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2024年 最も印象に残ったワイン トップ10 [前編]



はじめに


いよいよ2024年も残すところあと一週間となりました。

一気に寒さも増してきて、賑やかな年末のシーズンに突入し、皆様もお忙しい時間をお過ごしかと思います。体調には充分にお気をつけください。そういう私もここ最近までずっと体調を崩していましたが、今はほぼ復活しております。

先日、このnoteで2024年の振り返りをお話ししましたが、最後の締めくくりと致しまして、今回は今年一年間で特に印象に残ったワインを前・後編のシリーズでご紹介致します。

まさに、2024年にテイスティングした中のベストワイン10本。今回は価格制限は完全に外して、率直に自分の中で感動したワインを挙げさせていただきます。



ワインを選んだ経緯


今回で3年目となった本シリーズ。当初は最も印象に残った1本のみに絞って発表しようと考えていましたが、1年間に撮影してきたワインの写真を全て見直していると、やはり1本に絞りきるのは到底も難しいと判断。今年1年間で2,000種類以上のワインをテイスティングしてきた中から、ベスト10を絞ることにしました。

毎月発表しているシリーズと違い価格制限なしのため、かなり高額であったり、希少性の高いものばかりとなってしまいましたが、純粋に選んでみた結果となっています。しかも、これまでのソムリエ人生の中でも最高のワインに向き合うことができました。

写真を見直していると、その時に感じた香りや味わい、雰囲気、情景が今でも甦ってきます。そういう意味でもワインというのは、音楽や絵画、映画などの芸術作品とよく似た、取り巻く環境全てを含めて一生の記憶に残してくれる存在と言えます。



2024年 最も印象に残ったワインベスト10〜6


少し前置きが長くなってしまいましたが、今回選んだ10本のワインを順番にご紹介していきたいと思います。本記事が前編ということで、まずは5本をご紹介します。



第10位 



シャトー・ディケム 2006


フランス ボルドー地方の著名なソーテルヌ&バルサックの格付けの中でも、唯一特別一級に名を連ねる「シャトー・ディケム」。ソーテルヌの中でも常に別格的な扱いを受け、ブドウが育つテロワールもその造りも秀逸。ブドウの樹1本からグラス1杯分のワインしか生産されないとも言われ、黄金の孔雀の尾を持つワインとして、他とは異なる存在感を放っています。

シャトー・ディケム自体はこれまでにさまざまなヴィンテージをテイスティングする機会がありましたが、今年はこの2006年が唯一で、熟成感と若々しさのちょうど狭間の素晴らしいタイミングでテイスティングをさせていただきました。

香りは非常に複雑性があり、黄桃とアプリコットのコンポートやジャム、キンモクセイやアカシアの華やかなアロマに加え、ヴァニラやヘーゼルナッツ、カラメルや樹液、メイプルのニュアンスも感じます。豊潤な甘味と複数存在する酸の層とのバランスは秀逸で、余韻が長く続いていきます。まさにこのワイン自体が極上のデザート。

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