旅35-ケルキラの東
2月18日の夜にクレタにいたのだが、19日にケルキラ島着。アテネ早朝到着、バスで10時間揺られてギリシア最北西の島へ。やっとのことで宿を見つけ、電話して車の迎えを呼んだ。島の対岸まで約30分。海沿いに立つホステル。1泊€19。朝夕食つきは当たり前。だって周りには町も何もない。いや、見上げれば…。村まで300mの高低差があるのだ。
都合ケルキラ島には4泊。バーリ行きのフェリーは週2便だから。クレタからハードな移動をしたのでまあいいか、という感じ。この宿から見える海は美しい。静かな立地のホテル。
ただし、宿のおばちゃんは英語が聞き取れないとすぐ怒る、日向は暖かいが、暖房が暖炉しかなく夜は吐く息が白くなる、2か所で同時に使うとホットシャワーの温度が急低下する、ケルキラ行きのバスが出るペレカスの町まで急登20分、うっとうしいスイス人が毎晩ウダウダ自分の宗教論を押しつける。それを補って余りあるのだから、いいところなのだ。まあ、こんなもっとも寒い時期に来るべきところではない。春から秋に来て€15/日でスクーターを借りればすべて解決する。
ケルキラシティは島の中央東岸にある。アイネイアスはクレタからイオニア海岸を北上しこの海を渡った。ここの対岸はアルバニア。そこにプトロトウムがある。プトロトウムの正確な位置は?だが、僕は既にそこを訪れている。昨年立ち寄ったサランダ、そしてブトリントがそれに近い。ブトリントはトロイアゆかりの地、美しさは既に記したとおり。
そこから北へ行ったエピロスにて2人のトロイア人と出会う。唯一生き残った王子・ヘレノスと、トロイアの第一王子ヘクトルの寡婦アンドロマケ。しかし彼らにトロイア再建の夢はもうなかった。それでもアイネイアス達は旅を続ける。彼らはまだ諦めなかった。その強い志はすべての人間を、男たちを女たちを魅惑するのではないか?
現在、ケルキラ東岸にはビザンチン時代の城が建っている。対岸のサランダまでは船が出ている。その他、この島は冬でも多くの船が出入りする活気のある島。イオニア海の美しさ。エーゲ海とはまた違ったものである。
例えばコリントス。ここは右と左で海の色が異なるという。寒さの中暖炉の前で暖まると“温かさ”の心地よさを再確認する。東の海を北上し、彼らの折れない志の高さと高貴さを再確認する。そんな4日間。
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