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ChatGPTをつかって新事業のコンセプトを”BTCチーム”でブレストしてみる【新事業構想とAI】

さて、ChatGPTとの対話で、魅力的な新事業構想を検討するためのプロセスの第3回ということで、解決策の検討フェーズでのChatGPTの活用について書いていきます。

最近、新事業を支援する際にChatGPTでアイデア発散したら、あまりうまくいかなかったという声をよく聞きます。僕はこのフェーズにおけるChatGPTの役割は「ネタだし」だと考えています。ソリューションを最後に仕上げるのはやはりヒトです。なので、ChatGPTからは独創性の高いアイデアの創出を期待していません。ヒトが目利きをして枠組みをつくり、ChatGPTが網羅的にネタだしをするがこのフェーズのポイントだと考えています。もちろん、ChatGPTにもコンセプトを考えてもらうのですが、それよりも思考過程やストーリーを可視化する方が大切なのです。下記の画像のようにBTCでブレストしながらコンセプトをつくってもらうと、多様な視点=ネタをだしてもらえるのでオススです。では、本編にはいっていきます。

仮想BTCブレストの様子

▼過去の記事はこちら。

ソリューションを発散する

解決策の検討フェーズは、1)ソリューションを発散する、2)ソリューションを批判する、3)ソリューションを仕上げるの3ステップで進めていきます。今回は1)について書いていきます。
※3)については、基本的にはヒトが仕上げていくという前提でこのシリーズでは触れません。

魅力的な新事業構想を検討するためのプロセス

1)ソリューションを発散する

ソリューションを発散していくためには、多様な視点から自由にアイディエーションしていくことが重要です。ヒトがアイディエーションしていく場合、特定の大きな課題に対して、問い(=切り口)を複数デザインすることで、多様なアイデアをたくさん創出していき、アイデアを組み合わせながらソリューションをつくるのが一般的です。

従来のように「プロダクトをつくる」のであればこの方法で問題ないのですが、現在のように「サービスをつくる」場合は、複数の課題を全体整合性のある体験として解決しなければならなりません。もはやヒトのみでの思考に限界があり、AIを活用したプロセスに転換していく必要があると感じています。そこで、ChatGPTをつかって複数の課題を同時に、しかも多様性のある視点で、かつ短時間で考えられるプロセスにチャレンジしていこう、というのが今回の記事です。

ここからは、第2回でChatGPTが考えた課題仮説の解決策を検討していきます。

第2回でChatGPTから導き出された課題仮説(例)

以下が、ソリューションを発散するためのプロンプトです。まずは、お願いしたいことである、BTCでのブレスト・統合したソリューションをアイデアの創出を宣言しています。次に、ブレスト・ソリューションの定義を明確にしています。

ありがとうございます。
それでは、この課題仮説に対してソリューションを考えていきたいと思います。 顧客担当者(C)、戦略・収益担当者(B)、技術担当者(T)がそれぞれ専門性を活かして会話形式のブレストしながら、統合したソリューションアイデアをひとつだけつくってください。

ブレストは、
すべて賛同するのではなく批判も重要です。
会話形式のブレストは、合計2000文字程度でお願いします。
文字数にはソリューション部分の提案は含めずに、会話のみで2000文字程度でお願いします。

ソリューションは、
コンセプト、詳細説明の順に説明をお願いします。

それぞれは以下の定義です。
コンセプト:
ソリューションを一言で言い表す。メタファーなどを活用しわかりやすさを重視してください。
詳細説明:
全体説明を200文字程度でお願いします。
さらに、顧客、戦略、技術の視点でもそれぞれ200文字程度で説明して下さい。

ソリューション発散のプロンプト

ソリューション発散のプロンプトの書き方を解説します。

プロンプトのコツ

・ブレストでの視点を明確にする

今回は、 顧客担当者(C)、戦略・収益担当者(B)、技術担当者(T)のBTC視点でのブレストとしています。例えば、社会学者、人類学者、経済学者などアカデミックな視点、意思決定者、リスク担当者などの社内的な視点など、明らかにしたい視点を様々な定義することで、さまざまな仮想ブレストを実行できます。

・会話形式でのブレストと文字数

会話形式とすることで、様々な視点でのネタを可視化しようとしています。また、文字数を定義すること、で量をコントロールします。様々な文字数で試してみましたが、現状は2,000文字程度が丁度よいと感じています。

・ソリューションの説明

第2回の課題の定義フェーズでも書きましたが「知りたいことを要素に分解してもらう」ために「顧客、戦略、技術の視点でもそれぞれ200文字程度」と定義しています。このソリューションが、それぞれの視点でどういった価値を創出しているのかを説明してもらっています。

ChatGPTのブレスト会話の全体像とソリューションは以下のとおりです。

仮想BTCブレスト
ソリューション

まあ、そうだよね、っていうソリューション提案ですね。ただ、BTCでの会話・提案されたソリューションを確認すると気になるポイントがあると思います。ここから、そのポイントをつかってどんどん発散していきます。使いこなしの領域です。自分も会話に参加しているかのように、口をはさんで、新たな会話がはじめていきましょう。口をはさむ際に特に意識すべきは枠組みの提示です。ここでは、2つの枠組みである「メタファーを活用する」と「あえて限定する」を紹介します。

・メタファーを活用する

メタファーとは、比喩表現を使うことで物事をわかりやすく伝える手法です。アイディエーションワークショップなどで体験した方も多いかもしれませんね。今回は、重要であると感じる価値や要素の象徴的なメタファーを考え、それを起点にChatGPTが発散していくきっかけとしていきます。

例えば、「手軽さ」が大事だとすると、象徴的なのはコンビニかな。コンビニの価値って、例えば、コンビニのどこにでもある手軽さ、ハイエンドの商品は扱わずにあくまでマス向けの商品のみ、無人店舗のチャレンジ、宅配便、公共料金の支払など頻度を上げるためのサービス充実、とかで会話しもらおうかなー?、みたいな感じです。

コンビニのBTC会話
フィットネス・コンビニ

ソリューションもアップデートされて少しだけ特徴が明確になりました。

・あえて限定する

また、あえてターゲットやタッチポイントを限定してみる、と新しいネタがどんどん提案されてきます。
例えば、ターゲットを女性に限定してみたらどうだろう?、デジタルではなくジムの体験を中心にしたらどうだろう?、などいろいろな視点で拡散が可能です。

女性ターゲット

ChatGPTはいくらでもブレストしてくれます。このような対話を繰り返しながら多様な視点を得て、自分自身でソリューションアイデアを仕上げていきます。

繰り返しになりますが、このフェーズにおいて、ChatGPTの役割は独自性の高いアイデアを考えるのではなくあくまでネタ出しです。その役割を期待する限りでは、我々にとって非常に頼もしいパートナーとなるでしょう。

以上で、第3回の記事は終わりです。いかがでしたか?
次回は、ソリューションのアイデアを意思決定者、リスク担当者の視点から批判してみる、もしくはChatGPTのGPTsでソリューションをユーザーストーリーにしてみる、のどちらかを書いていこうと思います。

では、また。

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