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四象限についてのメモ

 最近の話題をウィルバーの四象限でまとめたものをメモします。関心のない方はスルーしてくださいませ! DFPに関しての記載の続編です。
 ウィルバーの四象限をさらに、内部と外部とに分割した詳細なバージョンにて、最近のDFPの視点から記載してみます。

第一象限:これはいわゆる「客観」の視点、「It」と称されるものです。いわゆる客観的・科学的に記載されるものです。ここではDFPの視点から生理学的な新知見として、ファシア、自律神経、免疫、内分泌などをあげておきましょう。詳細としては有髄迷走神経(腹側迷走神経)もここの分類です。これらは全ていわゆる「外部」。「内部」としては、認知心理学的な用語が当てはまると考えられます。安保理論を刷新しうる新しい自律神経・免疫・内分泌学や、経絡理論を発展させるファシア学などは視点としては全てここの分類です。

第二象限:これは「私」という一人称に関するもので、自分の中で展開される精神や無意識など主観的な領域といえます。哲学的な分類でいうと、「内部」は自らの内側から湧き上がるものですから実存主義、「外部」はそうした湧き上がるものを規定している構造ですので構造主義といったところでしょうか。また第一象限は幅広くNBM的領域とすることもできます(厳密には「内部」になるでしょう)。発展的に考えると、第一第四と第二第三との対立をEBMとNBMとの関連として捉えることも可能です。また自由意志の有無なども併せて考えるとさらに興味深いものとなります。

第三象限:これは「私たち」で、二人称・三人称の主観的な視点です。ダイアローグにおいて展開されるものが代表的でしょう。とりわけオープンダイアローグやジャングルカンファレンスにおいて、各人の内面に去来するものが「内部」です。そして、そうした対話の「場」を構造的に規定しているものが「外部」となります。会話の場を成り立たせている雰囲気やルールのようなものでしょうか。総じて、一人称の時には思ってもみなかったものが「やってくる」場、とも言えます。対人の関係性の中から、「個」を超越して創出されると表現してもいいかもしれません。
 ある種のスピリチュアルな療法(ホメオパシーやフラワーエッセンスなど)の妙味もここに関連すると考えています。(この療法には事実と価値の分離の問題が絡んでいるのではないでしょうか)

第四象限:社会における関係性の客観的記載、社会システムみたいなところです。ここは普通に考えると「外部」が想定しやすいので、それのみのようにも感じますが、理論的にはというか原理的に考えると、ここでも「内部」というものを考えることが出来ます。この象限自体が、ベイトソンが問題意識を持ったサイバネティクスが適合します。最近の潮流として、サイバネティクスの内面から記載という視点も注目されており、これが「ネオサイバネティクス」と称される分野です。ここでは、撃たれたミサイルを迎撃しようとする戦闘機のパイロットの内面における試行錯誤、のようなものを想定しているようです。いずれにせよサイバネティクス的な視点は「統合医療」という複眼的なものを扱うにあたってはとても重要な概念になりうるでしょう。ヒト・モノ・コトの関連として特にホメオパシー的な視点にも応用できるのではないかと考えています。
 加えて、第四象限での社会システムは当然、第三象限の間主観性と共に、社会系神経(第一象限的概念である有髄迷走神経)の影響を介して、第二象限(とりわけ構造主義)として一巡し帰還することになるわけです。こうして全部の象限がつながることになります。つまり、止揚されないこうしたつながりこそが、ウィルバーのいうインテグラル(統合)ということなのでしょう。

とりとめないので、この辺で。


インテグラル・シンキング
―統合的思考のためのフレームワーク

鈴木 規夫
コスモスライブラリー  2011-06-01

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