【検証】パワプロ2024のパワフェスは本当にヤバいのか?
【7/25追記】
内容を少し修正・追加しました。(主に『6)おわりに』の部分)
沢山のリアクションありがとうございます!
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2024年7月18日、パワフルプロ野球2024-2025発売!
自分も早々に予約していたので帰ったら遊ぶぞ~とウキウキで日中過ごしていたのだが、新作に湧くネット上の反応にチラホラと混じる気になる声が。
パワフェスがめちゃくちゃ改悪されているらしい──────
パワフェスが「パワフェスアドベンチャー」と名前を変えリニューアルされることについては発売前の紹介動画でも触れられており、
「マップを歩いて仲間を集める」「歴代パワフェスのボスキャラが出てくる」「ミニゲームが挟まれる」といった新要素は事前に判明していた。
となるとそれらの新要素が悪い方向に働いたということに……?
そういうわけで今回は「従来のパワフェスを削除したうえでパワフェスアドベンチャーに差し替えたことの是非」は一旦横に置いて、
純粋に単体のモードとして今回のパワフェスを遊んで気になったことを項目に分けて書いていきます。
(難易度ノーマルでストーリークリア済。ネタバレ要素は極力控えめにしてあります)
1)チームメイトの上限数が少ない
助っ人として自チームに引き入れられるのは最大23人まで。
初期状態では主人公(パワプロ)と矢部くん以外は全員モブ選手なので、
最初のうちはスカウトしたキャラをモブと入れ替えることで順調に戦力強化が進んでいく。
では24人目以降はどうなるかというと、スカウトに成功したその場で既にチーム入りしているキャラと交代させるか、やっぱりスカウトをやめるかの二択を迫られることになる。
今回のパワフェスでは1つ1つのマスにキャラが配置されており、普通にやってもクリアまでには優に100人を超えるキャラに対してスカウトのチャンスが与えられる。
その中で23人という上限はあまりにも寂しい。特に今回は過去最大級にキャラ数が増えたぶん、レベル上げやコンボイベントも考慮して「実際に試合で使いたいメンバー」以外の枠も含めて30人は欲しいと思っている。
ちょうどプロ野球の一軍登録人数もそんぐらいだしね。
2)チームメイト完全引継ぎがゲーム性を損ねている
2回目のプレーを始めて「また仲間集め大変だけど頑張るか~」と1人目の泊方明日音をスカウトしようと思った時に思わず二度見したが、
今回のパワフェスでは前のプレーで仲間にした選手は1人残らず完全に引き継がれた状態でリスタートする。
この状況で「じゃあ神高を抜いて泊方ちゃんを…」となるわけもなく、後述のミニゲーム要素が億劫になりがちなことも手伝って、必然的に一部の強キャラ以外のスカウトマスはひたすらスルーされることとなっていく。
しかも野球マンや矢倍などのレベル13固定キャラさえ引き継がれるため、分かりやすい例として一度アフロ猪狩が手に入ったら猪狩守の入る余地がマジで無くなってしまう。
この引継ぎのせいでパワフェスが本来持っている「即席の戦力でチームをやりくりしながら次の補強点を考える」という楽しみが完全に失われているので、今からでも「前のプレーからランダムで5人引き継がれる」とかに変えて頂きたい。
…書いてて思ったけど、チームメイトに猪狩守が居る時にはアフロ猪狩は出てこないぐらいの条件付けはさすがにやってくれてるんだろうな……?
