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#57 「解衣快喜々」

2022年に入ってから、何度展示をしたのだろう。
友人と久し振りに連絡を取ると「展示を沢山やっててすごいね」と云う言葉をもらう。みてもらえていて有難い。けれど、自覚はないんだ。

伝えたいことがずっとあって、つづけてる感覚。

今回は、「解衣快喜々(かいかいきき)」の言葉だけが先にあり〝心地よく布を解いていきながら人々が喜んでいる〟情景を思い浮かべて、曖昧な感覚を具現化していくように進めていく過程で1つの問いが生まれました。

本展示のテーマとなった「特別な意味をもつものとは?」と云う問い。

誰かが暮らしていれば必ず「もの」はあって。選んだ理由や所有している理由も同時に存在しているんだけど、埃と共に沈んでいっちゃう。

あ、ちょっと話を逸らすと、
懐かしい商店街に立ち並ぶ喫茶店や居酒屋に行くと、店の雰囲気にそぐわないものがありますよね。そのものについて店主に尋ねると「ずっと昔の貰い物を飾ったままにしてる」と大体そんな返答がくる。その人にとって大切な方からもらったもので雰囲気から外れることなんてどうでもいいことなんでしょうね。でも、こちらもまた埃と共に深い所で眠ってる。

では、本題。
「特別」を大きく2つに分けてみました。
「みんなにとってのスペシャル」と「ひとりにとってのスペシャル」

前者は、みんなで共通認識ができるもの。
例えば、芸能人やアイドル、名の通った企業やブランド、一神教とかもそう。

後者は、ひとりで代えがきかないほど大切だと認識できるもの。例えば、家族や友人、パートナー、過去の出来事や場所とかもそう。

前者は、相対的。後者は、絶対的。

もし埃を被っていても、捨てるかどうか判断する一瞬だけ光るものは「ひとりにとってのスペシャル」だと思ってて。kimonoが捨てるには捨てづらい状況が起こっているのもその現象が起こってるからだろうって。この現象に名前をつけよか、、「へその緒現象」とでもいおうかな。

先祖の記憶が残るkimonoを解き、sanakaの形に置き換えて、さらりとコーディネートに入れる提案をしたい。一見は分からないのだけれど、実は思い入れのある布を服を身に付ける価値観を育てていきたい。

言葉にすると大変野暮なので、避けたいですが、
それが粋の在り方なのではないか。
そう、感じています。

もう既におじいちゃんやおばあちゃんが着ていたkimonoで、多くの方々からご注文を頂いています。その価値が存在しているのは実証済み。「個」のスペシャルだから多くの共感こそ生まないのだけど、確かに存在する物語がある。それを纏めたテキストとスナップのzineを展示の終わりに発表して、翌年の巡回展でzineを持っていくことは、2023年春先のはなし。

とはいえ、どちらのスペシャルも存在してて良くて。どちらだけを選ぶって極端な話じゃないのね。ただ後者の方は、言わなくたって分かるものでしょってあぐらかいてるから、そんなんじゃ本当に忘れられちゃう気がしちゃって。

ほら、ファッションやアパレルの多くの形がどこかの媒体で憧れをつくって「スペシャル」と化して〝何か〟が売れていくトップダウンの形ばかりで。SNSで個人も「スペシャル」になれそうな感じだけど方法は大体トップダウン。

sanakaとしては、kimonoがボトムアップで広がっていったように九州各地を巡りながら、信頼し合えるトップと出会えたらばそれも進めたい。両方の形をとっていくことができる存在になれたらと思うよ。

CAPっぽい形「hakuto(はくと)」と
tsuzuraの進化版「ファブリックウォール」と云う新しい形を用意しました。

服としても、視覚的にも楽しい展示になると思うので、是非あそびにいらしてください。来るだけで、見るだけで本当にそれだけでうれしいです。

平日、1日1組だけ、着物を解くワークショップをします。
参加されたい方は、こちらから

では、来週一週間
sanaka巡回展の鹿児島編「解衣快喜々」で会いましょう。

4.26(tue)-5.1(sun) _11時ー19時
場所:鹿児島市名山「レトロフトmuseo」

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