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マデイラワイン その魅力に迫る Part1 比較テイスティング

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はじめに

ポルトガルの酒精強化ワイン「マデイラ」で有名な、銀座の「マデイラエントラーダ」へ。

日本屈指のマデイラワインの品揃えを誇る


「マデイラ」は、世界三大酒精強化ワインの一つに数えられ、ワインスクールの授業でも、酒精強化ワインの説明をする上で、ポート、シェリーと共に第一回目の授業で必ずその名前をお伝えするようにしています。

そして近年は、ソムリエ・ワインエキスパートの二次試験でも頻繁に出題されていて、一次試験や論述対策も含めて、受験生は必ずその特徴を抑えておきたいところ。

今回はそのマデイラワインの魅力をより深く理解するために、マデイラエントラーダにて凝縮した時間を過ごさせていただきました。

店内に入った瞬間に広がる圧倒的な世界観

4種のマデイラのテイスティング表現

まずはマデイラエントラーダのソムリエの佐藤さんから、マデイラの歴史について詳しく解説。

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海流の動きがとてもわかりやすい。船の運搬により赤道を何度も通ったことがマデイラワインの始まり

現地に5回も訪問をされている佐藤ソムリエの、情景が浮かぶような解説が素晴らしく、いろいろな意味でとても勉強になります。


そして早速テイスティング。

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同一生産者の4つの品種を比較テイスティング

ソムリエ・ワインエキスパート試験を受験されたことがある方なら、おそらく一度は覚えた記憶がある「セルシアル・ヴェルデリョ・ブアル・マルヴァジア」。これらは、それぞれが品種の名前であり、段階的に甘さと個性の違いが感じられます。

ではまずは、一番ドライなタイプである「セルシアル」から順番にテイスティング。

香りは柑橘フルーツのピールやマーマレードのニュアンス、クミンやアニスのような香りも感じます。味わいはマデイラの中ではドライタイプではあるものの、通常のワインと比較すると残糖は高めなので、味わいの第一印象にはまろやかな甘味を感じる。中盤からはなめらかな酸味が伸びてきて、香りに感じたフレーヴァーと共に、余韻を長く感じさせてくれる。

「ヴェルデーリョ」は、セルシアルよりもやや甘味が増し、シナモンやホワイトとブラウンのマッシュルームの風味が感じられる。「ブアル」はさらに、ナツメグ、カルダモン、クローヴ、ターメリック等の甘苦いニュアンスを多く感じ、複雑性があります。

最後の「マルヴァジア」は、まさに食後に楽しみたい。カラメルやモカ、香ばしいアーモンドやヘーゼルナッツのフレーヴァーが心地よく広がり、甘味も豊潤。チョコレートやモンブラン、コーヒー風味のデザートとのペアリングがおすすめ。

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リアルを知る佐藤ソムリエの解説はとても勉強になります


マデイラの楽しみ方

ヴィンテージ違違いのテイスティング

先ほどコメントさせていただいた4種のコメントだけを見てもそのタイプは幅広い。あらためてお伝えしたいと思いますが、今回さまざまなタイプをテイスティングさせていただいたことで、考えていた以上に食中酒としての可能性も感じることができました。

とはいえ、私がまずおすすめしたいのは、食後のバータイム的な一杯として、そしてデザートとのマリアージュ。

一日の終わりに、食事を終えた後にこのマデイラと大好きなチョコレートをゆっくりといただくという、まさに大人の贅沢。開栓してからも長い期間キープできるというのも大きな強み。しかもリーズナブルな価格となれば、佐藤ソムリエがおっしゃられていた、「一家に一本マデイラ」というのも大きくうなづけます。

そして、グレープスピリッツの添加による複雑性のある香りと凝縮した味わい。なおかつ加熱熟成由来の香ばしさを伴う風味は、純粋にワイン単体で食後酒として楽しむこともできる。


最後に

まだまだお話したいことがありますが、かなり長くなってしまいそうなので、一旦頭をクールダウンして、また次回の記事でお伝えしたいと思います。

今回、特にサプライズだったのが料理とのペアリング体験。ここに関しまして、私の考え方を含めて、より詳しく掘り下げてお話したいと思います。

最後までご覧いただき誠にありがとうございました。ではまたお会いしましょう。

ワインディレクター 田邉 公一


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