3)1回のプレーに時間が掛かり過ぎ
パワフェスといえばテンポの良さ。次々と試合が繰り返されるので、負けてゲームオーバーとなっても「もう一回!」と延々やってしまう独自の中毒性を持っている。
では今回はどうか。簡潔に言うと少なくとも1周目に関しては恐ろしくテンポが悪い。
最初のマップではマトモな戦力が居ないため必然的に止まったマスの全てでスカウトを持ちかけることになるが、ここでネックとなるのがミニゲームの存在である。
スカウトの際、無条件で加入してくれるキャラよりも「○○で俺に勝ったら仲間になってやる!」とミニゲーム勝負を持ちかけてくるキャラの方が多く、しかもマップが進むにつれ1~2分で終わる基本のミニゲームに「3回決着の実戦試合」が混じるようになり、そうなると1キャラゲットするのに5分、ヘタしたら10分掛かることになる。
更に悪いことに終盤になると無条件でスカウト出来るキャラは全くと言っていいほど居なくなり、スカウト条件もほぼ全てが実戦試合となってしまう。
終盤のマップほど強キャラが出やすい作りになっているため、パピヨンや清本をスルーするわけにもいかず実戦試合をやりまくった結果、真っ当に遊んでいただけなのに最終的に1キャラ作るのに2時間以上といったことがザラに起こってしまう。というか起こった。
ちなみにこの問題点、上記の「チームメイト全引継ぎ」の関係上戦力が固まった以降は(図鑑埋めを考えなければ)スカウトマスはほぼ全スルーとなるのでプレー時間については大幅に短縮されるが、だからセーフだよねとはさすがに言えない。仲間集めとテンポの良さは本来両立させないといけないのである。
「マップを散策して仲間を集めよう」ってコンセプトなのに何で5回と遊ばないうちにボスに直行するようになるんだよ。
4)質が良いとは言えないミニゲームたち
上記のスカウトについて、無条件加入や実戦試合を除けばスカウトのたび数種類のミニゲームから1つをプレーすることになる。
結果的に今回のパワフェスのプレー時間のうち結構な割合がこのミニゲームに割かれることになるのだが、肝心のミニゲームがまぁ単調ですぐに飽きてしまううえ、ミニゲームごとの難易度バランスも大概悪い。
以下に各ミニゲームと簡単な所感を記しておく。
●フライキャッチ
外野に高く上がったフライの落下点を予測して出来るだけ早く野手位置を固定するゲーム。ミニゲームの中ではまだ実戦で役に立つスキルだしやる気が出る…と思う。
注意点として、距離が10m以内であれば加点されるうえ時間経過による点数の減衰が大きいので、実際に捕球出来る位置をじっくり見定めてから固定するより雑にアタリを付けて早めに固定するほうが点数が高くなってしまう。
落下点大外ししてるのに大量にスコアが加算される絵面はなかなかシュール。
●内野ノック
チームメイトから守備適正のあるメンバーが自動で割り振られるのだが、特に守備能力が育っていない序盤はどう頑張っても捕れない打球を連発されて失敗扱いにされるというパワハラみたいな事が起きてしまう。パワプロハラスメント
それだけならまだ諦めがつくのだが、結構な確率でどんだけ守備高くても無理じゃね?という打球を飛ばされるのがやるせない。もはや何を測るテストなんだよ。
●球審体験
投げられる球がストライクかボールかを見極める。早押しと連続正解数に応じてボーナス点が貰えるのだが、対戦相手の得点は常に2,000点固定(ボーナス無しの基礎点)であるため「キャラと対決している」という感じがしない。
(一応後半のマップになるほど相手の正解率も上がるようにはなっているようだが、明らかなボール球をストライクと判断したりするのでそういう意味でも作りが雑)
そして正解しても2,000点固定となると、例えば残り2球で4,000点以上リードしていればあとは放置していても絶対に勝ててしまうということになる。
勝ち確になった時点でコントローラー置くようになっちゃいましたね……
●バントゴルフ(パワフルゴルフ)
内野の指定されたエリアにバントを転がして中央に近いほど高得点。
エリアの真ん中にはカップがありそこに入ると高得点が貰えるが、カップインを決めてもミニゲーム後に特別なご褒美があったりはしないどころか一発クリアにすらならない。目指せカップインって言ったじゃん!
