単釣記2
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令和六年十二月二十一日(土)
田村川上流が溪流解禁となつたので釣りへゆく。約二ヶ月半振りの釣り也。大抵はどこもまだ禁漁期間中だが、ここは河川を限定して解禁してゐるのである。
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七時半頃目的地に到着。気温はマイナス二度。曇天だが幸ひ雨も雪も降らず。所どころ一昨日降つた雪がほんの少し残つてゐた。
昨年釣友と訪れた際、二尺近くありさうな虹鱒を釣り損ねたところへ、もしかしたらけふもゐるのではと竿を出したが、何の魚信も無いのは無論である。近くで鹿の鳴きごゑがする。少し上の斜面から聞こえるやうだが姿は見えなかつた。
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解禁から已に一週間が経ち、漁協が放流した養殖の溪魚たちは大体釣り切られてゐるだらう。まあいつもの事ではあるが、ここで持ちかへるほど釣れた試しはない。釣れないから云ふのではないが、冬の溪流釣りの情趣を味はひ度いだけなので別に構はないのである。
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十時前頃漁協のおつちやんが見廻りに来て、釣れたかと云ふ。全然釣れないと云ふと、申し分なささうに(何せ去年から遊漁券を値上げしてゐる)目を細めて、二十五日にまた放流するからその時にまた頑張つてくれと云ふ。一応謝意を述べたものの、平日であるから普通に仕事である(しかも夜勤)。
少し下流の堰堤へ移動して竿を出すと、やうやく天魚が釣れた。きつとけふはこれでおしまひだらう。寒くて餌の少ないこの時期の魚はあまり動かず、堰堤などの比較的水深のあるところに溜まつてゐる。毛鉤を投じても中々反応せず、追ひかけて来たと思つても一度見切られるともう姿を現さない。そもそも漁協は堰堤に放流しただらうし、魚たちは解禁時に釣り人にいぢめられて人間不信になつてゐるだらう。
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しかし日が射して気温も上がり始めて活性が上がつたのか、ぽつぽつ釣れ出した。堰堤ごとに下流から攻めて移動しつつ、天魚二尾と虹鱒三尾。最初の一尾と合はせて六尾の釣果である。堰堤より手前の瀬で、ある程度水深のある落ち込みで釣れた。天魚は少し水深のある瀬で、虹鱒は岩魚の好みさうな落ち込みで夫々釣れた。
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ちよつと小さ目だが、随分久し振りに魚を持ちかへる。唐揚げにして頭からばりばり食つた。