106椀 すんき雑煮
初出:2024年1月11日
<お味噌汁> ひと椀がつむぐ大切なもの それは日本のたから
テーマ:お雑煮
「すんき雑煮」
お正月ですのでお雑煮ということで。我が家のお雑煮は以前にも紹介させていただきましたが、昆布と鰹だしの醤油すまし仕立てで、鶏肉、かまぼこ、豆腐、もち菜(小松菜の一種)、角餅を煮たお雑煮です。これに花鰹をたっぷりかけていただきます。そして元旦のお雑煮だけは男衆が作るのが習わしです。実はお雑煮って他の家のものは食べたことがないのですが、人に聞きますとご近所さんもおおよそこんな感じです。
元旦を過ぎますと、それ以外でもいろんな食べ方でお雑煮をいただきますが、これから紹介するお雑煮は、そんな中のひとつということで、お楽しみいただけましたら幸いです。
話は大晦日になります。我が家では毎年「すんき」と呼ばれる、木曽地方の紫色のかぶを、塩は一切使わずに乳酸発酵のみで作る伝統的なお漬物を作っていまして、そのすんき漬けをかけそばのつゆにたっぷり入れていただくのが恒例の年越しそばとなっているのですが、これを食べている時に「お雑煮にしたらきっとうまかろう!」と思いまして、試しに作って食べてみましたらば、予想通りうまかった!
すんき漬けにはコツがありまして、初日に漬けるかぶを茹でまして、その茹で汁も加えて温度を保ち仕込みます。この理由は、木曽赤かぶには一般的なかぶよりもリンゴ酸が多く含まれているそうで、これが35℃辺りで活発になる高温性乳酸菌の働きによりリンゴ酸をコハク酸に変えると言うんですねー。コハク酸と言うのは貝類に多く含まれる旨味成分ですが、これがすんきを入れた出汁ってなんとなくアサリのような旨味がある秘密です。驚きです。
木曽地方は海から遠く塩が貴重なことで、塩を使わないお漬物を、塩を使わないお漬物よりむしろおいしくという、経験の積み重ねによってあみ出してきた先人に最大の尊敬と感謝をいたします。
出汁:昆布水、酒、みりん、醤油
具材:すんき、餅
薬味:花かつお
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