もし和菓子レシピサイトがトークンを発行したら②
ステークホルダーとは、特定のサービスやプロダクトにおいて利害関係を持っているすべての登場人物を指す。
例えば、和菓子recipeサイト圏のステークホルダーとは、recipe運営者(和菓子屋)、投稿者(複数)、商品化したい和菓子屋、本にする者(会社)、商品化する者(会社)、本を購入した者(複数)、商品化したもの(新作和菓子)を購入した者(複数)、である。
法定通貨の経済圏では利害が明確な活動にしか金銭は発生しない。しかし報酬はなくともそのサービスやプロダクトの価値向上に貢献する活動も多く存在している。
前述の通り、支払うこと自体がとても困難であるがゆえに、報酬を受け取るステークホルダーはごく一部に限られてしまっている。なぜなら前述の通り支払額が少額だと、手数料という障壁が存在することから、少額報酬はサービス設計から除外されてしまう。
一方仮想通貨(トークン)ならば、どんなに少額の決済でも取引が可能になり、少額支払いの手数料という障壁が無くなる。そうなるとそのサービスは現在よりも多くの埋もれているステークホルダーを探し出すことができる。その前提で報酬の支払いを設計することで、そのサービスにおける経済圏の通貨(=トークン)は循環し始める。
(1)マイクロペイメント
仮想通貨(=トークン)決済なら、1円以下の超少額報酬も支払い可能
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サービスやプロダクトの質を向上させる活動に多くのステークホルダーが参加
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埋もれていたステークホルダーたちの活動をベースに、トークンが循環
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ボランティア的に行われていた小さなアクションにも対価が発生
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アクションによってはより責任が伴い、ステークホルダーの行動心理が変化
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このことは、トークンの価値の最大化への貢献にもつながる
埋もれているステークホルダーに正当な報酬を「任意のタイミングで」支払えることが、循環をさらに促進する。
これを可能にするのが、○即時的な支払いだ。
銀行をはじめとした金融機関などの第三者を介さないため、支払いのタイミングは自由に設定できる。さらにブロックチェーンのプログラムにおいては、ブロックが生成されるごとに入金が可能であることから、即時性は非常に高い。
現在のブロックチェーン技術では、ブロック生成にかかる時間や取引量は確かに課題だが、これらの問題は技術革新が進むにつれて徐々に解消されることが予想される。
自分の活動に対する報酬がすぐにお財布(ウォレット)に入金されると、それぞれのステークホルダーの態度変容が起こる。
冒頭のレシピサイトの例で考えてみよう。
「レシピを見て料理を作って体験レポートを投稿する」と、報酬としてトークンが支払われるとする。この報酬の入金が体験レポートを投稿した数分後なのか、翌月なのか。この違いはステークホルダーのモチベーションを大きく左右するのではないか。
すぐに入金されれば、また次のレポートを書こうという意欲は大きくなるだろう。逆に、入金までの時間が長ければ長いほど意欲は低下し、「レポートを書く」という活動そのものが忘れ去られてしまうかもしれない。
サービスに参加して報酬を得られるユーザー達にとって、自分の懐への入金が早くなることは、次のアクションの促進になる。
レシピサイトにとって「レポート投稿が増える=コンテンツの充実」であり、さらにそのコンテンツには常に報酬が伴うため、トークンはより循環する。
活動が増えれば増えるほどトークンが巡る循環スピードも速まり、それはその経済圏が活発であることを意味する
2)即時的な支払い
仮想通貨(=トークン)取引は、即時的な送受金が可能
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すぐに報酬を受け取れるので、ステークホルダーのモチベーションが向上
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正当な報酬が支払われることで、サービスを取り巻く環境はより健全に
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対価を入手するスピードが早ければ早いほど次のアクションが起こりやすくなる
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トークンの循環が加速し、ステークホルダー間の距離は縮まる
「トークンエコノミーは物質的な豊かさと精神的な豊かさをもたらし、より人間らしい暮らしを実現する」
特定のサービスやプロダクトに限定された通貨がトークンであり、それらのサービスやプロダクトを中心に循環する小さな経済圏がトークンエコノミーだ。
投機目的になっている仮想通貨のようにその通貨自体に価値を見出しているわけではなく、プロダクトやサービスそのものの価値をトークンが代替している。つまり価値あるプロダクトやサービスがトークンエコノミーの中心であることが前提だ。
一つのトークンエコノミーでは、あるサービスやプロダクトを好んだり、その分野での活動を得意としたりする、同じベクトルを持つ人々がトークンを所有する。「その分野での活動が得意」だからこそ、自身が生業としている分野で経済活動に参加することができる。
例えば、レシピを考えて投稿することを生業としている人。
プロの職人だけでなく、万人が取り入れやすいレシピを考えるのが得意な主婦も、レシピサイトのエコノミーでは報酬を得ることができる。現在も一部のトップクラスの主婦はテレビ出演や書籍出版などで報酬を得ているが、レシピサイト内にトークンエコノミーが形成できれば、今より多くの主婦達が報酬を得る事ができるだろう。
絵が得意な人はイラストのエコノミー、文章を書くのが得意な人はライティングのエコノミー、ゲームが得意な人はゲームのエコノミーで、それぞれ今よりも報酬を得られるようになるはずだ。
つまり多くの人々が、特性や特技を活かして自身が参加するエコノミーを選択し、正当な報酬としてトークンを手に入れることができるようになる。
現代社会では何かを生業として報酬を得ようとすると、訓練や資格取得が必要だったり、会社に属するために就職活動をしたりしなければならない。
一方トークンエコノミーなら、まずその経済圏に参加するための準備や手間はほとんどなくなる。参加することも参加をやめることも容易でハードルが低くなるはずだ。最初の一歩は「いいね!」を押して評価することかもしれない。
また、そのようなトークンエコノミーが広がれば、複数のエコノミーに参加しながら報酬を得ることができるようになる。そうなると自身の持つ特性を効率的に活用することができる。
参照 みんなの経済 川本栄介著
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