前向きな気持ちになる。離婚届け担当は感じのいいひとを配置しているのだろうか。そうだとすると、とても良い配慮だ。感心する。
手続きの方法はよく理解できた。
もう印鑑は不要のようだ。
あれっ? 車は自宅とは真逆にすすむ。
仕事も暇だし、遠回りもいいか。
あ゛~、 そうか。 どうも自動運転のようだ。 勝手に左折をした。無意識だ。
まあいい。心の中は “無” になっている。例のあの感じ、変性意識だ。
頭の中の高音の響き、これも続いている。
到着したのは、お隣の市にある “〇〇大社(地元では一番大きな神社)” だ。
全国的にも名の通った格式高い神社で、この神社の名前がこの市の名前にもなっている。
そういえば、今年は初詣していない。もう10月だが、遅くはないだろう。
よし、お参りしていこう。
境内は人がまばらだ。
100円玉を、やさしく大きな賽銭箱のいちばん隅に静かに流しいれた。
若いカップル(新婚だろうか)の横で一緒に手を合わせる。
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その時、上半身全体に、すぽっと、エネルギーが広がるのを感じた。フワっと、包み込まれた感じだ。
半分に割った卵の殻のような形にも感じた。いや雨傘のような感じか。
暖かさ、愛を感じる。
神社で何か、このような強めのエネルギーを感じるのは初めてだ。
この状態は数秒続き、すっと消えた。
我に返った。もうカップルはいなかった。
光、愛 ・・・、愛しか実在しない。すべては愛。
大丈夫。大丈夫。
本来言語化できないが、言語化すれは、そういうエネルギーだ。(そういうメッセージを感じた。)
〇〇大社へのお参りは、この人生で何十回目だろうか。
物心ついたときからだ。
あー、いままでもこうして、エネルギーをいただいていたのだ。
” 愛のエネルギ― ” そうとしか表現できない。
このエネルギーを感じることができる自分になれた。
自分は何か成長したんだろうか・・・?。
耳なり、左の耳の内側付近の脳内から放射戦状に広がる高音の ”キーン音” 時々、周波数・音程を変えながらも1年程継続している。
この耳鳴りエネルギーが、この手を合わせた瞬間に上半身全体に増幅されたような感じでもある。あるいは、神社の神様のエネルギーと共鳴したのだろうか。
はじめのころは、この耳鳴りに何か追い立てられているような気がして、不快感もあった。
境内を歩きながら、耳鳴りが人生の指針、歩んでいる道の正誤の判断基準になる? そんな考えが浮かんだ。
耳鳴りにしたがう? 何かのメッセージ、合図なのだろうか。
”順調だよ” そう教えてくれているのだろうか。
とにかく、少し残る迷いが消えた。この迷いとはエゴの抵抗と言い換えても正解だろう。
そんなものが、すべて吹き飛んで行った。
そのためにここへ導かれたようだ。
境内に鹿がたくさんいる、檻の中だ。念のため、彼らに意見を聞いた。
檻の前で、目を閉じて、心の中で、目の前の鹿にお伺いをした。
しばらく待ったが、返事はない。
彼にとってはどうでもいいことのようだ。きっと、それがアンサーだ。
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この数日ご、離婚が正式に成立した。
妻が「あ~私がだしてくるよ。」かなり協力的だった。
変性意識状態は続いている、耳鳴りも激しい。
正直、エゴ意識で何か深く熟慮できるような状態ではない。
このころにはもうすべて、ほぼ魂の意志のまますすむ。
エゴ意識はいるのだが、ほぼ決定権はない。
単なるオブザーバーだ、そんな状態だ。
この神社だが、いつだったか20代後半くらいだったか30代か、高校時代の友人たちと花見をしようとして、ビニールシートを敷いたことがある。
30秒後、神主さんだろうか、年配の男性がどこからともなく表れて、こっぴどく怒られた。この件はもう許されているのだろうか。
昨年の4月。離婚成立の半年前だ。
正面を向いて直立不動の妻が、
「わたしと離婚してください。お願いします。」
そういって深々と頭を下げた。
ちなみにこれは夢での話だ。完全な明晰夢だった。
妻にとっても、この離婚がシナリオに含まれている。
このことにより何が学ぶことがあるのだろう。
人生はなるようになる。不安はない。
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