危うく🇺🇸再入国できないところだった【ビザとは】

こんにちは、ミネソタより、コーイチがお届けします。
基本的に日本から出て外国に入国するにはパスポートとビザが必要です。
今回は前半に、てんやわんやした僕の一時帰国について、そして後半に、パスポートとビザについてざっくりご紹介します。

※情報は時事刻々と変わる可能性があるので、必要な方は各自で自分のシチュエーションに合わせてしっかり確認してくださいね！最後に参考資料のリンクを付けています。

アメリカから出ると再入国できない可能性

急遽、一時帰国することが決まって、その3日後くらいに、あわててアメリカを出ることになりました。

ミネソタ州で最も大きな空港がミネアポリス- セントポール国際空港です（通称MSP）。このMSPからは今は日本への直行便がなくなってしまったので、アメリカ国内で乗り継ぎです。4時間かけて太平洋に面した西海岸、ロサンゼルス国際空港（通称LAX）に飛びました。

LAXはとても混雑していて、飛行機を降りてからもターミナルをバスで移動しなくちゃいけなかったり、荷物の受け取りをひたすら待ったり、ただそれだけで2時間かかるなど、いろいろ大変でした。

そして出国の審査を経てなんとか、慌ただしく羽田空港行きの飛行機に乗る搭乗ゲートまでやってきました。
あとは飛行機に乗って飛ぶだけで帰国〜、ホッと一息安堵したのも束の間、ちゃんとアメリカに戻って来れるんだろうか？とふと疑問が湧いてきました（遅い）。

日本のパスポートを持った日本人だから日本に入国するのは楽だろう。でも、アメリカに戻ってきた時に、ちゃんとスムーズに入国できるのか？
…ということでパソコンを開いて、再入国に必要な書類について詳しく調べていました（遅い）。

そこで初めて気がつきました。
僕のビザ（後述しますがJ1というビザ）の場合、アメリカに1年以上滞在した後で一時的に出国する場合は、DS2019という書類の”Travel Validation”というところに雇用主のサインが必要ということでした。
実はこのDS2019というのがビザの次に重要な書類なのですが、有効期間内だし雇用主のサインも入ってるし全く問題ない、と思っていました。しかしなんと、もう一つ追加でサインをもらわないといけないらしいのです。

アメリカのオフィスにあわてて電話してみた

というわけでアメリカに戻ってきた時に再入国できない可能性が急浮上したわけです。
一瞬ミネソタに戻ってサインをもらうことも考えたのですが、しばらく考えて、「もうそのまま出国しちゃおう」と開き直ってしまいました。
サイン一つのために時間も飛行機も無駄になるからです。そもそも3日前に帰国が決まった時点で、リモートワークのオフィサー相手にサインをもらう時間もなかった気がします。もし再入国できなかったらバケーション延長と考えて人生のネタの一つにしようと思いました。笑

しかしこのままでは再入国が危ういわけです。ソワソワと肝を冷やしながらのフライトになってしまいました。ロサンゼルスの夜中0時、飛行機に乗って出発しました。
12時間後、日本時間の日付では2日後の早朝、日本の羽田空港に到着しました。
それから速攻でアメリカに連絡を入れました。

雇用先の、ビザを扱う部門に電話。事情を説明し、なんと新しくDS2019の書類を再発行してサインも入れて送ってくれるとのことでした。
そこは国際便で有名なFedExの出番です（この旅では他にもう一度FedExのお世話になるとはこの時夢にも思わず…）。1週間ほどで日本の実家に送ってもらえることになりました。

僕の滞在期間は約1週間です。帰りの飛行機は決まっています。それまでに届かなければ出発できないということになってしまいます。
これまたソワソワする毎日の始まりです。
（とはいえ楽観的な僕の場合、そのことは忘れて1週間悠長にしていましたが…）

