旅05-美しきプラハ・クラクフ
モスクワからプラハに着いたもののすぐにチェスキークルムロフに移動し、ふとプルゼニュで幸せな時を過ごして、やっとプラハに戻ってきた。
チェスキークルムロフは小さいながらもかわいらしい街なのですが、書き始めるとまたプラハの話が伸びるので…
さて、プラハ。
東欧一の観光地と言っても過言ではないプラハ。観光客であふれている。もちろん街自体に期待大だったが、どうしても浦沢直樹『MONSTER』の”チェドック橋”と”3匹のカエル”を探したくなるし、映画『マルコビッチの穴』のオープニングで見たマリオネットを見たい、と思う。
前者はもちろん創作なので… 一応探してみましたが見つからず。『チェドック』は国営の旅行会社だし、カエルに至ってはなぜ蛙なのかもよく分からず。深追いはやめよう。大失敗の過去がある。
インドのヴァーラーナスィ(バラナシ、ベナレス等々様々な呼び方がある)で”母なるチャームンダー"を探してリクシャーワーラー兄弟を一日中走らせたことがある。遠藤周作さんの『深い河』で印象的だったこの像を探すために頑張ってみたのだが、結局はバラナシの洞窟ではなく、ニューデリーの博物館にあるってオチだった。遠藤さんはこの像の前で泣き崩れたらしいが、僕に怒られながら、僕を後部座席に乗せリクシャーの運転席に3人で乗り走り回ったリクシャーワーラーには大変申し訳ないことをした。
街中を流れるドナウ川は雄大でした。ライン川よりより多くの国を縫って長いこと流れていくこの川。この川を見てから、ゆっくりと流れる川をみる度に『日本は急流が多くてさ、やっぱり島国なんだなー』と感じるようになった。そんなときはプラハのドナウを思い出し、カレル橋周りの夕方を思い出す。マリオネットも、おみやげ物売りも。プラハ城から見下ろすドナウも。
国立マリオネット劇場で”ドン・ジョバンニ”。ここの入り口が3匹のカエルのネタ元かも。精巧な動きと技だけでなく笑いも盛り込まれたマリオネットは大衆芸能なんだなあ。薄暗い街を宿へ戻りつつ、人間だって実はマリオネットのように誰かに操られているのかもと深さの見えない夜空を見上げていた。
幸せなプラハの街と人々だったのだけど、現地で会い一緒に行動した日本人2人(それぞれ個人旅行)が結構ディープだったので、今ではそっちの印象のほうが強い。2人とも日本以外に住んでいる日本人だったこともあり、根本的な常識を見直す機会にもなった。今現在も高級店以外では右手フォーク・左手ナイフで料理を食べるのは彼らの影響。『利き手で食べたほうが旨いでしょ』 確かにその通りだ。左手でナイフを使えるようになればこちらのほうがいい。アップルウォッチを右手につけて行動しているが、時計は左手で慣れても変えたほうが良ければ変えるべしと考えている、その原点もココだ。
彼らはソフトドラッグもやれば、シャワー浴びて○○パークにもいくし、街中に”リズム”って落書きもする。後者はもちろんやりたいとも思わないし、前者は『自分を刷新』するなんでもトライの長旅の中で特に絶対に手を出さないと決めていたものだった。ただ、その世界間は知っておいて損はない。そのくらいのジャンキーの周りにいても自分に危険はないので、自己責任で何も言うことは無い。少しずつ、自分のカタい部分をほぐす経験にさせて頂く。彼らから得るものはたくさんあり、不思議なくらい嫌いになることもなければ、僕のカタい部分をそぎ落としてくれる大切な人たちでもある。
プラハを出て、ポーランドに戻る。ワルシャワは飛ばして、クラクフ。12月中旬までにトルコのイスタンブールに行く予定だし、比較的物価の高い中欧はポンポンと行こう。
クラクフはおそらく日本人にとっては有名な街ではないのだけど、数日でメジャーでないヨーロッパ観光を楽しみたい人には最も勧める街だ。毛色の違う3つの世界遺産が集まっているからだ。
1つ目の世界遺産ははクラクフの街自体。ヨーロッパでも有数の美しい街だと今でも思います。ビールは細長いタワーから手酌で飲み、差分を支払う。
2つ目はヴィエリチカの塩鉱。(写真の拙さが旅の序盤を物語る...) 実はここが圧倒的に凄い。広く、深く、美しい。地下の観光地というとトルコのカッパドキアが有名でがっかりした人も多いと思うけれど、ここは想像を超えます。
そして3つ目がオシフィエンチム。ドイツ名『アウシュビッツ』
寒気がするのはきっと僕の想像力が生んだバイブレーションなのだろう。大量の髪の毛。靴・鞄・皿…等々の生活用品。僕の筆では中途半端になるので敢えて書きません。写真も載せません。てか、カメラのバッテリーを忘れて取れなかった。携帯のカメラには残っているけど、写真がなくても忘れられない景色と雰囲気。ヨーロッパの子供たちの団体は笑いながら見てました。僕は笑えないけど、僕らの先祖はナチ寄りだったんだよなあ・・・。機会があったら、是非一度行くことをお勧めします。
9月4日に富山を出発し、9月最終日をクラクフで迎えました。短期旅行者だった僕にとって、社会人になる前の卒業旅行を含んでも、この今回の旅が最長となりました。もう長旅なんてできないと思っていたのに。来ちゃったよ、辞めちゃったよ。脱線しちゃったよ。
たまに背筋がスッとなるけれど、明日も新しい景色が待っている。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?