![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/160591994/rectangle_large_type_2_cb05cbaff2ca77425aa1c68b6704d186.jpeg?width=1200)
インプロ #1
「何が正解かなんて、あとになってからしかわかんないよ」
気がついたら、そう口にしていた。
スタバの目の前の公園のベンチで、スタバのコーヒーを飲みながら友人のA子の悩みごとを聞いているときのことだった。
その言葉は、A子が「どうしたらいいのか正解がわからなくなってきちゃった」と言うのを受けて思わず出た言葉だった。
「そうだよねえ、正解なんてわかんないもんね。正解だと思ってもそうじゃなかったことなんて、今まで何度もあったしさ」A子は言う。
彼女は今、転職しようかどうか迷っている。おまけに恋人とあまりうまくいっていない様子だ。最近体調…というかメンタルも落ち込みがちだという。
彼女は言葉を濁すけれど、もうひとつくらい何かありそうだ。
うまくいかないときというのはいくつかの困りごとがまとめてやってくる。ひとつずつなら対処できるというものの、同時多発的にたとえ小さくても困りごとがやってくると厄介だ。今の彼女の場合、抱えている困りごとは決して小さなものばかりではないから尚更だろう。
「そうなんだよなあ…。何が何だか、どれから考えていいのかわかんないのよ。どれも大事なことだし...」
「そうだね、大事なことばかりだから悩んで袋小路に入り込んじゃうんだよね」
「そうなの。“急ぐこと”と”重要さ”でマトリクス作って考えたほうがいいみたいな感じだね」
と彼女は言う、まるで他人事みたいに。自暴自棄とまではいかないけれど、なんとなく不安がよぎる。