
ニュートリノはどこから来るのか
ニュートリノの存在を予言したのは、物理学者のエンリコ・フェルミですが、現在では、さまざまな観測装置で観測されています。
地球で観測されるニュートリノにはどんなものがあるか見てましょう。
地球ニュートリノ
地球内部の放射性物質から放出されたニュートリノを地球ニュートリノといいます。地球内部にあるウランやトリウムのベータ崩壊によって生成されます。原子炉ニュートリノ
原子力発電では、原子炉内の燃料であるウランの原子核が核分裂を起こす際に発生する熱を利用します。核分裂を起こす際、ニュートリノが発生します。これを原子炉ニュートリノといいます。超新星ニュートリノ
太陽と同じ恒星は、水素の核融合によって輝いていますが、太陽の8倍以上の質量を持つ恒星は超新星爆発を起こします。この爆発に伴って生成されるのが、超新星ニュートリノです。大気ニュートリノ
地球に飛来してくる宇宙線と大気との衝突によって生成されたニュートリノを大気ニュートリノと呼びます。宇宙ニュートリノ
宇宙では中性子星の合体など、さまざまな高エネルギー天体現象が起きています。高エネルギー天体から放出されるのが宇宙ニュートリノです。
これらのニュートリノは、どのくらいの頻度で観測され得るのか、ニュートリノのエネルギーとの関係を見たのが下の図です。

日本はニュートリノの研究が世界的にもさかんで、スーパーカミオカンデが有名ですが、カミオカンデの跡地に設置されたのが、カムランドです。地球ニュートリノを観測することで、地磁気発生メカニズムの理解など地球科学の研究がなされています。
また、南極の地下にはアイスキューブ・ニュートリノ観測所があります。南極の氷床を使って、ニュートリノとの衝突を観測します。アイスキューブではPeV(1000 TeV = PeV)のエネルギーを持つ宇宙ニュートリノを観測できます。
これらの観測装置・施設とターゲットとしているニュートリノを比較してみましょう。下の図からも分かるように、同じニュートリノといっても、狙っているものは違うわけですね。

3つのニュートリノ研究施設カムランド、スーパーカミオカンデ、アイスキューブの大きさの違いをみると、アイスキューブが非常に大きいことが分かります。
