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WAXチェーンはどう使うのが良いか?
こんにちは。
Web3の事業を作ろうとすると、だいぶ序盤に「チェーンは何を使ったらいいのだろうか…」という壁にぶつかると思います。時間が経てばどのチェーンも簡単に行き来できるようになる気がしますが、とはいえ足元では大事な話です。迷ったらその時点での業界スタンダートを選択する、という意味ではEthereumベースのチェーンを選択すると間違いないかもしれません。といいつつ、ぼくもあまり知らなかったWAXチェーン(Ethereumベースではない)の話を今日は書いてみようと思います。
WAXチェーンの基本情報
まず、WAXチェーンの基本情報を紹介します。前に見た時より時価総額ランキングは下がっています。
通貨単位 :WAXP
主な取引所:Binanceなど
コンセンサスアルゴリズム:DPoS
時価総額:約32 十億円 ※2024年1月12日時点
時価総額ランキング:192位
WAXチェーンの性質について、世にある情報のほとんどは、他のチェーンにも見られる特徴も混在したすぐに混乱する内容に仕上がってしまっています。ですので、ここをきちんとWAXチェーンならではの部分と、そうでない部分を分けて理解する必要があると思います。
ということで、まずは他のチェーンにもよくあるけれども、WAXにも当てはまる性質、を説明します。
環境に優しいPoS(正確にはDPoSですが、後半で解説します)コンセンサスメカニズムを使用しています。これにより、エネルギー消費を大幅に削減し、ブロックチェーンの持続可能性を高めています。
NFTマーケットプレイスとしての地位を確立しており、ユーザーは簡単にNFTを作成、購入、販売、トレードすることができます。また、独自のNFT規格であるvIRL NFTを提供しており、物理的な商品とデジタルアセットを結びつける機能を持っています。
次に、ここが大事なのですが、WAXチェーンならではの特徴は以下2点だけではないでしょうか。エンジニアから大反論されそうですが、ビジネスサイドとしてはこの2点を抑えれば一旦は良いかなと思っています。
【①ゲーム・EC特化】:WAXは、オンラインゲームやECとの統合に特化しており、これらの分野でのデジタルアセットの使用を促進しています。
【②ユーザビリティ】:WAXは、ユーザーが容易にアクセスしやすいインターフェースを提供し、ブロックチェーン技術をより身近なものにしています。これにより、Web3にリテラシーがない人でも、直感的にブロックチェーンの恩恵を受けることが可能になっています。
ここからは、この2点に集中して解説します。
「オンラインゲーム」へフォーカスしたチェーンであると言われる所以
WAXがオンラインゲームに提供する価値は、以下の3点です。
【①ゲームアイテムNFT】:WAXはゲーム内アイテムをNFTとして扱うことを可能にしています。これにより、プレイヤーはゲーム内で獲得したアイテムを、実際の資産として所有し、売買することができます。
【②ゲーム内マーケットプレイス】:プレイヤーはWAX上で、ゲーム内アイテムやコレクタブルを直接売買できる専用のマーケットプレイスを利用できます。これにより、ゲームのエコシステム内での経済活動が促進されます。
【③ゲームタイトル横断のアイテム利用】:WAXは異なるゲーム間でのアイテムの移行や使用をサポートすることがあります。これにより、プレイヤーは一つのゲームで獲得したアイテムを、他のゲームで使用することが可能になります。
特に3番は、ブロックチェーンやNFTが世の中に登場したかなり序盤から実現が期待されていた概念です。他のチェーンでも実現できる概念ではありますが、WAXはこの分野で特に積極的な取り組みを行っているため、その点で他のチェーンと差別化されています。ちなみに、既に実現しているゲームタイトル例を4つ紹介します。
■Alien Worlds
このゲームはWAXブロックチェーン上で動作する人気の高いメタバースゲームで、プレイヤーは異なる惑星で探索し、NFTとして表現されるアイテムを採掘、取引できます。
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■Farmers World
農業をテーマにしたブロックチェーンゲームで、プレイヤーはNFTを使用して農業資源を管理し、取引することができます。
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■R-Planet
科学実験をテーマにしたゲームで、プレイヤーは素材を組み合わせて新しい要素を発見し、NFTを通じてこれらの発見を保有します。
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■Street Fighter
カプコンとの提携により、ストリートファイターシリーズのキャラクターをNFTとして発行し、これをWAXブロックチェーン上で取引できます。
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WAXチェーン活用を迷っている事業担当者がおそらく考えるであろうこと
WAXチェーンを使った方がよいのか、Web3関連の事業を担当するビジネスサイドの人間は、おそらくWeb3事業でよく使われているPolygonチェーンと比較して頭を悩ませているのではないでしょうか。
簡単に言うと、WAXはNFTとeコマースに特化し、ユーザーフレンドリーなアプローチを提供しているのに対し、Polygonはより広範なアプリケーションをサポートし、Ethereumとの互換性に重点を置いています。以下に5つのカテゴリにおける詳細についてもう少し記述します。
WAXとPolygonの主な違い
【①コンセンサスメカニズムとエコシステム】:
WAXはDelegated Proof of Stake(DPoS)コンセンサスメカニズムを使用しています。これは、比較的小規模なバリデータグループによる高速で効率的なトランザクション処理を可能にします。一方で、Polygonは、Ethereumと互換性のあるLayer 2スケーリングソリューションで、Proof of Stake(PoS)コンセンサスメカニズムを使用しています。PolygonはEthereumのエコシステムを拡張し、Ethereum上でのトランザクションのスケーラビリティと効率を向上させています。
【②特化分野】:
WAXは特にNFT、特にゲーム関連のNFTとeコマースに特化しています。vIRL NFTなどの独自の概念を導入し、物理的な商品とNFTを結びつける独特のアプローチを提供しています。一方で、Polygonは、一般的なスケーリングソリューションとして設計されており、NFT、DeFi(分散型金融)、その他多くの分野でのアプリケーションに対応しています。Polygonは、Ethereumの制限を克服するための一般的なソリューションを提供することに焦点を当てています。
【③ユーザビリティ】:
WAXは、NFT作成と取引において非常にユーザーフレンドリーで、初心者にもアクセスしやすい設計がされています。一方で、Polygonは、開発者がEthereumベースのアプリケーションを容易に構築できるように設計されていますが、一般のユーザーにはWAXほど直感的ではないかもしれません。
【④エコシステムの規模】:
WAXはNFT市場において強い存在感を持ちますが、PolygonはEthereumエコシステムの一部として、より広範なアプリケーションと大きなユーザーベースを持っています。
【⑤トランザクションコストと速度】:
両チェーンとも低コストで高速なトランザクションを提供しますが、WAXは特にNFT取引において最適化された構造を持っています。
このような違いが、それぞれのチェーンを特定の用途やユーザーに適した選択肢として位置付けていますので、実現したい事業の必要性に応じた選択をするために役立てていただければと思います。