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「働く」を支える①薪づくり(後編) 変わったこと、変わらないこと

変わったこと

原木の確保

生産している薪は、広葉樹と針葉樹によって、
用途が大きく2種類に分かれます。

火持ちが良い広葉樹は、
主にストーブ用になります。
ナラ、クヌギなどを太く割ります。
原木の確保は自分たちでは難しくなり、
十年以上前から地元の林業会社さんより
購入するようにしました。

着火しやすく一気に燃える針葉樹は、
主にキャンプ用です。
スギ、カラマツなどを細く割り、
束にして納品します。
針葉樹の原木は、
以前は自分たちで確保できていましたが、
現在は購入するようにしています。 

2005年に薪作業棟を新築し、
それまでの「小屋」から、
薪の作業スペースを格段に大きくしました。

その背景には、
薪の需要が年々増えてきたことがあります。


薪づくりを始めた当初は、
キャンプ用の薪が販売の中心でしたが、
現在はストーブ用の薪の販売が、
売り上げの中心になっています。

環境問題・エコロジーが時代のテーマとなり、
個人の住宅で薪ストーブユーザーが増え、
それにともなって毎年、
薪を注文してくださる方が
増えてきたのだと思います。

とても有り難いことですが、
「固定客」の方のご予約で薪の在庫がなくなり、
ご注文をお断りするような年もありました。

電気、ガスのない時代では、
毎日、薪でご飯を炊き、薪でふろを沸かす生活があたり前だったと思いますが、
今、薪を日常的に使って生活しておられる方は
少ないでしょう。
でも、薪の需要が無くなることはなく、
むしろ増えてきているように感じます。

なかまの作業工程も見直しました。

以前は、割った木をすべてタガ(針金の輪)に
詰めて納品していましたが、
7年程前からタガ詰め自体をやめて、
コンテナに入れて納品するように
切り替えています。

「タガ詰め」作業は最も難しく、
時間がかかる工程でした。
生産量に比例して、薪づくりに取り組むなかまが増えたので、なかまが、よりとりくみやすくすることが必要でした。
工程を効率化して
生産量を増やしたいとも考えました。

また近年は、気候の変化に応じた作業環境の配慮(特に暑さ対策)が必要になっています。

変わらないこと

一方で変わらないこともあります。

夏は暑く、冬は寒く、原木は重く、
力をこめてのこぎりを引かないと原木は切れず、
原木の種類に合わせた太さに割らないと売り物にならず、割った原木は時間をかけないと乾かず、原木は「薪」にはなりません。

でも、
その薪をお客様に届けたとき、
とてもよろこんでくださり、
こちらもうれしくなる。

年数回、
上高地の小梨平にひろがる絶景を
みんなで見ることは、
とてもワクワクする。

そして、このすべての時間に、
なかまと職員の無数の汗が流されている。


これは、今もこれからも変わらないでしょう。

常務理事 村松功啓

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