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君の飼っている、犬の名前
フィクションかノンフィクションか。
それはあなたが決めればいい。
1つ目の恋の話。
2人はデートをしたことがない。
会えるのは予定前か予定終わりの数時間。
君のために着飾った儚さは、夢より短い時間で終わる。
改札を抜けて、君がいる場所を探す。
タバコの匂いが君の居場所を教え、吸い終わる数分間君を見つめてる自分が好きだった。
居酒屋での話。
君の好きなお酒の種類は分からない。毎回変わる最初の1杯に君をもっと知りたいと思った。
君の目を見て喋れない。全部見透かされてる気分になるんだ。飲むペースが早くなり緊張と心の緩みが出てきた頃、
君は見つめて言う、
「今日も可愛い?」
苦しい。
曇った空が好きなはずなのに、無理やり光が差し込んでくるような、あの美しい景色は幻だって分かっているのに。
居酒屋で話すのは愚痴。君は心の鍵を開けるのがとても上手いから、お酒で緩んだ心は、もう僕の元には無かった。
「苦しさと優しさ 」「切なさと愛しさ」
その間を上手く紡いでいく君からもう離れられなかった。
帰りの電車で毎回聴く曲がある
アルステイクの「ふたりの季節」
彼らに言われたんだ。
「指輪をつけ合うことが愛なら、首輪をつけ合うことが恋かな。」
君の手のひらで転がされる犬みたいな僕。
幸せはまるで、君の首輪で繋がった運命のようだな。そんなことを思いながら僕は泣いた。
「首輪でいいからそばにいて欲しい。」
このまま心が死んで、君からしか得られない栄養が途絶えた時。そこに残った首輪が少しでも君の首を絞めたらいいな。
「ところで、君の飼っている犬の名前」って
なんだっけ?