面白さはさておきバントの練習にはなる…と言いたいところだが、相手ピッチャーは多少コースを上下させることはあっても(少なくともノーマル難易度では)変化球などは一切投げてこないので、これで実戦でのバント操作が上手くなるかというと微妙なところ。
ライン際+本塁から遠めの位置だと目標となる旗がカメラに映らないのも地味に不親切と感じるポイントだったり…
●的当て(投手育成時限定)
パワプロお馴染みの投球練習…にささやかなアレンジを加えたもの。ストライクゾーンの一部に色が塗られ、そこに投げ込むと得点が入る。
変化球を使えば点数にボーナスが加算されるが、最高点である5,000点のゾーンがやたらに狭いうえボールゾーンに投げてしまうと即終了なので変化球を使うリスクとリターンが全く吊り合っていない。
更にこのゲーム中はストレートに限り投球カーソルから全くブレない仕様になっているようなので、どう考えても全球ストレート一択です本当にありがとうございました。
●盗塁チャレンジ(野手育成時限定)
問題児。一塁ランナー視点で投手のモーションを見て瞬時に盗塁・帰塁を判断する。
盗塁時は良いスタートを切れば加点・盗塁成功すれば更に加点だが、主人公自身が一塁走者となる都合上特に走力の低い序盤はほぼ無理ゲーと化す。序盤マップでは球速と捕手の肩力も低くするとかしようよ……
というか走力については捕手や一塁手など「そもそも走力をそんなに上げる気が無い」という育成方針が取られることが少なくないパラメータなのに、走力が低いと露骨に苦しくなるミニゲームを強制するのはいかがなものかと思う。
パワフェス勢全員がこのミニゲームに苦しめられた結果、発売初日にして即帰塁からの盗塁ボタン連打で牽制させて無限にポイントを稼ぐという攻略法が編み出された。(牽制に反応して帰塁してもポイントが入る)
ファミコンゲーの裏技じゃないんだから…w
これらを1プレー中に何度も何度も何度もやることになるので必然的に感情は虚無になっていく。
意気揚々とパワフェス始めて最初の試合までに10回以上ミニゲームやらされるとは思わなかったよ、マジで……
5)「サクセスキャラの祭典」のはずが……
パワフェスの魅力を語るうえで、歴代のサクセスに登場した個性豊かなチームが一堂に会し、それぞれのチームと戦えるお祭り感はかなりの要素を占めると思う。
対戦時には主に出典作品のBGMが使用されるため、各々のプレイヤーが思い入れのある作品やチームを追体験出来る仕組みとなっているのがまさしくシリーズの集大成といった感じで何ともニクい。
その点から見たこれまでのパワフェスでの数少ない不満点として、ストーリーの終盤では相手チームが固定されてパワフェスオリジナルのライバルキャラが先発投手として登場するため、あれだけ沢山のチームが用意されているのにラスボス戦は毎回同じピッチャー(しかも総じてスタミナが高いためヘタすりゃ完投まで行かれる)ということがあった。
そして今回の新生パワフェス……
相手先発は全試合で固定となりました。何でだよ。
2022の時点でラスト2試合の先発はアラン→零武と固定されていて次回作ではここが改善されるといいなぁと思っていたのだが、まさか1試合目から固定されるとはさすがに予想出来なかった。
なお今回のパワフェスではストーリー上4試合(少ねぇな)に勝利すればクリアとなるのだが、各試合の先発投手としてはこのような構成となっている。(PV等でモロバレだが一応具体的な並びは伏せておく)
過去のパワフェスのラスボス
↓
過去のパワフェスのラスボス
↓
過去のパワフェスのラスボス
↓
今作のオリジナルボス
…これはあくまで個人的な意見だが、パワフェスの根幹を成しているのは「歴代パワプロキャラが大集合」というコンセプトであり、パワフェスオリジナルキャラはあくまで全体のストーリーをまとめるための添え物という立ち位置にある。
ところが、今回のパワフェスにおいては完全に「パワフェスの歴史の総決算であり、歴代パワプロキャラの方が添え物」という構図になってしまっている。
パワプロ30周年記念作品を彩るのにうってつけのモードでパワフェス産キャラが出張ってどうする。
