季節は
背中がほんのり汗ばんで、着ている上着が邪魔に感じる。しかし、私は未だに着たままである。セミすら脱皮をするというのに。
空からは雨が降り注ぐ。散々に濡らされて尚、私は上着を着たままだった。
だが、今までは家の中にいたのだ。窓越しにそれを見ながら、外へ出ることもしなかった。だから、まだもう少し着ているのかもしれない。
雨はそのうち止むと思いたい。天を仰ぎ、雲のまだその先を睨む。どうなのだろう。それは、実は子どもの頃から知っていたのではないだろうか。いいや、そんなはずはないと思い直し、もう一度空を見上げた。
私は仄かに笑みを浮かべて、そして再び歩き始めた。
6月も中旬を迎えていた。
(あとがき)
梅雨を迎えて気温も一旦落ち着いてきました。天気がすぐれないと憂鬱な気分になることも多いですが、わずかな夏の気配とともに日々を過ごすのもいいのではないかと思います。
(2019/6/10 文:ケビン)
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