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バレンタイン

最高に幸せだった1月に比べて、2月はどん底だった。

2月のイベントといえばバレンタイン。渡すかどうか本気で悩んだ。私の想いを察してもらうためには、バレンタインほどのいい機会は無い。だけど、同時に、気まづくなるかもしれないという不安もあった。

沢山沢山悩んで、私は"渡す"という選択肢を選んだ。

一生のうちに、バレンタインを渡したいと本気で思える人に、あと何人出会えるんだろう。きっと、今年渡さなかったら、私は後悔する。そんな気持ちが、私を後押ししてくれた。

人生で初めての本命チョコだった。

「大好き」そんな気持ちを込めて、今までのお菓子作りの中で、1番丁寧に作った。見た目も味もめちゃめちゃ気にしたし、妥協をしなかった。

渡そうと決めてたサークルの日。ほんとにたまたま、私の車に先輩が乗ってサークルに行く事になった。一瞬、「え、先輩、バレンタイン貰えると思って、自らタイミング作った?」って思ってしまうほど、渡すにはナイスタイミングだった。

気まづくなりたくなかった私は、もう1人、友達を乗せる予定だったので、友達の家に着いて友達が乗る一瞬の間に、「これあげます」そう言って渡した。

「なにこれ?バレンタイン?あざっす」先輩の反応だった。「軽いなぁ」そう思ったけど、それも先輩らしい。そう思ったし、何より渡せた事に私は大満足してた。

私と先輩のDMはまだ、続いてた。夜のうちに来ていたDMに私が返信していなかったが、朝、「ちょこばりうまでした ありがとう🙏🙏🙏🙏🙏」追いメッセージが来ていた。幸せだった。

だけど、幸せな日々は、振り返ってみるとここまでだった。

バレンタインを渡した5日後、DMが終わってしまった。

そして、その頃から、元カノさんの存在が先輩から見えてきた。

サークルの後の集まりの帰り。「(元カノさん)帰ろうや。俺送ってよ。」そう言って、元カノさんと帰る先輩。そして、そのまま元カノさんの家に泊まっていた先輩。

この頃、先輩はよく、元カノさんの家に泊まっていたし、元カノさんと2人でご飯や映画に行っていた。

聞いた話によると、元カノさんから、復縁の話を持ち出されたらしい。だけど、先輩は断った。そう聞いていた。だけど、先輩は元カノさんと会っている。不安でしかなかった。モヤモヤした。

"動こう"そう思った。振り返ってみると、実現はしてなかったものの、誘ってくれるのは、毎回先輩だった。元カノさんに、負けてられない。そう思って、私でやり取りが終わったDMに、「ご飯行きましょう!」そう送った。

「いいけど、来週行くやん?」

他の先輩と3人でご飯に行く約束はしていた。でも、違う、私は2人で行きたいの。そう思ったけど、「たしかにw」そう言って引き下がるしか出来なかった。

「なら、いいね 笑」

正直、めちゃめちゃムカついた。いつも、気分で誘ってきたのは先輩なのに。私から誘ったのは初めてだったのに。心をズタボロにされた。

でも、来週、3人ではあるけど、ご飯行くし…。そう思って、頑張って前を向いた。

まさか、そのご飯でも、心を引き裂かれるとは思ってなかった。

ご飯中、「彼氏出来た?」「え、(私)に選ぶ権利あるん?来るもの拒まずやろ?」そう言われた。いじわるな先輩全開だった。

そして、帰り道。もう1人の先輩の方が家が近いから、先に送ろうとした時

「俺、先送ってよ。えーもーいーや、俺もここで、(もう1人の先輩の家)降ろして。」

凹むとか、傷ついたとか、そういうレベルの話じゃなかった。もう、何も考えられなかった。多分、先輩は、私に全く気がないんだ。そう、確信した。

この時期から、先輩への恋心が薄れてしまった。好きというよりも、これ以上傷つきたくない思いの方が増していた。

これから、先輩を忘れるための日々が始まる。