No.13 英語教育の拡充について
今回は英語教育についてです。
4月から「のぞみ」は、国際バカロレア(IB)候補園として、本格的にIBプログラムに乗っ取った幼児教育を行っていきます。
それに伴い、英語教育を大幅に拡充します。
四月からは正課保育内の英語の学び=遊びに加え、課外教室も始まります。
正課、課外両方とも、園長自身が、現在「英語で遊ぼう!」を担当してくださっているマット・ハースト先生と協力して、独自のプログラムを作成し、運営していきます。
その「独自のプログラム」とは、高校卒業直後、全く英語を喋れずに渡米した私が、曲がりなりにも英語圏の大学で英語で教えるまでになった経験をもとにしています。
その極意とは至極単純で、「英語を学ぶ」ではなく、「(英語以外の)学びたいことを、英語で学ぶ」というものです。
私にとっての「学びたいこと」とは、「バスケの神様」マイケル・ジョーダンのことでした。
渡米後、英語が出来ないゆえ友だちも出来なかった私が、マイケルのおかげで英語が出来るようになりました。
そしてそのおかげで、多くのかけがえのない友人や先生を得ることが出来ました。
「バスケの神様」は私にとって、「英語の神様」でもありました。
それゆえ私は、マット先生と一緒に作っていく「のぞみ」の英語プログラムの方法を、「ジョーダン・メソッド」と呼ぶことにします。
「冗談のような本当の話」ということもありますし。
余談ですが、マット先生が日本語を学んだ日本語学校が編み出した、世界で最もよく知られる日本語教授法も「ジョーダン・メソッド」といいます(マイケル・ジョーダンとは関係ありません)。
しかもこの日本語学校は、ニューヨーク州の田舎にある私の出身校内にあります。
そんな2人がここ己斐上で一緒に英語を教えるわけですから、深い縁を感じずにはいれません。
まず正課では、毎週月曜日、年少から年長までの全てのクラスに約15分ずつ、マット先生が「英語の先生」としてではなく、「「のぞみっこ」と友だちになりたい米国人」として入っていきます。
ですので今後は、「マット先生」ではなく単に「マット」と呼んで欲しいというのが、本人の希望です。
つまり「のぞみっこ」は、「米国出身で、英語が母国語のマットと友だちになる」という「物語=ごっこ遊び」を実際に生きるなかで、英語を習得していきます。
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毎週月曜日にマットがやって来た時に、マットが子どもたちと話す内容は事前に決まっています。
それをその日までの一週間、幼稚園での生活の色々な場面で、(私も含め)先生たちが子供たちと話ます。
例えば第一週目で言えば、「Good Morning!」(先生/マット)、「Good Morning!」(園児)、「How are you?」(先生/マット)、「Good! How are you?」(園児)、「Good! 」(先生/マット)というように。
最初ということもあり短いやり取りですが、回を重ねてもそれほど増えることはありません。
というのも、このプログラムの最大の目的は、ネイティブ・スピーカーと実際に英語で会話をすることの喜び、楽しみを感じ、「もっと英語を学びたい!」という意欲を持ってもらうことだからです。
ですので、子供たちにとっての「ぼくの好きな先生」である園の先生や保護者の方々がまずそうした楽しみ、喜びを持ち、それが子供たちに伝わるように出来ればと思います。
ちなみに、英語でも、それ以外のことでも、「子どもたちにこうなってほしい」と願う人間に、まず我々大人がなるように努めるということが、IB園である「のぞみ」の先生の最も大切な姿勢です。
そうしたことから、英語に関しては、毎週火曜日午後にマットに来園していただき、彼を相手に「のぞみ」の先生方は、翌週月曜の彼と園児の英語でのやり取りを事前に練習します。
それを翌日水曜日の正課保育の中で園児たちと練習し、その後翌週月曜にマットがやって来るまで、園での日常のあらゆる場面で、先生と園児、そして園児同志で話すようにします。
また火曜日にマットが来園した際、彼と園長の同様のやり取りを動画に撮り、「てのりの」で配信する予定です。
それをもとに、園で先生たちと子どもたち(ないし園児同士)がやるように、家でも保護者の方々と子どもたちが楽しんで練習していただくのが理想です。
課外教室も同様に、外国人である「マットと友だちになる」という主旨で、正課をより深めた内容に挑戦していきます。
例えば、上記の第一週目との関係で言えば、正課での「How are you?」、「Good!」に続く会話として、「Are you having fun?」、「Yes,I’m having fun! / No, I’m not having fun…」、(「No, I’m not having fun」の場合だったら)「Then, let’s have fun together!」、「OK!」...と続けていきます。
こうした学びは、単に英語のためだけのものではなく、「持続可能な社会の担い手として、国境を超えて他者と協働出来る人材の基礎を育む」というIB教育の究極目標(=「のぞみ」の究極目標)に向けてのものです。