他ゲーで例えるなら版権キャラの活躍を楽しみにスパロボを遊び始めたのにオリキャラとオリキャラのやり取りを延々見せられるような感覚、と言えば伝わりやすいかもしれない。
(そのオリキャラに魅力があるかないか、という話ではないので注意が必要)
6)おわりに
ここまでネチネチと不満を垂れてきたが、じゃあどうなりゃ満足なんだよと言われればとりあえずは従来のパワフェスを復活させることが現状一番丸く収まる方法だろう。
自分含めパワフェスアドベンチャーに矛先が向く理由は「今までのパワフェスが削除されて代わりにコレが出てきたから」ということに他ならない。コレではパワフェスの代わりにはならないという意思表示といえる。
実際、スタッフへのインタビューでも「そろそろパワフェスにも変化が欲しいというユーザーの声を受け遊び方を変えることを意識して制作したら別物っぽくなったからモード名から変えた」ということが語られており、公式的にも「パワフェスっぽい何か」という微妙な立ち位置となってしまっている。
例えば「サクサクセスや千将高校追加したので元々のサクセスは消しました」ということになるとサクセスファンから非難が上がることが容易に想像できるのと同じ話で「従来のパワフェスは残しつつプラスアルファの遊びとしてのパワフェスアドベンチャー」であればここまで叩かれることは無かったはずである。
最終的に従来のパワフェスからの移行を狙うにしても、例えば2024でパワフェスと新モードのパワフェスアドベンチャー、2026でパワフェスと更に改良されたパワフェスアドベンチャー、2028でパワフェスアドベンチャーのみといった感じで丁寧に段階を踏む必要がある。
パワプロというのは面白いゲームで、元々は対戦とサクセスがメインコンテンツだったものがモードが増えるにつれマイライフ、栄冠ナイン、ペナント(オーペナ)、ネット対戦等それぞれのモードに固定客が付いていった経緯がある。
「全てのモードを満遍なく遊ぶ」より「特定のモードだけを遊ぶ」という楽しみ方をしているユーザーの方が明らかに多いどころか、プロ野球はよく知らないが栄冠が好きなのでパワプロは買っている、といった層も確かに存在するし、顧客として常に意識しなければならない。
だからこそ「各モードへのテコ入れ」は慎重に行う必要がある。必然的にマンネリとの戦いにはなるが、今回のようにマンネリ打破に前のめりになりすぎた結果これまで培ったノウハウをぶん投げた全くの別物になってしまっては本末転倒である。
更に言えばこれまでのパワフェスとゲーム性があまりにもかけ離れている以上は、仮に今後改良を重ねた「面白くて快適なパワフェスアドベンチャー」が完成したとしても、「パワフェスのマンネリを打ち破る」という目的は(少なくともユーザー目線では)達成されたとは言えない。
「パワフェスの最新作」は未だ2022のままなのだから。
この際従来のパワフェスを例えば「パワフェストーナメント」といった名称で復活させ、「トーナメント」と「アドベンチャー」の好きな方を遊べる、というようにしてはどうだろうか。
選手レベルやアイテムが2つのモードで共有されるようにすればキャラの育成もよりお手軽になるし、「トーナメント」では獲得条件が厳しいキャラは「アドベンチャー」で、といった感じでキャラ図鑑埋めにも活用することが可能となる。
(図鑑といえばマップ上で「このキャラが図鑑に登録されているか」を確認する方法が無いのはかなり悪い。チェックマーク追加のアプデが待たれる)
パワフェスアドベンチャーのアイデア自身は決して悪くはないと思っているので、今回の結果を受け止めて開発にフィードバックしてもらえたらと切に願う。期待しています。
書いた人:こいつ( https://x.com/koitsu511 )
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【おまけ】
偶然ラスボス戦にいきなり挑戦出来るアイテムを入手したので、低すぎる主人公の能力をケアしつつなんとか勝ったら特殊メッセージもボーナスも裏ボス登場も無くその1戦だけで全クリになってクソザコ選手が登録された。
マジで何?