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統合医療、ジャングルカンファレンスへの誤解など

 先月から群馬大学での統合医療概論の講義が始まっています。昨今の事情から御多分に漏れず「オンライン」です。オンラインの良さも当然ありますが、やはり、教える側も教えられる側も、直接の応答が感じられないというのが、大きなハードルとして残ります。
 特に「統合医療」という、いわば医療業界におけるメジャーな話題ではないので、ネットで調べても見解・意見の一致が認めづらく、伝わりにくくなってしまいます。
 こうした中でも、第1回は統合医療とは何か、という基本的な問題を身近な例なども交えて解説しました。今週からは、第2回として伝統医療・代替医療の各論、第3回は代替医療の並立として多元的な意思決定の在り方から多職種連携への理解、第4回は「統合医療」を俯瞰的に多元主義とプラグマティズムからまとめています。
 学生さんにはなかなか難しい内容も入っているのですが、多職種連携や医療哲学の基盤を学習することも大きな目的ですので何とかついてきてもらいたいと願っております。

 こうした統合医療についての概論的知識というのは、とくに考えたことがなくても、いわゆる「統合医療」はできると思います。しかし、それだといずれ限界が来るのではないでしょうか。
 こうした総論的な事柄を、かつては幾人かの方々が展開していましたが、あまりに理想的過ぎて、当人ですら扱い難い状況となり、あまりお見かけすることもなくなりました。一時的な受けを狙っても、やはり絵に描いた餅となり空中分解してしまうようです。
 その点、この多元主義に基づいたモデルは、地味ではありますが現実的で、医療の実態にも即していると考えています。それに何より、ジャングルカンファレンスという現実モデルが、このオンライン主体の中でも稼働しているというのも大きいでしょう。

 また、ジャングルカンファレンスの本質が理解できない先生方の中には、数回の参加だけですべてを「見切った」ようなコメントをされる方も最近散見されますが、これもまた困ったものです。こうした方の多くは、いわゆる「折衷主義」と「多元主義」の相違が何度言っても理解できないようなのですが、ご本人は完璧に理解していると思っているふしがあります。ただの意見の横並びでは、そもそも「カンファレンス」ですらありません。意見の羅列による退屈な進行により、会が持続不能に陥る場合は例外なく「折衷主義」となっています。ここにも折衷と多元の、決定的な溝が存在しているのですね。
 持続可能な多元主義を少しづつでも、体感していこうと努めるのが、我々の求める「道場」としてジャングルカンファレンスなのです。そして、そのための努力や取り組みこそが、「統合医療」なのだということをあらためて確認したいと思います。


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統合医療の考え方活かし方―新しい健康デザインの実践
小池 弘人 中央アート出版社 2011-07-10

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