単純・煩雑・複雑・混沌
8月12日は偶数月ですので通常はカフェの開催ですが、8月はジャングルカンファレンスの特別版をオフラインで開催します。ただし、コロナの最近の感染拡大を考え、参加人数を限定しての開催となりますので、ご興味ある方はジャングルカンファレンスHPをチェックしておいてください。
このカンファレンスが開始したころは、まだ、医師がすべて決定し、その下部組織として各セラピストが存在するという「医師中心モデル」こそが「統合医療」という見方が主流(というかほとんど)であった時代!でした。
ところが、いまでは学会幹部の考えも、ほぼ我々の考える「多元主義」的に移行してきており、隔世の感があります(笑)
当時、某有名病院の偉い先生には「結果の確定しない話し合いなどカンファレンスではない!」というカンファレンスのそもそもの意味を転倒させたお叱りなどもよく学会会場では受けておりました。時代といえば時代の変遷なのでしょうね。
そもそも統合医療は「混沌」とした状況下での意思決定が多くならざるを得ない領域でもあります。その中でのカンファレンスはまさに「非線形」的な決定とならざるをえません。
こうした状況を理解するのに「クネヴィン・フレームワーク」という4つのカテゴリーから見ると、少し視界が開けるようです。詳細は、鈴木規夫著『人が成長するとはどういうことか』に詳しいのでそちらを参考にして頂きたいのですが、要旨としては、我々の世界は4つのカテゴリーに意味付けられるというものです。
4つとは、安定した世界である「単純(simple)」、単純に近いがそこでの問題の原因や構造が単純には判明しない「煩雑(complicated)」、多様な要因が複雑に絡み合い常識が流動的に変化するために原因と結果が明確にならない、そのため実際に行動を起こして反応を観察しかない「複雑(complex)」、さらには想定外の出来事が次々生じる「混沌(chaotic)」。
この「混沌」から少なくとも「複雑」の世界へと向けて変質させていこうとするには、レジリエンス(強靭性)が必要となるわけです。これこそが、「中腰力」とも言える。カンファレンスでの「曖昧さ」に耐える力そのものでもあると思うのです。
生じる問題によって、これらのどのカテゴリーが有効に機能するかは異なるでしょう。しかし多くの混沌を複雑へと変換し、対話を含んだ行動をベースに世界へ働きかけることが重要なのではないでしょうか。行動というキーワードでとらえれば、プラグマティズムとしても把握できる概念にも思えます。
人が成長するとは、どういうことか ーー発達志向型能力開発のためのインテグラル・アプローチ
鈴木 規夫 日本能率協会マネジメントセンター
2021-05-29
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