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No.1「ぼくの好きな先生」

「のぞみっこ」のお母さん、お父さん、先生方!

そしてこれから「のぞみっこ」になるお子さんのお母さん、お父さん!

さらには、日本中、いや、世界中のお母さん、お父さん!

そして「のぞみ」を応援してくれる全てのみなさん!

全員ひっくるめて、こんにちは!

「のぞみ幼稚園」園長の遠藤克彦です。

9月1日の園長就任を機に、「ぼくの好きな先生」と題したこのブログを定期的に書きます。

これまで毎月お配りしてきた「園だより」の、スケジュール以外の部分の代わりに。

この記念すべき第一回目は、ブログのタイトルと同名のRCサクセションの曲で幕を開けます:
https://www.youtube.com/watch?v=pdMxECE-OpU

この曲の歌詞は、RCのリーダーであった忌野清志郎の恩師である彼の高校の美術教師(小林晴雄先生)がモデルになっています:

「ぼくの好きな先生」(RCサクセション、1972)

たばこを吸いながら いつでもつまらなそうに
たばこを吸いながら いつでも部屋に一人
ぼくの好きな先生 ぼくの好きなおじさん

たばこと絵の具のにおいの あの部屋にいつも一人
たばこを吸いながら キャンバスに向かってた
ぼくの好きな先生 ぼくの好きなおじさん

たばこを吸いながら 困ったような顔をして
遅刻の多い僕を 口数も少なくしかるのさ
ぼくの好きな先生 ぼくの好きなおじさん
たばこと絵の具のにおいの ぼくの好きなおじさん

たばこを吸いながら あの部屋にいつも一人
ぼくと同じなんだ 職員室がきらいなのさ
ぼくの好きな先生 ぼくの好きなおじさん

たばこを吸いながら 劣等生のこのぼくに
すてきな話をしてくれた ちっとも先生らしくない
ぼくの好きな先生 ぼくの好きなおじさん
たばこと絵の具のにおいの ぼくの好きなおじさん
(作詞:忌野清志郎)

清志郎は、「高校時代に小林先生に出会わなかったら、その後の自分はなかった」と言っています。

私にとって清志郎が「ぼくの好きな先生」でした。

「ぼくの好きな先生」との出会いが、子どもの成長にとって最も大事なことです。

このブログ「僕の好きな先生」は、「のぞみっこ」のお母さん、お父さんと、「のぞみ」の先生全員が、「ぼくの好きな先生」になるために必要なことを学んでいく「共育の場」です。

「共育」

それは、私たち大人が、「ぼくの好きな先生」に一歩でも近づくよう、園児と共に育つことを意味する、新たな「のぞみ」の教育理念です。

特に、お母さん、お父さんは子どもにとって、一番最初に出会い、そして最も身近で、最も大事な「先生」です。

私たち「のぞみ」の先生全員は、「のぞみっこ」のお母さん、お父さんが、自分のお子さんにとっての「ぼくの好きな先生」となるよう、全力で応援します。

勿論、私たち先生自身が、「のぞみっこ」にとっての「ぼくの好きな先生」になれるよう、日々努めながら。

「ラジオの時間」という名の学校

このブログでは、本の紹介、私が日本国内外で出会った素晴らしい先生たちのこと、海外で経験・見聞したこと等々、共育の役に立ちそうな様々なことを書いていきます。

「まるでラジオ番組を聴いているかのよう」と、みなさんに思っていただけるように。

と言うのも、18歳で米国に旅立つまでの私にとって、ラジオこそが本当の意味での学校でした。

「ラジオの時間」という名の学校。

忌野清志郎、矢野顕子、坂本龍一、桑田佳祐、佐野元春、山下達郎…。

「ラジオの時間」は「ぼくの好きな先生」ばかりの学校でした。

それはとても楽しい学校でした。

「ぼくの好きな先生」たちは、自分の好きなもの(ドビュッシー、ジョン・レノン、ビートニック、三島由紀夫、中上健次、村上龍、…)を本当に楽しそうに話してくれました。

♪たばこを吸いながら 劣等生のこのぼくに
すてきな話をしてくれた ちっとも先生らしくない
ぼくの好きな先生 ぼくの好きなおじさん♪

それを聴いてる「生徒」の私も楽しい気分になりました。

そして「先生」たちの好きなものに興味を持ち、次第にそれらについて自分で学ぶようになっていました。

「探求型学習」とは

実は、「ラジオの時間」でのこうした学びこそが、これからの「のぞみ」がやっていこうとしていることです。

「探求型学習」

その基礎創り。

それが、これからの「のぞみ」がやっていこうとしていることです。

今から約五年ほど前から文部科学省は、日本全体の幼稚園から高校まで教育を、従来の「詰込み型学習」から「探求型学習」へと大きく変え始めました。

文科省は、なぜそのような世紀の大改革を断行し始めたのか?

