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詩「波間の羽根」

島アンソロジー

#貝楼諸島より


            こい瀬 伊音

カワセミの美しい青に嫉妬して
孔雀の羽根を胸にさした
飾りたてた意図を
汲んで

わたしには声がない
あなたにも

朝が早くに来てしまう
波が遠くひいてしまう
島影にて
風で髪を洗って待つ


こぎだしたボートは揺れ
オールはまるで言うことをきかない
すぐそばだと思えた場所が
ほんとうは遠いことをきちんとわかるには
不安と
希望と
恐怖とが混ざらなければならなかった
空と
海と
ちいさな島々とを混ぜなければいけなかった

なだらかな山も近づけば切り立ち
捨ててきた砂浜の名残がざりざりと触れる

泳ぎきればいい
渦のなかを
そのひとの不在だけがわかる
ほかの島々へ向けて

空が燃える
あの舟に乗っているのは誰
あの島で待っているのは


このしろさんが作ってくださった
素敵な素敵な動画です。

そして…
こちらが樺島琥珀さんによる
朗読です。


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