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コーチングの科学的裏付け

一部において急速に興味関心を高めているコーチングですが、これがもう一歩大きな動きにならないのは、科学的にそれがどういう原理に基づくものなのであるのかが定義されていないところにあるように思います。

コーチングが科学的な行為だと見られていないことが、アカデミアにおいては学術的調査対象に積極的にされない原因のひとつであり、実務界においても、エビデンスが弱いとみられてしまう原因だからです。

その意味でも、コーチングという有益な手法が世に広まるためには、コーチングを受けた対象の中でどのようなことが起こっているのか、科学的な原理がよくよく探求され、また周知されることが必要となります。世の多くのコーチング協会さんには、そのあたり頑張ってもらいたいです。

というわけで、今回はコーチングとは何なのか(What)についての、科学的裏付けの話です。

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コーチングの科学的裏付け。諸説、あるのですが。

社会認知理論(Social Cognitive Theory)に基づいた説明が、グローバルででは力を持つようになっているようです。

社会認知理論とコーチング

社会認知(社会的認知:Social cognition)とは、人が社会から情報を認知する過程のことを指します。そして、社会からどういう情報を手に入れ、それをどう解釈するかは、その人のスキーマ(ないし社会的スキーマ。social schema)に依存します。

スキーマとは、ご自身の過去の経験や、世界をどうとらえるべきかといった考えに基づく、構造化された知識体系です。認識枠組み、とかそんな風に捉えてもらうとよいかもしれません。

結局私たちは、自分自身がつくり上げたスキーマの上で、ものごとを見ているのだ、ということです

ワクチンが救世主に見えるのも陰謀に見えるのも、スキーマ次第だということ。

個人にとって、世界は客観的な存在としてそこにあるのではなく、主観的に捉えたものとしてしか、存在し得ないのです。

だとすれば、スキーマを変えれば、世の中の見え方が変わり、それに伴って個人の行動をも変容させることができるわけです。

個人のスキーマに働きかけ、その再編成を行うことで、社会との関わりをより良いものにするのが、コーチング

まあ、コーチングってそれだけじゃないよという方もおられるかと思います。はい、諸説、ある状況です。が、様々なスタイルや流派があるコーチングのいずれにも一貫した論理を与えてくれるものとしては、社会認知理論はなかなか筋がいいんじゃないかと思います。

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さて。コーチングというのが、相手のスキーマに働きかけることで、取り巻く状況の認識を改め、行動を促すものであるとするならば。

コーチングって、もう少し広い対象に有用なのではないのかと思うのです。

例えば、高齢者。
身体の不調、社会的関わり合いの減少、収入・貯蓄の減少。
高齢者にはスキーマを悪質な方向に変化させうる要因が多数転がっています。すぐに愚痴や世間への不満を言い出すのはこのため。

コーチングによって、捉え方を改め、体の不調に向き合い、関わり合いをよきものにし、経済的な不安を解消することができれば。

人類の幸福の総量は、大きく改善するんじゃないかなあと、思ったりします。


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