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117B4 医師国家試験 解説【胎児循環】初級編

【問題】胎児期に血液酸素飽和度が最も低いのはどれか。

a 左心室
b 静脈管
c 臍帯静脈
d 臍帯動脈
e 中大脳動脈



【解説】
胎児循環と聞いて「勘弁してくれ」と思った方必見です。

胎児循環は出生後のヒトの循環とは区別されます。
決定的な違いは「肺を使わないこと」です。

まずは基本的な「出し入れ」から。

胎児の心臓から出てくる血管は全て「動脈」です。
ですので、胎児の肺動脈、大動脈は成人と同じです。
大動脈が、総腸骨動脈、内腸骨動脈と分岐してこの先が「臍帯動脈」になります。
当然2本あり、酸素分圧が低い血液が流れています。
低いとはいえ右房で体循環の血液と混ざった時点からは同じですが。

胎盤で酸素化された血液は臍帯静脈を通って、胎児へ返ってきます。
心臓に返ってくる血管は全て「静脈」です。

返ってきた臍帯静脈は二つのルートで心臓(右心房)に送られます。
①門脈→肝臓→下大静脈
②左門脈→静脈管→下大静脈
基本門脈系に吻合していますが、肝臓を経由する場合と、直接心臓に返る場合があるということです。

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産婦人科領域の国家試験対策をしています。 近年の臨床の肌感が問われるような問題に対応しています。 解説希望があればコメントしてください。

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