(9)ブレイクアウトルーム 留意点(双方向と多方向)
ブレイクアウトルームについてだけで3回も費やすのは、ちょっと多すぎだと思いますが、ブレイクアウトルームは「ワークショップの肝」だとも思いますので、少し丁寧に話しています。今回は「交換」と「留意点」についてです。
【8】-10 交換
例えば、ブレイクアウトルームを再作成したのに、同じ人とブレイクアウトセッションすることになってしまった、というようなことがあります。特に問題がない場合もありますが、例えば、初対面の人たちが多くて、なるべく多くの人と出会って欲しいという時などには、改めて「再作成」するよりも、数人を入れ替えた方が分かりやすいですし、簡単です。この入れ替え作業をZOOMでは「交換」と呼びます。
そんなに難しいことではありません。自動で割り当てを選んだ時に、交換したい人の名前を選べばよいのです。すると
このようになります。人数にばらつきがあって良い時は、「移動先」をクリックして、他のルームを選べば良いです。誰かと交換したい時は、交換をクリックします。すると
このように、どの部屋の誰と交換するか選べるようになります。今はルームが2つしかないので、このようにうつっていますが、もっとルームの数が多ければそれだけ表記も多くなります。
交換先の人を選んでクリックすると
無事に交換されました。これで、ルームを開けば大丈夫です。
【8】-11 問題発生??
次の写真を見て下さい。
実は、この写真、【8】-4でも出てきました。その時はあえて何も言わなかったのですが、よく見ると「ルーム2」の「こーた」さんが未参加になっています。これは、ブレイクアウトルームに参加せずにメインセッションに残っているということになります。このような場合、ホストは「何か問題がありますか?」とか
このような画面が参加者には見えているはずなので(Suzuki Kohtaはホスト名で、あなたがホストの場合は、あなたの名前が出ています)、「参加ボタンをクリックして下さい」と伝える必要があります。
【8】-12 ブレイクアウトセッションで気をつけること / 多方向を目指す
さて、ここまでブレイクアウトルームについて、細かく紹介してきました。なぜこのように詳細に記したかというと、ブレイクアウトセッションは、ZOOMでワークショップをやる時に、非常に大切な活動だと考えるからです。
ZOOMに限らず、オンラインでのワークショップは、「一方通行になりがち」と言われます。つまり、主にはホストだと思いますが、講師が自分の知識をレクチャーしていき、参加者はそれを受取るという、一方向の講義に陥りやすいのです。
そこで次に考えるのは、参加者に意見を言ってもらうということです。これは講師(ホスト)とはやり取りがされ、双方向になりますが、それでも参加者同士の横のつながりが生まれません。ホストはどうしても、一段上に上がった、まさに教壇や壇上に上がって話しているような感じになりがちなので、フラットな状況で話し合うというのは、かなり難しいです。でもホストのいないブレイクアウトルームでは、参加者同士がフラットな関係で、話し合い、聞きあうことができます。まさに多方向ということです。
ZOOMなどのオンラインのワークショップでは、受取るだけで発することが少ない、というのがストレスになります。それは単に声を発するということだけではなく、考えや気持ちを発するということでもあります。少人数で話をできるような場を設けることが大切だと、私は考えます。
【8】-13 ブレイクアウトルームで気をつけること / いきなり放り込まない!
自己紹介をしてもらおうと、参加者をすぐにブレイクアウトルームに分けるのはやめた方が良いと思います。【7】-4 対面との感じ方の違い でも書きましたが、オンラインと対面では感じ方が変わります。逆になると言っても良いでしょう。
対面でのワークショップの時は、同じ場(部屋に)たくさんの人がいて、その中で少数に分かれて話すことは、大勢の前で一人に注目が浴びて自己紹介をするよりハードルが低いといえます。
しかし、オンラインでは、画面上に人が見えてるとはいえ、常に自分対多数という構図になります。なので、20人いる部屋の中の4人という安心感はありません。初対面の4人しかいない部屋に入る、というように感じられ緊張します。ですから、始まって直後にブレイクアウトルームに放り込んで自己紹介をしてもらうといような、乱暴なことはやめた方が良いでしょう。ブレイクアウトルームに行って、そのまま帰ってこない、というような人もいるかもしれません。
やり方は色々ありますが、【7】-1に書いたように、「投票」などをつかって、緊張をほぐしたり体験を共有してもらうのが良いでしょう。
【8】-14 ブレイクアウトルームで気をつけること / 最初は制限をする
「自由に話してもらいたい」と思って、「さあ、ブレイクアウトルームで自由に自己紹介をして下さい!」と参加者に任せるのも危険です。慣れている人なら良いですが、対面であれオンラインであれ、人見知りする人は多いものです。そこで、よりどころをつくってあげると、話し始めるきっかけになります。
例えば「4人ずつに分かれますが、名前と仕事(または普段の活動)、このワークショップに参加した理由を、一人1分ずつ話して下さい。1分経ったら次の交代しましょう」というように、話すことや時間を制限することで気が楽になるはずです。
また、ワークショップに参加した理由などは、もちろん「なんとなく」という方もいらっしゃるとは思いますが、それぞれ何か思うところがあって参加していると思うので、話すきっかけになるでしょう。
私がよくやるのは「嫌いな食べ物を一つ言って下さい」というようなこともやります。私は、好きな食べ物は「おすし」「焼き肉」「ラーメン」など、なんとなくぼんやりとしたものが多いのですが、嫌いな食べ物は、理由がはっきりしてると思うのです。そして「ピーマン」「ゴーヤ」というような少し幼い感じのものを言うのも良いですし、例えば「そうめん」(実際に以前いました)というように、「え?なんで??」といって、話が広がる可能性もあります。「一番最近の、ちょっとしたケガ」とかでも良いのですが、話が長くなるので、嫌いな食べ物くらいが丁度良いかもしれません。
1分ずつとはいえ、話の途中で切られるのももやもやするので、例えば「一人1分ずつ話して下さい。4人ですが、全体としては5分にしましょう。時間があまったら、言いたいことを言ってみたり、質問をしたりしても良いです」くらいに余裕を持たせるのが良いでしょう。
そして、また別のグループなどで自己紹介をするのが良いと考えます。
「制限をする」というのは聞こえが良くないです。でも、リアルな私に会ったことがある方は聞いたことがあるかもしれませんが「Creativity Limitation」という言葉があります。簡単に言うと、クリエイティブになるために境界線を引く、という意味です。
なんでもそうだと思いますが「自由にやって!」というと、逆に不自由になるというか、何もできなくなってしまうことも少なくありません。でも「この制限内でやって!」というと「じゃあ、どうしよう?」と創造力が増すこともあるのです。そういう意味でも、ブレイクアウトルームで最初に「自由に話して!」というより、制限を設けた方が、より安心して、想像以上のお話しができるかもしれません。
この最初の話し合いのブレイクアウトセッションが上手くいけば、この先のワークショップでも、ブレイクアウトルームを多く活用できるはずです。ホストは留意点が多いものではありますが、機能を活用しながら、ZOOMワークショップ、ブレイクアウトセッションを楽しんで下さい。
次は、チャットについて少しだけお話します。
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