[ sanaka=オムライス ]
橙さんと出逢ったのは展示ではなく、モノクロのフィルム写真でした。初めてcoffee5で共に展示を行った友人の写真を眺めているとそこに車と写る女性の姿がありました。目の前に居る女性と写真に写った女性が一致したのは少し後になってからで、現物の車の色をみて特徴を捉えてて不思議な納得感が得たのを覚えています。
coffee5での展示3年目を迎え、単独で展示しようとなったとき、偶然訪れた彼女と橙の食卓と合わせてやろうとなりました。彼女は綺麗な手帳を取り出し、これまでの料理やイベントのこと記録始めました。それが昨年のこと。品良く並んだ美しいサラダと赤い顔したころころの人参とほろほろの牛肉のビーフシチュー、それを小麦の香りがするパンで美味しく食べました。わたしたちも展示中であることを忘れながら綺麗な景色を眺めていました。
その展示の終わりだったか、、「翌年もやろう!次は何がいいかな?」と話題になったときに話したのか、、「sanakaってオムライスなんですよね」ってわたしが言い出しちゃったんです。
洋食店の誰かが考えだしたヨーロッパやアメリカには存在しない日本では誰でも知っているオムライスと云う洋食っぽい存在。sanakaの衣服は和でも洋でもないようにその存在な感覚がしていることを伝えたんです。橙さんは「出店のような機会でオムライスを提供するのは難しいんです」と教えてくれました。それもそう、チキンライスを炒めてそれを卵で包んでだなんて、もうそれはそれは。そのときは一旦解散して、後日決めようと別れました。
それからしばらくして、coffee5の豪さんから「橙さんがオムライスをやる」と聞き、やってくれるの?!と驚きつつ、ああ、難しいに挑戦してくれるんだなと受け取りました。
正しい時系列こそ分かりませんが、それから彼女は4箇所のオムライスを食べて周り、卵や具材に何が含まれているのか研究して、豪さんたちとの試食会を行い、前日の仕込みも素材毎の処理を終えて綺麗に冷蔵庫に並んでいました。
そして、当日。
DJプレイかのように黒い胡麻塩が振りかかった苺とブロッコリーのサラダから、苺の酸味とケチャップソースの酸味と自然とスライドさせて、黄色い服をきたオムライスがやってきた。グラタンやオムライスには基本的におかわりがないから、一口一口いつも以上にかみしめて食べる。贅沢な時間。見た目もだけれど、管理栄養士との視点も相まって内容も大満足。玉ねぎ、ピーマン、茄子、チキンの入った旨味たっぷりのご飯は赤くなくて、バターチキンライスだった。
彼女は、チキンライスを炒めて作るのではなくて、ふんだんに下拵えをした混ぜご飯で一つ一つ卵で包むという方法で難しいをクリアしていた。それどころか口の中でケチャップソースと交ざって、普通以上のチキンライスだった。
橙の食卓は、お店では表現できない利益度外視の高級店に劣らない食事が提供されている。それでも彼女はみんなの満足そうな顔をみて本当に喜んでいる様子で、更にオムライスに挑戦できてよかったとも言ってくれた。
彼女の利他的でありつつ、自分の成長を喜んでいる姿勢が好きです。きっと今回の橙の食卓もあのメモ帳に綺麗に残されているのだろうと思うし、そしてまたいつかその手帳にcoffee5と橙の食卓とsanakaの予定が書き加えられることを願っています。
本当に良い機会と良い時間と良い食事をありがとうございました。
ご馳走様でした。
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