それについては次回、「なぜ日本人は英語が苦手なのか?」についてとともにお話しようと思います。

今回は、「探求型学習とは何か?」を簡単にお話させていただきます。

「ラジオの時間」で、私が実際に受講していた坂本龍一「教授」の「授業」をもとに。

ちなみに「教授」は、坂本さんの当時からのニックネームです。

「教授」は、清志郎と双璧をなす私にとっての「ぼくの好きな先生」でした。

https://www.youtube.com/watch?v=Bt-eg6XQsXU
NHK-FM『サウンド・ストリート』(1982.01.26)
DJ坂本龍一 ゲスト忌野清志郎

https://www.youtube.com/watch?v=1sQmGsrxARI
「い・け・な・いルージュマジック」
(忌野清志郎+坂本龍一、1982)

ちょうど私が高校に入学したころ(1983)、「教授」はニューヨークに移り住み、ラジオでよくニューヨークのことを話してくれました。

それが私が高校を卒業をしてすぐ、ニューヨークに移住した最大の理由です。

ちなみに当時のNYCは、今と比べものにならないほど安く暮らせました。

「教授」のお父さん(坂本一亀)は、三島由紀夫を発掘し、三島の代表作である『仮面の告白』を手掛けた有名編集者です。

それゆえ「教授」は、音楽のみならず文学にも造詣が深い先生でした。

彼はよくラジオで、中上健次や村上龍といった、自分のお気に入りの作家のことを話してくれました。

それがきっかけで私は文学が好きになり、好きが高じていつの間にか、北米の大学で日本文学を教えるようになっていました。

ちなみに、私の学者としての研究分野は「比較社会思想史」といいます。

古今東西の教育哲学と教育政策を中心に、文化、文学、芸術、歴史、哲学から、政治、経済、国際関係まで幅広く網羅します。

「探求型学習」の最大の特徴の一つである「教科(分野)横断型」です。

これも最初から意図したわけではありません。

「ラジオの時間」で「教授」らは、学校での教科の分類などお構いなしに、それこそキューバ音楽から貨幣の歴史まで、本当に色々なことを楽しそうに話してくれました。

それを聴いているとこっちまで楽しくなり、それら全てに興味を持ち、次第に自分でもそれらのことを学ぶようになっていました。

これが「探求型学習」です。

そしてその出発点となるのが、「ラジオの時間」がそうだったように、「先生」(お母さん、お父さん、幼稚園の先生、…)が、子どもに好きなってほしいことをまず自分が好きになり、それを心から楽しんでやる姿を子どもに見せること。

それが「ぼくの好きな先生」

そうすれば子どもは、「自分もそうしたい!」と思い、どんどん自分で先に進んでいきます(「主体的な学び」)。

「のぞみの伝統」としての「ぼくの好きな先生」

だとすると、どんなに文科省が力を入れても、なかなか日本で「探求型学習」が根付かない理由がなんであるか、容易におわかりいただけるでしょう。

今これを読んでくださっているみなさん一人ひとりが、自分の学生時代を振り返ってみればすぐ分かるはずです。

しかし「のぞみ」は、この「探求型学習」の一番大切なところを、1979年の創立以来、伝統的に行ってきた日本でも稀な幼稚園です。

先生が園児と同じぐらい、時には園児以上に、園児にしてほしいことを楽しむ「ぼくの好きな先生」。

それが「のぞみ」の先生たちです。

そしてそんな先生を見て、「自分でもそれをやってみたい!」という意欲を、自然に身につけるのが「のぞみっこ」です。

卒園児の保護者の方々はよく、こうした「伝統」が「のぞみ」独自のものであることが、「子どもが卒園してからよく分かった」とおっしゃいます。

国際バカロレア(IB)でさらなる飛躍を!

この「のぞみの伝統」=「探求型学習の基礎」をもとに「のぞみ」は、今年度末までにIB候補校になります。

そして2025年を目途に、IB認定園を目指します。

それにより「のぞみ」は、小学校以降の学校教育の基礎創りのみならず、大人になった「のぞみっこ」が、「予測不可能な時代」を生き抜く能力・資質(「生きる力」)を培うのための最良の場となります。

「探求型学習」のことも、IBのことも、この共育応援ブログ「ぼくの好きな先生」で、これから沢山書いていきます。

そのようなわけで、この共育応援ブログ「ぼくの好きな先生」をもって、1986年の私の渡米とともに終了した「ラジオの時間」が復活します。

会津→ニューヨーク→サンディエゴ→シカゴ→ヴィクトリア(カナダ)を経由して、ここ己斐上で。

ではまた近々、ここ「ぼくの好きな先生」でお会いしましょう!


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