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ワインと料理のトリプルペアリングの楽しみ方

ワインから発想した料理

ソムリエとしてレストランにサーヴに入らせていただく際、希少なワインをお持ち込みいただく機会があります。その際によくご要望をいただくのが、それぞれのワインから発想したペアリング料理のご提案。

かつてチーフソムリエを務めていたレストラン「L'AS」に併設する「CORK」というお店では、「ワインから発想した料理」をコース仕立てでご提供していました。この時の経験は、その後のワインディレクターとしての仕事の一つのベースを成しています。

複数本のワインをお持ち込みいただく会がある場合、仮にワインが10種あったとして、それぞれに合わせて料理をコースで提案することは可能。ただそこで、同系統のスタイルと価格帯で、国違いのワインのお持ち込みがある場合、同時に比較しながら飲み比べたいというのは必然のことであり、それが会の大きな目的の一つとなっているのであれば、ペアリングもそこに応える必要がある。

全てのワインに合うように1皿のメインディッシュを提案することもできますが、その場合、どれにも合うように平均的な料理を提供することになってしまうでしょう。

そこで思いついたのは、それぞれに合うと考えられるワインを厳密に考案し、それを同じお皿に乗せて同時に提供すること。そうすることで、ワインの比較もしながら、さらには、各ワインごとのそれぞれのマリアージュを同時に堪能していただけます。

しかし、料理を実際に作るわけではないソムリエである私がこれを口にすることは簡単ですが、非常に難易度が高いこの提供法を、シェフがそう簡単に納得してくれるとは限りません。(若かりし頃に勤務していたレストランで、もしこのような提案を私がしていたとしたら、「お前ふざけんじゃあねえぞ!」と、きっと怒鳴られている)

ところが、今回ご依頼したシェフは、この提案を興味深く受けとめていただいたうえ、快く同意してくださり、今回のスペシャルなマリアージュが実現したのです。ゲストに楽しんでいただくことを最優先に考えるその心に感謝致します。


1990年ヴィンテージの3種の赤ワインとそれぞれの印象

今回、メインディッシュ用のワインとしてお持ち込みいただいたのは、下記の3つのワイン。

どれもが各国を代表する有名銘柄の一つであり、ワインラヴァー垂涎のアイテム。しかも1990年という素晴らしい年のワインということで、30年以上の熟成を経た今どのようになっているのか興味が尽きません。


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