【未収録】直木三十五 僕のモツトー
たとへば、後期印象派の運動とか、自然主義の運動とか、――もうそういふ情熱的な藝術上の運動は、恐らくは、単に藝術上の運動のみとしてならば、今日最早、吾々をしてその当時の吾々程に情熱的にならしめないであらう。
そして、人間の情熱の赴く所は、科学的な文明と、社会運動と、そうして総ての享楽的設備に対してであらう。私には、それが人間の自然な道程であると、だんだん信じ方が固くなつてくる。
だから、当然の結論として、若い人々が、一つの藝術それのみの世界に閉籠ってゐることは、新しき世界