この時、アメリカのオフィスの仕事の遅さを侮ってはいけません。
最初の連絡は実はとりあえず電子メールを送っていたのですが、自動返信がすぐに返ってきて、「リモートなのですぐに返信できません。5営業日くらいお待ちください」という内容でした。
それを見た瞬間、もう返信は来ないと直感しました。笑

すぐに日本に入国してから日本のSIMカードを手に入れて、繋がるまで電話することにしました。
あらかじめ必要な情報や実家住所などをメールしておいたおかげで、それを確認してもらいながら話せたのでスムーズでした。

※この時の電話対応は、そんなメール来てないよ〜、あ、みっけみっけ〜。みたいな軽いやりとりだったので、思い返すと笑えます。きっとドーナツ片手に電話してたんでしょう。見えます。

アメリカのオフィスを味方につけるには、あの手この手が必要です。めちゃくちゃ焦っている感や、すがりつく感が無いと返信もありません。
でも逆に言うと電話で直接事情を伝えられれば、一気に事が進むのもアメリカの良さですね。その電話の翌日には書類を発送してくれていました！

そして日本を出る飛行機の前日（ギリギリ）、ついに実家にFedExが届きました！
（クリアファイルにも入ってない、レターパックみたいなやつに紙が一枚…雨に濡れたらどうなってたんだろう）
必要だったサインもちゃんと入ってました。

そしてその書類を手にアメリカに帰国し、再入国を無事に済ませました。入国審査では新しいサインの入ったDS2019を見せるとすんなり通してくれました。周りを見渡すと、ものすごい質問攻めにあったり、待たされたりしている外国人だらけです。日本のパスポートのおかげもあるのかな、と先人たちの築き上げてきた信頼に感謝です。

というわけで、当たり前ですが、準備する間も無くバタバタで出国するのは、やめた方がいいですね。笑
きちんとビザに記載されている制限やルールを事前に確認しましょう。そうでないと、最終的になんとかなるにしても、その道中がずっとソワソワすることになるので精神的に負担ですからね。

追記：本当に、人によってシチュエーションは異なります。入国時にトラブルに遭った人の経験談によると、職場のオフィスに電話をかけて上司に身分を説明してもらって通過できた人や、手元にない原本の書類を写真に撮って送ってもらってその場で見せた人など、皆さんいろんな経験があるようでした。笑
確実なものは何もないな、と思います。ルールを理解しておく、用意できる資料はきちんと用意する、落ち着いて臨機応変に対応する、というのが当たり前だけど重要だと感じました。

パスポートとビザ

ここから少し、海外に行ったことが無い人向けにパスポートとビザとは何か少し補足説明しておきます。

まずパスポートとビザの違いについてですが、
パスポートは、その人がどこの国から来た何者であるか証明するもので、渡航者の国が発行するものです。
ビザ（査証）は、その人が入国しても安全かどうか審査した結果として、渡航先の国が発行するものです。事前にもらっておくべき「入国許可証」のようなものですね。

僕は日本国籍なので日本のパスポートを持っています。
日本のパスポートは強いとよく言われていますが（参考資料1）、ありがたいことにビザを取得する手続きが必要ない国も多いのです。（日本のパスポートでビザが免除されている国リスト, 外務省Webページ, 参考資料２）

日本のパスポートには有効期限が5年のものと10年のものがあって、取得できる年齢や値段が違います。20歳を越えれば10年のものが取得できるので、僕は海外での学会への参加などのために10年のものを取得しています。申請してから実際に手元に届くには結構時間がかかりますし、航空券の手配にも必要になってくるので、渡航前に２か月以上余裕持って申請した方がいいです。

そしてアメリカのビザに関しては、種類がたくさんあります。
まず、ビザとはちょっと違うのですが、観光やビジネス目的で短期間滞在する場合はESTA（参考資料３）という制度があります。
ESTAはインターネット上で登録できるもので、それに登録しておけば最大90日間アメリカに滞在できます。ただしあくまで観光などしかできませんし、長期間滞在することはできません。ESTAは別名ビザ免除プログラムとも言われています。

