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第15回「布施明とクレイジーキャッツ」

2023年12月16日、神戸国際会館こくさいホールで開催された「布施明コンサート 刹那の夢がたり」を鑑賞、会場は老若男女で満員、12月18日で76歳になるとは思えないパワフルな歌声に魅了され、元気をもらいました。

布施明さんは1965年にクレイジーキャッツと同じ渡辺プロダクションから歌手デビュー、渡辺プロ制作の人気音楽バラエティ番組「シャボン玉ホリデー」(日本テレビ系)にもたびたび出演し、次々とヒット曲を連発しました。
阿川佐和子さん司会の「サワコの朝」に2018年に出演された時、ターニングポイントになった曲を聞かれて、植木等さんの「だまって俺について来い」をあげ、次のように語っています。
10代でデビューしたての頃、テレビ局で植木さんを訪ね挨拶した時、真っ白なスーツにズボンといういでたちで歌をうたっておられ、まるで光の中にいるようで、クレーンのカメラの横に立って見ながら、こういう人になりたいと思いました。


ハナ肇さんの奥様、野々山葉子さんは、デビューの頃から布施さんの大ファンだったようで、著書「幸せだったね、ハナちゃん」(扶桑社)の中で、布施さんについて書いておられます。
高校生だった布施明君が「ホイホイミュージック」に出て「ラ・ノビア」を歌っているのをたまたま見た私は、すっかり彼のファンになってしまいました。布施君がハナちゃんと同じ渡辺プロに入ったばかりで、高校へ行きながらレッスンを受けている頃のことです。
ハナちゃんはそれからまもなく布施君をわが家に連れて来てくれ、私の目の前で憧れの歌をたっぷり聴かせてくれたのです。うまい!素敵!ますます大好きになってしまいました。
その後、しょっちゅうわが家に来てくれるようになり、まるで家族みたいなおつき合いが始まりました。ハナちゃんの病気のことも主治医の先生が「布施君はハナちゃんの息子みたいなものだから話しましょう」と言って、早い段階から彼はハナちゃんがガンであることを知らされていました。
布施さんは、徳光和夫さんの番組の中で、ハナさんについて「1960年代少し雑に歌っていた俺をいましめてくれ"お前なぁ、歌は財産だからなぁ"とよく言ってくれてました」と語っています。

布施さんは2019年の「ザ・インタビュー」(BS朝日)の中で、「(植木等さんと音楽番組で共演した時)音楽について多くを学んだ。声の出し方から音楽に対する姿勢まで教えてくれ尊敬している」と語っています。
2人がガッチリ共演した番組は「夜のグランドショー」「歌う夢のデイト」「二人のジョッキー」(1972年4月〜1973年3月、フジテレビ系)。タイトルはいろいろ変わりますが、基本、植木さんと布施さんがメインレギュラーを務める音楽バラエティ番組で、山本直純さんや岸辺シローさんもレギュラー出演していました。
布施さんとクレイジーの映画共演は2本です。
1970年の正月映画「クレージーの殴り込み清水港」(東宝、坪島孝監督)

1986年12月末封切りの「愛しのチィパッパ」
(松竹、栗山富夫監督、山田洋次さんも脚本に参加)。

2022年「うたコン」(NHK)に布施さんが出演、ここでも「植木さんからいろんなことを教えてもらった。日本語、いわゆる言葉は大切にしなきゃいけないと一番最初に言われた」と語っています。この後、布施さんが歌った曲は、植木さんが1990年に発売して大ヒットしたCDアルバム「スーダラ伝説」の中に収録された隠れた名曲「銀座イエスタデイ」(作詞 伊藤アキラ、作曲 宮川泰)。植木さんがジャズマンだったころをイメージした曲を、昭和30年頃の銀座のモノクロ映像が流れる中、トランペットの演奏から始まり、布施さんがジャジーに歌い上げてくれました。
2021年、デビュー55周年を迎えた布施さんは記念アルバムを発売しましたが、その中に敬愛する植木等さんが歌った音源をリアレンジする技術を使って、2人のデュエット曲「花と小父さん」(作詞作曲 浜口庫之助)を収録しています。植木さんのクルーナーボイスと布施さんの伸びのある歌声で絶妙な仕上がりとなっています。

#布施明 #クレイジーキャッツ#植木等#ハナ肇#花と小父さん

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