tongari,bunsho and yakusoku
とんがりと文章と約束の話。
なにかが終わるたび、センチメンタルになりすぎてしまう。
ぼくの部屋は、最近、連日汚さのワーストを更新してゆく。片づける気力も生まれてこない。シャツがないと仕事に行けないから、洗濯はちゃんとするのだけれど。
いつかは切り替えて新しいなんかに向かっていかなければ、人生だって、ぼくの部屋のように、連日ワーストを記録していくだろう。
もちろん切り替えて運命や人生に立ち向かっていかねばならない。
でもいまは、ダメだ。
わけわかんなくなるくらいまでよっぱらいたい。記憶なく家まで帰って、シャワーを浴びずベッドに寝るくらいよっぱらいたい。
そんで、次の日後悔するんだよ。
昨日、どうしてもよっぱらいたかった。偶然、隣人がケーキを探しに行こうと、声をかけてくれた。ありがたい。もうひとりも誘うことになり、来てくれた彼はベスパで登場した。
バイクを押しながら彼は言う。
「駐輪場置いてくるわ、飲もう」
カレーを食べた後居酒屋に。偶然にもはじめて彼と飲んだ居酒屋だった。それってもう、半年も前なのね。
「今年一年、なんも成長できなかったとおもうよ」
ぼくがバカでかいハイボールを飲みながら言った。
彼はテレビを見ながら話し始める。
「大学生の頃に書いた映画の表論文を読むと、いまの自分には書けないと思う。いまは尖ろうとして尖っているけど、昔はそんなこと考えなくても尖っていたんだ、と思う。そう考えると、ダサくなったよおれも」
ああ、いい話きいてるわ。とおもいながらバカでかいハイボールを飲んだ。
思い出した、昔書いた、いまのぼくには絶対書けないたくさんの文章を。Melancolic&Poetic。なんだか青くて、ナイーブな文章。いま書くものより好きな文章。
きっと、いまのハイパーダメダメなんもうまくいかんモードじゃなければ、もっと感動したタイプのお話。
ひとは変化し続ける。あらがってもながされても、別にいいんだよね。
ぼくはどっちつかずでちょー中途半端。リアルガチでださすぎるなと思った。
ハイパーダメダメなんもうまくいかんモードじゃなければ、恥ずかしくて死にたくなったと思う。でもいまはもとから「I want love or death」だったから、平気だった。
家に帰ってから、なつかしいことを考えた。
羊文学の塩塚モエカさんの話が出たからなのか、なかなか果たされないなんかが多いからなのか、昔書いた文章を思い出したからなのか。たぶん全部。
「未来の約束をするのは、こわい」
そんな話について、考えていた。
もう何年前の話なのか。とにかく冬。
ぼくはまるい髪形にヘアバンドをして、やせていて、おおきめのサイズの服を自由に着ていた。
明治通りを歩きながら、ぼくがなんかの提案をした。
「未来の約束をするのは、こわい」
そう言ってとなりを歩いていた塩塚モエカさんに似ている女の子は、果たされなかった約束について、話してくれた。話が終わると今度はぼくが果たされなかった約束のお話をした。
「ちゃんと果たしたいからおれは未来の約束、したいなあ」
とぼくが言うと、塩塚モエカさんみたいな女の子は大きな瞳をうるうるさせた。
そしてすこし時が流れると、いくつかの約束は果たされないまま、ぼくはちゃんといつも通りフラれた。
それからもぼくは誰かとたくさんの未来の約束をした。ぼくからしたことも、されたこともたくさんあった。ぼくがしたものについては、きっと果たしたと思う。相手が誰でも。(もしやってないなんかがあれば教えてください、すぐに果たします。)
相変わらず、されたほうの約束は果たされないことが多いけど、そのぶんぼくがする約束については絶対に責任を持って果たしたい。だってもし期待しててながれたら、かなしいでしょ。
最後に、なんでいつもこうなるのか考えた。
それはぼくがそういうふうに生きたいから。ただそれだけだった。
すてきな女の子のためにがんばっている日々が好きだから。そんだけ。
諦めなければきっと、いつかは、高く飛べる,right?
いま文章を書き終えて、30分後にまた「I want love or death」になっていたとしても、だいぶ明るいなんかを取り戻せたような気がする。
前のようなすてきな文章は書けなくても、ぼくは、文章を書くことが、好きだ。
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