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落ち葉を部屋にひとつ

 世界的に猛烈な暑さに見舞われ、大火災や地震、洪水など今年も大変な被害が出ている2023年。一言に異常気象と片付けられない何か大きな流れを感じます。仏陀の四苦の苦の語源はパーリ語やサンスクリット語の仏教経典の原典で用いられているドゥッカ(dukkha)、思い通りにならないという意味だそう。自然はおろか、自分自身も思い通りにはいかないものですしね。(空しい、不満、不安定、苦しいと意味もありますが)

 昔、「風が吹けば桶屋が儲かる」と言いましたが、近年聞かれるバタフライ・エフェクトもそうですね。些細なことが周り巡って大きな変化になる。少年少女が、町の小さな夏祭りで体験したことがきっかけで、後に何かの研究者になり、人類を助ける大発見をする可能性はあるわけで、小さな事を蔑ろにせず、よく観て感じて考えようってことなんですが。中学生の時はあまり美術に特段興味がなかったけれど、高校生の時、夏の花火を実際に観たあと、誰かが撮ったその花火の写真を観て、その写真表現にいたく感動して、写真の道へ進もうとする生徒さんもいました。

 そこで題名あるように「落ち葉を部屋にひとつ」置いてみては?というお話です。落ち葉ではなく、石でも貝殻でも良いのかもしれませんが、今回は身近な落ち葉で考えてみようと思います。

 先に言ってしまえば何が変わるかというと自分が変わるわけです。なんら変哲のない落ち葉で自分が変わるはずがないと思われるかもしれませんが、確実に変わるんですね。けれどその変化はとてと小さいものです。その変化が何か大きな変化に繋がっているということは、馬鹿に出来ないと思いませんか。

 九月下旬でようやく秋の風を感じるようになってきました。八月下旬にはもう黄色く色づいた落ち葉がうちの前の道路に今年も変わりなく落ちていたんですよ。けっこうな勢いで、相当数がもう落ちていてあっつい最中に秋を感じていたわけです。ヘッダーの絵にあるように8月13日に描いた作品なので、はやいですよねぇ、色づくのが。(今年はまたアメリカシロヒトリの被害が酷い。葉っぱも食いつくられる勢いです。まいりました。)

 ぜひやってみてほしいのですが、もし身の回りに落ち葉があったらそれを拾って、うちの部屋の何処か少し目につくところに置いてみてほしいのです。すると、そこの空間が今までとはほんの僅か違うはずなんです。あるのとないのでは。当たり前なんですが。そこで何が違うのか静かに感じてみると、観ている私の思考の流れが明らかに変わっているんですね。葉っぱがなぜ色づくのか、なぜ形が様々違うのか、葉っぱとわたしの違いは何か?同じところは?葉脈の違いもあるがそれは何の為か?モノが落ちる、移動する、消える、消えたのではなく、変わっただけだな、、、などなど様々想起されます。
 もう少し考えると、私たちも毎秒細胞が死んで、また新しい細胞が生まれていますよね、葉っぱもそれと同じだなぁ。来年また新しい葉っぱが生まれる。すると、絶えず変化し続けること、去年と今年では同じに見えても、生命は同じ形ではないという気もします。ヒトも徐々に老化し衰えていく。当たり前の事実を思い通りにはいかないと捉えてきたわけなのだなぁと合点いくわけなんです。そう捉えると、少し気が楽になりますよね。思い通りにしようとする終着点は支配ですからね、それは嫌だなぁと。自然をコントロールしようとしてきた結果がこの異常気象なのかもしれません。本当のところは分かりませんが。気象が異常なのではなく、ヒトの方ですけどね。

 物事は思い通りにならないと、それをそうと受け入れつつ、じゃあ、それでもどうしたいのか?だから、わたしは部屋に葉っぱをひとつ置いてみたんですね。葉っぱをよく観ることを忘れたら、その大事なこともするすると抜け落ちていきそうですから。人々が紅葉をわざわざ観に行く理由が少し分かった気がします。紅葉を眺めながら、自分はどんな色になって最期を迎えるのか。迎えたいのか。どんな色にもならなくても良いのですが、そんなことを感じざるをえません。

 ぜひ「落ち葉を部屋にひとつ」置いてみてじっと観察してみてください。

 もし同居している誰かがいらっしゃったら、またその人の反応も興味深いものになると思います。自分とは違うので、全く予期せぬ反応になると思います。

 もしかして都市生活に慣れてしまった多くのヒトは、何でこんなところに葉っぱがあるんだ?とすぐにゴミ箱へ捨ててしまうかもしれません。葉っぱをよく観ずにゴミだと思っているんですよね。本心ではないのはよくよく分かりますが。少なからず現代のヒトはそう見てしまいがちだなぁと。「落ち葉を部屋にひとつ」おいてみることに意味がないと捉えてます。この世界が意味だけで捉えられるはずもないのにね。

 しかし、わたしもまだまだモノの見方が未熟ですので、色々と注意深く観て感じて、面白がって、色んな色彩、景色、光景を観て新たな自分を毎日感じたいと思っています。


 有難う御座いました。感代謝


恒星a.k.a.長谷川康円


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