ひとつとなりに、し
足元に、無数の星が広がっている。
ホームの、少し先。
目が眩む光の、その先に。
ぐらんと頭を支配する、無。
思考は欠片すら、意味を成さない。
そこに意味を飾ることさえ、今この瞬間では、只のこじつけにしかならない。
耳に宛てがった無限の創造と、呼吸を忘れさせるような、夜。
今はもう、ひたすらに綺麗で、美しくて、美しくて、嗚呼、ああ。
溜め息が、溶ける。
とろ、と闇に堕ちていって、それが私の首に巻き付いて、そのまま下へと、導く。
赦される。赦された。
そんな気分が、身体を、蝕む。
ちがう、ちがう。
生温い言葉で、私を表さないで。
私は、私は、生きているの。
生きているただ一つの証明が、終わりへの導き。
心臓が事切れるその瞬間だけ、私は、確実に、生きているのだ。
誰にも干渉されない、私だけの特別。秘密。甘い蜜。
死。
死。
どくん。
心臓が揺れる。
叫ぶように揺れる。
喉が揺れる。
助けを求めるように揺れる。
瞳が揺れる。
訴えている。
見つけてください。
私はずっと、貴方を待っているのです。
しん、と黙り、言葉も呼吸も紡がず。
貴方を待っているのです。
貴方が私の手をとるその日を。
誰でも駄目なのです。
あなたで無ければダメなのです。
私を救うのは、貴方でなければ駄目なのです。
ただ、刹那に、叫ぶ。
愛してください。
全てを殺すように。
全てを甦らせるように。
あなたの身体に、心に、全てに私を取り込んで。
ひとつになりたい。
貴方になりたいのです。私は。
貴方が瞼を閉じるその先に、私はいるのです。
貴方の闇でいたいのです。
貴方の光でいたいのです。
貴方の全てで、痛いのです。
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