一方で、多くの方が当てはまるのは、まず学生ビザ（F1）。通うことになる学校が発行してくれる書類をもとに申請できるようになるビザです。
そして就労ビザ（H-1B, L1など）と呼ばれるものは、就職先が決まってから、雇用主が書類を作成してくれて、それを持ってアメリカの領事館に行って申請を行います。

研究留学のJ1ビザ

そして僕は博士号を日本で取得してから、研究留学としてアメリカの病院にやってきました。ここでポスドクとして就職して今に至ります。

そんな僕のビザは交流訪問者ビザ（J1）（参考資料４）です。研究者や一時的に滞在するインターンシップ生が適用範囲になっています。
あくまで、ここで仕事をするというよりかは、トレーニングを受けたり、技術向上のための研修を行うという側面が強いものです。ただし人によってシチュエーションは全然違っていて、僕の場合はただのトレーニングというより、就労ビザを持っている人たちとほぼ同じように仕事をして、同じようにこちらで給料をもらっています。日本から給料をもらいながら来る人もいます。

J1ビザを申請するためにはDS2019というピラっと一枚の書類がものすごく重要です。これをもとに申請を行うんですけど、実はビザを取得した後もずっと必要な書類で、今回僕が再入国問題が発生したのもこの書類です。
僕も当初、こんな藁半紙みたいな紙で大丈夫なのか？印刷ずれて斜めになってるけど⁈ってなったんですけど、それでも重要な書類です。ビザの申請だけじゃなくて後々必要になってくるというのが怖いところですよね。

人によっては僕の時に必要だったサインが再入国時に必要なかったという人もいるみたいなんですけど、それは1年ずつ更新している場合だったりします。僕のビザは有効期間が5年で、途中の更新はないビザです。つまり同じビザでも、人によって有効期限や制限が違うので、人に聞いてそのままそれが自分にも当てはまるとは限らないのがちょっと怖いところです！

僕は将来J1ビザが切れる前に一度H-1Bという就労ビザに切り替えてもらう予定です。そしてその後に永住を目指す場合、グリーンカードに切り替えるかもしれません。
グリーンカードはビザの一種なんですけど、かなり取得ハードルの高いものです。これを取得するとアメリカに永住することができるようになり、職業の自由が与えられます。どこで働いてもいいということになります。J1やH-1Bビザの場合、雇用主との契約が切れればビザも切れてしまうことになりますが、グリーンカードを持っていればずっとアメリカで仕事ができるわけです（10年での更新などの必要はある）。

グリーンカードは特殊なスキルを持った職業が対象になる雇用ベースの枠と（研究者の僕だとここを目指す形になりそう）、家族ベースの枠（アメリカ人と結婚するなど）、そして抽選枠があります。
抽選は誰でも申請できるので、宝くじ感覚で毎年申請している方もいらっしゃいます（大体10月くらい）。

※なぜ抽選？→基準によらずランダムに人を招くことで、米国にとっての多様性を確保する仕組みが抽選によるグリーンカードなのです。Diversity Visa とも呼ばれます（参考資料５）。

もしアメリカでの生活に興味があれば、抽選に申請してみるのもありかもしれません！

参考資料

１）The most powerful passports in the world in 2022, ranked; https://www.insider.com/the-most-powerful-passports-in-the-world-in-2022-ranked-2022-7 (英語); https://www.businessinsider.jp/post-256977 (日本語)

２）日本のパスポートでビザが免除されている国リスト（外務省Webページ）https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/visa/tanki/novisa.html

３）ESTA（観光でアメリカに来る際に必要）https://esta-center.com/

４）交流訪問者ビザ; https://www.ustraveldocs.com/jp_jp/jp-niv-typej.asp

５）抽選プログラムの公式ウェブサイトhttps://dvprogram.state.gov/