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ラグランジュ方程式

古典力学(解析力学)において、重要な役割を担っているのが、ラグランジュ方程式とハミルトン方程式です。ラグランジュ方程式の導出を考えてみましょう。

その前に、力学の基本中の基本であるニュートンの運動方程式を思い出してみましょう。ニュートンの運動方程式では、初期値が分かれば、その質点の軌跡が分かるというものです。時刻$${t_0}$$における位置$${x_0}$$と速度$${v_0}$$が分かっていれば、どのような運動をするか解くことができるというものになります。初期値ではなく、軌跡の始点と終点が分かっていたら、どのような軌跡を描くか。つまり、始点と終点の2点間の最短経路を見つけるにはどうすればよいかを考えます。これが、ラグランジュ方程式の導出の出発点になります。

そして、ある力学量が最小の値をとるように運動することを要請します。これを最小作用の原理(ハミルトンの原理)とよびます。
この力学量は、始点の時刻$${t_1}$$、終点の時刻$${t_2}$$とおいて、位置を$${q}$$であらわしたときに、以下のように書くことができます。

$${S=\int_{t_1}^{t_2}L(q,\dot{q},t)dt}$$

この積分を作用といって、関数$${L(q,\dot{q},t)}$$をラグランジアンといいます。ここで、ラグランジアンは、$${q}$$と$${\dot{q}}$$のみの関数で、高階の導関数$${\ddot{q}}$$などにはよりません。これは位置と速度をあたえれば運動が決定されることを表しています。

最小作用の原理は、つぎの形に書くことができます。

$${\delta S=\delta \int_{t_1}^{t_2}L(q,\dot{q},t)dt=0}$$

この式を変形すると、

$${\int_{t_1}^{t_2}\left( \frac{\partial L}{\partial q}\delta q+\frac{\partial L}{\partial \dot{q}}\delta\dot{q}\right)dt=0}$$

が出てきます。この第2項を部分積分することで、

$${\left[\frac{\partial L}{\partial\dot{q}}\delta q\right]_{t_1}^{t_2}+\int_{t_1}^{t_2}\left( \frac{\partial L}{\partial q}-\frac{d}{dt}\frac{\partial L}{\partial \dot{q}}\right)\delta q dt=0}$$

を得ることができます。始点と終点の位置は決まっているので、$${\delta q(t_1)=0}$$、$${\delta q(t_2)=0}$$となります。よって、

$${\frac{\partial L}{\partial q}-\frac{d}{dt}\frac{\partial L}{\partial \dot{q}}=0}$$

が出てきます。これが求めるラグランジュ方程式です。


参考文献


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